そして雪が降っていたのだと思う

僕たちは逃げるように汽車に飛び乗って
石とレンガと煙の支配する町から抜け出した

音楽は遠い場所にあった
文字は誰ひとり読めなかった

僕たちは独りで ....
海と陸に幾つもの水爆が落とされて
夕日が消えてしまった

森林が砂塵に帰して
息が止まりそうになる

人間が
スピンオフエイプの化石として
砂漠に埋められた

世界は焦土に食べ ....
太陽が死んでしまって
僕らはどこへいけば
光を見つけられるのだろうと
凍りついた足で
凍りついた息を吐きながら
凍りついた道に迷う

破壊の二文字に踊り狂った
少年少女も
目覚めるこ ....
私のふたつの乳房は
アムリタの豊饒に満たされている
明けたばかりのこの夜
現世が終焉するその前に
私のアムリタをあなたに飲ませたい
真っ赤な舌をチロチロと動かす毒蛇のように
長い
この腕 ....
入賞で喜んだり

銅で喜んだり

勝負も結果も

一位いがい意味はないというのに

服装がどうだとか

品行がどうだとか

じぶんで選んだ政党を

すぐに応援しなくなったり ....
くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express

埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな ....
両手で涙の濃度を測る
海のように青ければ
静に底に沈めて
波を立てるのは
好ましくないよ


言葉で
自分を繕う度に
命は海のような鼓動を
繰り返す
数えきれない程
子宮の中に ....
 わたしは蓋をしめていた

あきっぱなしのものを見てしまうと
得体の知れない
なにかが
侵略をしに来るのではないか
感情は青ざめ
そして おののくのです


 気付けば穴をみつめて ....
 
 
夏の正午に駅が沈む
誰かが思い出さなければ
なくなってしまうかのように

向日葵が咲く、その近くで
若い駅員が打ち水をしている
息づかいは聞こえなくても
肩を見れば呼吸をして ....
花を買う悲しみ

ガーデンハウスにたち寄ると

いつも悲しみにおそわれるのだ

花、

ひとつの記号だ

花を渡す、花を育てる、

花を貰う、花を頼まれる、

花を買う、

ぼくらが花を行為とするとき ....
めぐり合い別れ悲しみに時を費やし今はもう過去の鎖
水面をたゆたう別れの声に重ね合わせるものが深く沈む
鼓動はいつまでも反転の果てにあり水の苦さに懊悩する
誰一人たどり着かない孤独の底で今一人誰の ....
ゴミ捨て場に長葱が二本捨ててあった
外灯に照らされて
白くきらきら輝いていた
私は、あっ、と思い
見つめながら通りすぎた
玄関の前でもう一度振り返った
葱は白く輝いていた


家に帰 ....
目から水分が流れ出て
喉がやたら渇いている
夜だからか
夜の傾斜が この喉へ突き刺さるせいか

星も月もまばゆい
地面から真っ直ぐのぼってゆく生命たちよ
お前たちはなぜ迷いがない?

 ....
                        100219



シーオーツーの企みに
誘い出されるキリンの群れに
なにげなく忍び寄るトラの背に
金色の鳳凰が目を覚まし
 ....
 
 
右手の人差し指がちくわの穴に刺さって
抜けなくなってしまった
ちくわはとても嫌いなので
食べるわけにもいかない
そのままデートに出かけたけれど
あいにく恋人もちくわが大嫌いなので ....
傾いた春の海、季節の春分点から誕生したばかりの
太陽を浴びる雨

真珠色に輝く鱗の人魚より、二足の人間に目覚めるための進化の探求

我が子の足跡を追いかけて
夢の境界から、氷の白地に這い出 ....
季節の変わり目は
不思議と あいまいで、
みあきた建物たちの 
街色は、いつもの 
寡黙のまま

昨日とのくべつのない 
今日を数えながらも、
オリオンをあとにしたら
きみを探し ....
真っ暗な空に
両端が刺さりそうなぐらい尖った
三日月が横になっていた
なぜか 両側に霞がかかっていた
あれは だれかの曇った瞳なのだろう

心の4番目のドアをあけて中のものをぶちまけたよう ....
さようならをするでしょうね
明日のことがわからない
おはようございますと言うでしょうね
昨日のことがおもいだせない

血が
よろこんで
泣くから
肋骨に
光を
あてろ
酸素を
 ....
目が腫れるまで
言葉をつぎはぎして
しんぞうとのうみそを
縫い合わせておきたかった
調和と統合と平和の
マルの中で
哲学から解放されたかった

天地がひっくり返って、
宇宙人が攻めて ....
{引用=もし、もしいつか自分が子供を持つことになるのであれば
まずはじめに、土を踏ませてやりたい}

親鳥のもとを離れ旋回する羽は
ふわりふわりと人の波に襲われ
海は、海はまだかと
空は、 ....
真っ昼間
駿河台から坂下りて
神田で飲んだその後で
鯛焼き片手にぶら歩き

仕事も無い
家族もない
まして、恋人もなければ
金も無い
おまけに今日も
予定が無い

だから酒 ....
 十年? いいや

もう少しだけさかのぼって
私があたしだった頃に埋めたもの


放課後の校庭の隅
老いぼれ花壇のど真ん中
誰にも相手をされなければ
景色の一環とも見られない

 ....
 
 
下着売り場で羽化したセミたちが
越冬のために南へと渡って行くのを
ぼくらは最後まで見届けた

空の遠いところにある白い一筋の線
あれは飛行機雲じゃない
だって、ほら
指で簡単 ....
私は立ち止まらない
この道を行くと決めた
匂いの蒸せる深森の内を
怪しげなけものみちであっても
感じるままに行方を選ぶ

暗がりを畏れて
夜は月を探す
闇の海原は私を奪ってゆく
私は ....
 
 
深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
僕の銀色の船は、雨の海を北上し、
目的地の虹の入り江にたどり着いたところだ


虹の入り江は、とても綺麗に湾曲している入り江だ。


ここは本当に美しい月の名所で
地球にいた頃から ....
あちらのお客様からです
と言われ、差し出されたものを見れば
それは見事な、ヒトデ
ごつごつして、海水まみれで、
こんなものくれるくらいなら、タオルもつけてくれよ
と、あちらのお客様を、にらみつけたり
 ....
抉り取られた砂浜に
未だそびえる
防波堤に
今日も砂は積もり行く

  すっかり
  潮の流れは変わってしまった
  すっかり
  海は
  遠くに行ってしまった

澄みすぎた
 ....
思考の中の四次元空間
風と雨の中に
滲んだ映像の竜が
思考の中心から紡ぎ出される。

雲間に光る胴体は
蛇のようにくねり青色で
雨に塗れた鱗は
鈍い光を一枚一枚が放ち
珠玉を掴む前足 ....
中原 那由多さんのおすすめリスト(878)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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- ミツバチ自由詩6*10-2-21
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葱(二本)- なき自由詩2*10-2-20
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