ここは
終わったんだ
まだ
あるといえばあるけれど
陰 口 で さ や さ や ス ス キ の 少 女 た ち
手 首 に は 真 っ 赤 に 咲 い た 赤 も み じ
セ ー タ ー に 袖 を 通 し て 影 か く す
....
やらしくない裸みたいな
蝶々が翅を広げて
紫色の光を頭の中で回させる
つややかな官能
ジェシカ、
君がセックスをせっくすと発音するから
僕はいつまでも取り残されている
いつま ....
砂丘であなたに会いたかった
あなたの足をつかみたかった
行き倒れる寸前の
砂に埋もれたあなたの足を
谷であなたに会いたかった
あなたの骨を接ぎたかった
花をとろ ....
白いきつねのお面をつけて
鬼ごっこ しています
息をきらして追いかけても
みんな 逃げていきます
鬼 は 私
おにさん こちら と
はやされながら
....
「ホーム」 「ホーム」
あなたと私 君とぼく
線路にほんぶん ....
ゆかりのある人たちのむれをぬけて
すべる大地を軽くふんでいく
遠くに小さなあかりがあって
それは僕たちのようにもみえる
あ、いま僕たちって言った?
声が聞こえた気がして立ちどまる
無音 ....
船の停泊しない
図書室には
匂いがない
ブラインドの隙間から
斜陽
カウンターに落ちた
向こうで
司書が背中の羽を
二度動かす
白い付箋のはられた
いくつかの椅子は ....
嵐のいった後はいつも
いろんなものが電線に引っかかっていて
奇妙な陰だとか
擦り切れた音だとか
さっきまで巻かれていた自由なもの
全部
西日を受けてしなだれている
多分みんなが
風 ....
100円玉2枚と10円玉何枚かを
レジのお姉ちゃんに渡して
ブランコの上で開けるプリングルスが
俺の中学校の時の夕飯だった
ある火曜日俺はいつものようにプリングルスと
その日はココアシガレッ ....
孤独が好きな人など、どこにいるのだろう。と思う。
みんなどこかで。小指ひとつの重なりで。
つながっていたいのだ。
自分は今こうやってパソコンの前に座って、ぺたぺたとキーを打っている。
誰か ....
遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
「はい、次のひとー」
「こんにちわ」
「はい、今日はどうしましたか?」
「どうも最近ヒメギミみたいなんですが」
「ああ、あなたくらいの年齢だとね、よくありますね、ほんと」
「そうなん ....
数ある詩集を詠んで
それを真似て詩を書いた
詩人
辞書を調べながら
かっこいい言葉ばかりを並べた
詩人
落ちている言葉を
拾って繋げた
詩人
なにも綴らず
ただ心の ....
その中に落とされたとき
から
ぼくは羽につつまれていた
するするとした感触のそれの
色を知ることもなく
カタチを知ることもなく
いつも
その中でまるくなって
ねむった
何万回 ....
夕日は傾く時間を知っている
その頃になれば
世界がゆっくりと閉じていくことも知っている
背中で、背中ともたれあう
隙間の部屋
四角いスイッチで昼と夜とを切り替えて
のろのろと、立ち上がる
....
薔薇百合も花でしかなく私ならひとつの顔で死なない人間
質の中に量があり
落下の中に流れがある
無数にまとまる一つ
雨と呼ばれるものの名
儀式のように繰り返され
思い出された最初の音
絶えず動きながら
点在する光を導き
生かしてゆく雨の ....
私の中には
無垢な少女も棲むだろう
あざとい人買いも棲むだろう
まっすぐな少年がいる
うそぶいた門番も
近道はどこ?
不機嫌に
ことばを探す
浮浪児の目で
ナルキッソスの夕陽 ....
「だめになってゆく」
それについて言うならば
私はたぶんマーメイド
泳ごうと思えば泳げるのだと
薄ら笑いを浮かべながら
岩場に座っていたりする
「だめになってゆく」
....
立ちあがり立ちあがっては 階段のその先に続く 段階に酔う
消えてしまうという現象の真実味 味わうことなく消えたかったの
ドーナツを頬張る 珈琲をすする 手 皺 血管にも覚えた愛しさ
....
わたしの靴を捨てないでください
底が削れて ヒールが丸くなっても
それはわたしの足
わたしの毛布を捨てないでください
綿がはみ出していても
それはわたしの ....
歌と踊り
失った恋人に
歌と踊り1
歌
それはむかしの
それはお ....
午前3時33分33秒になったら
こっそりと本棚から
辞書を取り出してごらん
99頁と100頁の間に
もう1頁できていて
そこにはとても大切なことが
書いてあるから
で ....
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している
その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
「スネアヘッドってつまりすね、ドラムの一番こうなんていうか、つまりすね、基本的なリズムを刻むってか、つまりすね、そんな感じのやつをスネアドラムっていうんすけどね、つまりすね、その表面の皮のことなんすね ....
口裂け女の噂を広めた女性は口が裂けていた
公衆電話はワープ装置としても使われている
ティッシュペーパーの72組目は他と質が違う
夜が訪れると同時に太陽は体育座りをして行儀よく次の ....
破壊する明日へ続く自動ドア
ため息一つの重さで
音もなく扉は開く
誰だってそんなところに
立ちたくはないけれど
ドアは静かに開かれる
私は今
どちら側にいるのだろう
....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
暗闇の中の大きな木
紫色の花がぼんやりと咲く
濃い緑と紫の混ざった匂いの下
わたしは靄のかかった月を見上げる
これはぜんぶ
いまわたしだけ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34