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盗作するのを見たことがある。
十代の頃 その人は たまたま入った文化部で
たまたま詩集に作品を出す必要にせまられて
それなりに気に入ったものを書き写していた。
非売品の学校の文化祭でだけの詩集 ....
終わりの果てだと 葉っぱのふち
緑の雲を浮かべた陽気
体を掠めて靴の先で紐をとく
小さな精密が一生懸命
育てた木は また残る
根元に散らばる慈しみと親愛が
腐りはて かさかさに乾い ....
ナギと呼んで空に心をのばす
心は手になり私になり
ナギに届くと思うのだ
思うのだと思うほど信じてはいない
チチチ と鳴きながら近くを飛ぶのは
警戒の意味もあるのだと
私は警戒にあたいす ....
チチチ と絡まった溝を鈴音のように舞う
開く両手に飛び込む事はないと
幾重に承知しても
投げ出さずにいられない
おはよう どこですか
電線に 立ち止まる 空
五月晴れの朝
雪が積もったら自然に落ちるように
高めに作った青い片屋根のてっぺんに
ヒキナギが二羽 歩いている
つがいでしか 見たことがなかったから
すぐ近くの電線にとまっている
カラスを ....
朝起きて 台所のブラインドを開けると
猫が 物陰に隠れて
つたの絡まる切られた木の上の方を見ている
そこには ヒキナギのつがいが
巣をはぐくんでいるのだ
が いつもはもう チチチとさえずるの ....
下降していくカラスが
田んぼの土手を
はいあがる虫を食べている
田植えの前に掘りおこされ
苗が植わるように綺麗にならされる土
地中から 土と共に掘り起こされた虫が
待ち構え ....
風と分かれて山の頂きを下った
雲に揺られて浮かんでた
ぬくもりに隠れた姿でも
いられなくて
根雪にひそりと 響く
足跡から溶けていく
風は海から共に
重ならないから指をのばし
....
本を閉じるように雲を抱え
糸くずのついた縫いぐるみに
兄弟の名を教える
のぞきこまれた気がして
草のつぶやきに
片言で行くと答え
噛み付くように
草をむしり切り捨てた
....
こうこうと燃えている白い道に
飲んでたむける傾きの宵戸口
ねかせておいた木漏れ日 影の上
指に重なり ぽつん すさませない
ひめくりにつられてつぎたし
のどもとにつきつけついばみ
よそ ....
子供達の遊んだ後に
たくさんのとんぼが
羽をちぎられて死んでいた
なかにはまだ かすかに動いて
震えているものがいた
かさかさとコンクリートの上
笑い声と話し声の下
ちぎられた羽 ....