にじいろの炎をともし黒髪は少年少女の真夏をあそぶ
少年の肩から旅立つ星たちは少女の空と海とに抱かれる
潮騒とよく似た硝子が割れてゆく、眠りの底を旅立 ....
ひいやりと冷たいメロン空に浮き
悩ましい夜見つめるだけの
物思いシロップの海に漂うか
救ってみたい桃のかんづめ
ごめんねとパイナップルの輪切りして
白 ....
青空に舞い散る飛沫きらきらとプールに飛び込む少年の夏
呼んでいる遠い記憶の夏の声駆けて行きたいいつかの森へ
朝顔の花が咲いたよきれいだな笑顔も満開夏の絵日記
水平線の彼方に浮かぶ蜃気 ....
「リトマス紙がなにでどうなるか」のように忘れてしまいたい夏がある
まだ明日を信じていたからサヨナラを 告げた渚にゆらぐ太陽
ケンケンで駆けた砂浜しゃらと鳴る 乾いた粒子、ただ熱 ....
蜃気楼の港に棲む体毛薄き猿
鍬を捨てる恥じらうほど山が近い
水面に枝吸う葉また葉の降る音
遠方のドアノックするシャボン玉
花の籠実は籠売る籠売りも籠
造天の深みに澱む書の ....
死んでいくことで
踊っていける、たった
ひとつの
空だけを
おぼえている、
わたしか、きみが
いるために
誰かがいる、場所
一.
感度のよい
センサーライトが
いきばのないくらいに
点る
道は足に
ぶら下がったままで
二.
ひまし油
(メルセデス・ベンツのブレーキホース ....
牢の革の袋に乾く舌を出す
木がみしみしと呟く 月齢を取り込み
雑居する密度が裾野となる火山
激流林を抜け竹を燻す夜明けに突っ込む
不燃の沢の正体見たり束の伝票
岩抉れてバ ....
小説家になりたいなんて
この一年、一行も書いていない癖に
新しい新人を呪う
時代のせいにする
居酒屋に行くときにも
ジーンズのポケットに太宰を捩じ込む
カバーを外した新潮文庫が粋か ....
騒ぐ火空に馴染み食む噴出口を北に
板張りの床反り返る双子を抜け
憂えば街は閉じられ日没後の表紙
工場の窓に万力つけ口吹く
ビン持つ手と逆の片目に格子戸ひらく
字も画数もや ....
初夏の雨にけむり
辻褄の合わぬ体温が
濡れたシャツから匂い立つ
傘を持たない二人が
軒下で身を寄せ合い
普段なら持ち合わせない
自意識を
濃くしてしまう
今日みたいな雨を
六月の盲目 ....
打ち砕く岩の欠片の偶然も打つ
波よ波よ死せばただならぬ鼓動
車が停まっている棚の本の空いている床
傘を置き円筒ばかりの市に立ち会う
人魂を避け街の橋踏み外す
土の色彩眺め ....
では離れる。手術痕に最後の一文を貼る。セロハンテープで。もちろん透明な窓。鉄条網を抱えて、それは引き剥がした。他人の手が隣の座席に。手以外は手紙の一文に添えてある。
電報はこの瞬間にも心臓を青く ....
漫画の登場人物のようには成れないよ彼らにはみんな全員全員全員夢があるから
何かを極めること何かに責任を持つこと僕らには分からない言語を使うこと
どの能力も平均程度にあること ....
一説には窓である茎暮れだす町
うつむけば夜の野原ひとり歩く誰
消えねば風鳴る 消えても風になるばかり
足首しか見えぬ石段からコップ
鏡からせり出す背中森に行きたい
塩の塊 ....
その夜の悲しみは
液状をしていたので
私の輪郭が
どんなに複雑な形をしていようが
細部にまで浸透してしまうから
やりきれない
こんなことなら
笑える似顔絵でも
描いて行ってもら ....
冷蔵庫のモーター音と十三夜 鮮度をたもつ死にたての肉
振り下ろしゴトリと落ちたカマ、頭 あなたと絞めた女の眼に似て
パーティは終了しました 台拭きが反芻してる二つの ....
屋上では溜息も吐き放題
シュレッダはただ質量保存の法則を守り続けているだけ
{ルビ女神=最上級の誉め言葉}という名の車でお出迎え
それらの多くは指先の暇潰しで破壊され
....
雨を待つえぐれた頬塀から突き出し
銀河身の投げようもないほど暗い
影ひろい大木おもう紙のこと
大円盤の片鱗星座と触れ合い光る
裾千里ほども隔たるぼくとほか
ずっと昼ハの字 ....
乾かないTシャツ残して出かけたら今日はいちども猫に逢えない
セーターの襟首ざっと引き上げて毛糸の匂いの世界にいるよ
パジャマから追い出されてる春だからはだかんぼうで抱き ....
今ここに僕がこうして生きるのは垂れ流された奇跡のせいだ
玄関に白熱燈が灯ってる家のつもりで待ちます君を
苦しさを必死に証明してるのは強くなるのをサボりたいから
....
瓦礫と郵便ポスト白く白く輸入
歩み寄る 影で谷底汚すべく
伝え聞く神話の沖にブイひとつ
島に立ち残像から残像見下ろす
和紙の空二重に見え足首から見た
まだプールに飛び込む ....
死んだ瞬間
私に賞味期限がつくらしい
そんなあなたの価値観に
ついていけません
女の腐ったような男
なんていうけど
私が腐ったって
あなたよりはまし
冷凍しても劣化する
....
棺桶をひとつふたつと数えてもわたしの居場所なんてなかった
しばらくは神様なんていらないと口笛ばかりふいていた夜
爪先をそろえて眠るあかるさにあたりいちめん洗われていく
....
篝火に最高齢の降霊祭
天秤の受け皿になぞられた跡
白昼に銅絡め取る蔦の息
膝の海部屋に広がり旅客立つ
口述の街は一個の倉庫黴びて
心臓漂う海岬見え低温の牢
もてなし ....
トンネ 暇
では ル内 渋 余
会 で 滞 の
都 も ....
1.
上履きの色は赤か青で
たまにみる緑が
私はうらやましかった
ぺたぺたと
音もなかった
たくさんの足
あの
はためく日の丸をもう
みることがないから
ここがどこかわから ....
管制官、飛びます、どうぞ。---------------そう残し春のブルーと着床をした
「あー、ごめん。2008年マイドラマ第一話で君、もう死んでるから」
寂しげな水 ....
現代詩フォーラム創作系スレッド「○現代詩フォーラム短歌部○」の「第6回 短歌祭」は参加が31作品と、盛況でしたね。
色々読ませて頂いて、すごく面白かったです。
せっかくなので、短歌祭に参加された方 ....
四角い仕切りから踊ったままの少女サークルへ
供物の書開く度開く音疼く疼く寺院
接続部位死ねば友の思考に割り込む糧
湿布の群が河となり流れる岩沿い
市が粒に見える坂の天辺から粒
....
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