解放
落合朱美


身体の自由を奪われることと引き換えに
過去の重荷をどこかへ置き忘れて
少しづつ解き放たれていく

その手を見ればわかる
長い年月を耐えて踏んばって
あなたは生きてきたのだから
ちょっとくらい奔放になったっていいよね

ほんとはね
楽しかったことと大切な人の顔だけは
忘れないでいられたらいいのにね

幼い私を猫かわいがりした細い目は
今はもう私の向こうをぼんやりと見ていて
それは哀しいことだけど

その目が笑っていることに救われて
私は最期まできっとあなたを見届ける





自由詩 解放 Copyright 落合朱美 2005-07-23 01:05:01
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