悲しさとか寂しさとかで
小指を折り曲げてみても
いまの僕には
なにも痛いところがない
窓から出て行ったこの目は
遠くで迷える羊のよう
「でかけてくる」と言って
あなたに連れられた ....
毎日同じ時間に起きて
同じ道をたどり
同じ席につく
そして
退屈な時間が流れだす
ここは私の場所であって
私の場所ではない
晴れた日には知らない道を歩きたい
見たことのない景色に胸 ....
意味の無い
存在証明を繰り返した心は
誰も気づいてくれないという
被害妄想に犯されて
音をたてて、崩れました。
だからね、
僕の存在を唯一知る君と
この世の何よりも
密着するこ ....
銀色のトラップが巡らされた森の中
ラピスラズリが妖しく光を放つと
遠吠えするサボテンやおしっこ臭いキャベツ人形たちが
深い眠りから目覚める
*
レムの端っこで危なげなア ....
ママが「神様の皮下脂肪的な曇天」とリアルに繰り返し呟く
このひともあたしで
ココにいる全部があたしかもしれない
また瞳孔が開いた場所から見られている
瞬間ごとに目標を疑わず
足の裏側にある踏 ....
運動会のリズムダンスの練習で
女の子と
腕と腕を組んでスキップする
回りだす小学校の校庭
小柄で
勉強ができて
やさしくて
笑顔のかわいいきみと
ぼくは組になって跳ねる
音楽 ....
去勢した食用のオンドリは
オリーヴオイルの池で泳ぐ
魚釣りをしている少年が二人
その日はまさに歴史に残る日だった
およそ半世紀ぶりの雨が降ったし
デパートの子供服 ....
毎日 ベタベタするのはニガテ
ランチ食べるのも 映画見るのも
買い物行くのも 小旅行だって
ひとりの方が気が楽だったりする
メールの返信だって 律儀な方じゃなくて
よく心配か ....
君を想い 眠れぬままに
星をかぞえた
寝静まった街で
君の美しさを描くため
僕は画家になりたい
描き尽くせぬと知りつつ
窓灯りのように君を包 ....
皮膜を張った空に
午後の白い陽は遠く
道は続き
かつてこの道沿いには
古い単線の線路があり
そしてこの季節になると
線路のこちらには菫が幾むれか
線路のむこうには菜の花がたくさん
....
僕らは出会った
地上から空を見上げる
距離でしかなかった
そんな僕らが
とても遠いところから
生まれてきたような
そんな僕らが
買ったばかりのノート
一ページ分にも ....
私は未だ
まどろみの中
目覚まし時計が
鳴っている
わかってはいるけど…
地上に舞い降りた
織姫と夏彦
感動の再会も早々に
夏彦は両手いっぱいの
高級ブランドの紙袋を持って
....
あるテレビ特番の早押し問題で
四択の中から見つけた正解
水色ドレスのシンデレラ
ある夢と魔法の王国の
お城はシンボルで合ってたっけ
水色ドレスのプリンセス
夢と魔法は心地いい
豪 ....
きのう
飛び去った飛行機のように
蛾が震えていた
取り残された最後の技師が
数値を記録し続けている
薄汚れた窓硝子の向こう
森を走っていく少年あるいは少女の白い素足が
境界を飛び越えなが ....
花びらの散った木を眺め
美しいと想う
折れたラケットを眺め
愛しいと想う
膝の怪我はもうじき
私の意識から消え去るだろう
消失していた筋肉は
長い年月をかけ
蕾のように少し ....
浅い眠りの飛び石づたいに
今日の岸辺にたどり着いた
非武装地帯の朝焼けは紫色
ただれた雲が東から順番に裏返る
もう少し痛みが和らいだら
着古した戦闘服を洗濯しよう
レンズ豆 ....
蒼天に浮かぶ美しき表現者
透き通る白
誰もが魅了され
とらえる者を許さない
その柔和な所作
それは不可解な感覚
その美しさは
比類無きもので無い
だが唯一つ
地上の人々を包む ....
戻さないで
1日はもう終わり
夕日が帰るところ
おはようだなんて
こんにちはだなんて
また明日のセリフ
戻らないで
オレンジ色の背中が
仲間達とはしゃいでいる
時 ....
この野郎、ピンポンダッシュしたろかな
マンションだと言われればそんな気もするアパートの角部屋
レースのカーテン越しに人の気配が行ったり来たり
どうやら生きてることは間違い無さそうだけど
....
T+74.130
Last radio signal from orbiter.{注*=Challenger timeline(UPI)}
切断された管をたなびかせながら
放物線を描いて ....
この星系のどこか
色でけずったメタンガスにちかいどこか
バスの墓場がある
何億台もかさなりあって絶命している
すすけた錫がキーンと光っている
純粋だと主張する天頂方向に
....
私に手を掛ける三分前
あなたの世界は破裂したのだろうか
どろどろとした緑を排出しながら
あなたの世界は破裂したのだろうか
私とくちづけを交わす三分前
あなたの世 ....
ぷっ・・・・
無償の愛、だなんてことば
今時ぬか床にも入ってないよ
ひっさしぶりに聞いて
笑ってしまった
あたしはエントリーシートに
「ありがとう」と言われることにやりがいを感じま ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
夜の雨の
斜線、斜線、斜線、
*
秋の真昼の真下
やわらかい一続きのわたしの輪郭は
ある一続きの輪郭の生きていることを
やわらかく深く知ってしまった、そして ....
薄明かりの中、夜目が利かない私の手を引いて
いつの日か連れ去って下さい。
貴方の幸せがいつも私の隣に存在するのなら、
こんなにも幸せな事はないよ。
貴方を守りたい
....
ミルクが欲しい1歳は
男が欲しい21歳に
あっけなく捨て去られる
新しいゲームソフトが欲しい12歳が
プラダが欲しい32歳の
財布から金を抜き取る
夢が欲しい33歳は
安定が欲し ....
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