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ママあたしはよくわからない
生きることもごはんを食べることもひとを愛することもひとに愛されることも
ものを大事にすることも手に入れるということも失うということも
夏があって冬があって春には花 ....
運命があるなら
それは
いつまでも結ばれない靴紐に諦めを与えるような
ただの呼称だ
追いつけないレースや
焼き上がらないパンや
届けられない手紙や
呼ばれない名前に諦めを与えるだけの ....
初夏に良く似合う君の肌
五月は、いつも遅れてやってくるね
陽射しをはじいて透き通る日々
ひいやりとした床の上で
最後の苺を食べよう
目を閉じると
とても美しい一艘の舟があって
遠くまで来たことを知る
あなたを欲しがることと
あなたとの時間を欲することが
べつものであることも
もう知っている
舫われるべき岸辺に ....
行っておいで
と
彼女は言った
でていけば
また
帰ってこられるんだから
と
かわいい、こどもみたいなかなしさ。
いつかは別れると思ってた。
でも全部わたしになった。過ぎ去ってはじめて、わたしになった。
だからもう一度出会えるよ。新しくじゃなくて、続きじゃなくて、ただ ....
冬と春が手をつないでいる夕方に
静かに立ってそとをみていました
わたしはもう少女ではなく
絶望と仲良くもありません
ひとりで
静かに立ってそとをみていました
燃えつきる煙草、蘭のつ ....
なめらかにすべり落ちる鳥は社会に対して鋭角をつくる
(感情).
いま足のわるい野良犬の背を撫でながらいびつな半円をえがいている
実験的ないくつもの文章が堆くつみあげられ
日常は腐敗して耕さ ....
静かな窓のまえに立って
汚いことばをいくつも吐く
うす甘い空に雲がたなびいて
鏡のようにつるつるの水の上を
あかるい色の羽を ....
わたしの家族は、みなそれぞれにパソコンを持っていて、わたしはといえば、専用のものはないのだが、家族供用とされた一台はもうほとんどわたしだけが使っているので、実際はそれがわたしの占有のようになってい ....
サイダーは陽射しで
わたしはまなざしに
溶けてからんと音がなる
はずかしいくらいに慾をむきだしにして
蝶々が卵をうみつける
濃い影が床を一周するあいだに
わたしたちは手をつなぐ
....
冬と春が
「もうさすがにいきますね」
と
手をつないで別れを告げにきたので
ああそういうことかと合点して
餞別にと毛布を渡した
それがおとといの晩
その夜が明けるころから雨が ....
しおからい肌のおもては なまぬるく うらがえしてもどこか遠くて
つつじから蜜を吸いとる口元が こぼれるようにあまく光った
胸もとはこぼれる花弁の花水木 火照る頬には蝶々が咲く
風が光れば花たちは咲き笑い きみが笑えば空が高まる
日ごと濃くなる ....
39番目の卵が死んで
40番目は私だった
女子高生の持つビニール袋には人間の頭部が入っている
老婆は呪文を探し続け
くたびれた神父は右手に4枚の生爪を持って
満員の最終列車は保育所に ....