慟哭はたちまちの内に凍りつき
ひとつの惑星になってしまった
あまりに穏やかなその姿を
僕は畏れた



硝子ほど鋭利ではないけど
涙ほど優しくもなくて
だけど人を殺すことはできる
 ....
漆喰にできたひび割れは
溶けた鉄の蒸気で
ゆっくりと蘇生してゆき
心と体の仲違いは
いつか結露する

細切れの肉のように
安売りされていく苦痛を
和らげるために打たれた注射は
小さく ....
在りし日の詩人は、独り 
無人の原野に佇む影となり 
夕空に巡る星々を 
澄んだ瞳に、映している 

(この哀しみの地上こそ、我が故郷・・・) 

頭上を掠める鳥達が 
翼を広げ、舞い ....
 
 
ちょい悪オヤジがホテルに泊まった
何かの手違いだった
手違いだったはずなのに
彼はホテルの一室で
快適な時間を過ごしていた

ノックする音がして
ドアを開けた
ボーイだった ....
 ―離して

耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた

 ―僕がいると
  余計に泣かしてしまうから

犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
 ....
きみの傷を食べたい

手にとって口を汚し

きみの痛みと同苦したい

冬の帰り道

きみを拉致しにゆく

きみを殺しにゆく

ぼくらはちがう空の下を歩いている

月の満ち欠 ....
暗闇のつくりかたはおしえてくれなかった、調剤を違えたことで淡くにじむ夜に、わたしたちの薄い網膜は死にかけたダイオードのようにうつくしく墜落していく、埃を纏ったディスプレイの熱を、いくつ .... もう壊れてしまったから
捨ててしまうのですか?
ぼくの紡いだ時間の縦糸が
ぷっつりと切れてしまいました

重たい
川に入ると
そのままでは浮かんでこれない

壊れ物だけが集まる遊園 ....
川が流れていた

彼らはまだ海を知らないのに

ぼくは彼らが海に行くのを知っている

声などひとつかけてやろうか


ひとが土手を歩いていた

彼はまだ天命を知らないのに

 ....
{画像=100104083022.jpg}


その時は
あなたのその手で いっそ
あたしを殺してくれますか

それができぬのならば
最初から好きにならずにいてください
恋心とい ....
元旦の朝
目覚めると
枕もとに息子が
座ってました

いつからそこにいたの
と尋ねると
わからない
と笑うので
不思議な気がしました

それから
お雑煮の餅を
小 ....
四葉のクローバーを見付けて

一枚葉をひき千切った

するとどうだろう

さっきまで幸せの幸福の四葉のクローバーだったけど

今はそこら辺にいる普通のクローバーになっていた

気味 ....
冥王星から始まって
シリウス、シリウスBへ
カノープスが続く

アケルナルはエリダヌスで
はくちょうにはデネブ

落ちてこないのは ことのベガ

冬のオリオンにリゲル
北極星を見つ ....
日頃の不摂生で 
年の瀬に熱を出し 
病院で点滴をした三日目 

今日、初めて気づいた 
点滴を吊るした棒の台車に 
歩きやすいよう 
掴まる取っ手がついてたことに 

昨日、僕は点 ....
「おやすみタイマー」の時間が切れて 
はぁ〜・・・っと暖房は息を吐き出し 
お役御免、の佇まいで 
部屋を静寂が、支配する。 

その割り切り具合に何故か 
好感を持つ、夜のひと時。 
 ....
星は知らないという
星にひとが名づけた名前があること

ではひとは知っているのだろうか
星にひとが名づけた名前があること
星に名前がついているわけ

幾通りもの答えがあっていい
たとえ ....
「さあ、心臓の話をしよう」
名前の付かない生活と繰り返す死臭
或る者は可視領域にある組み合わせで血流を速め
また或る者は賢く壷の外で萎れて微笑む
狭い棺の中で生物学的な吐息に憧憬を抱いた刹那、 ....
ぱくぱく金魚は
今日もぱくぱく

限りある水の中で生きるの

水中から見た歪んだ姿
名前は知らない 君は誰?

沈んだ餌はやがてふやける
ゴミになって藻が生えて
僕の生活スペー ....
鼓動はやすらぎをもとめるものに平安を与えない
耳の奥でいつまでも小さく鳴り続ける戒厳令
風が霧を吹き払えば一面に悪臭が充満した
エメラルドグリーンの湖水も美しくさえある

何をしていても何を ....
ずっとずっと遠くまで私を背負ってくれたあの人。


あんな公衆の面前で
無茶なお願いをした私に
仏頂面のまま
それでも、背中をさしだしてくれたのは何故ですか。

その薄くて柔らかな皮膚 ....
地球について
しんとした時間のなかで
僕らが一秒でも考えてあげることができたら
六十八億秒の祈りが生まれるよ

気持ちを吐き出してしまいそうになるくらい
好きなひとに出会えたのもこの星だし ....
擦りガラスの窓の外で雨が降っていて
数種類の酒が胃のなかで渦巻いていて
さっきまで着ていた服は
手の届かないところに落ちている

不貞腐れた文句に耳も貸さず
吸いつづけた煙草の灰が散らばっ ....
生まれた季節は冬の冬
 年の最後のどん詰まり
 暮れ行く年の落し胤
 雪もはらはら降るような

生まれた街は底の街
 上の街のとなり街
 違っているのは人の色
 違っているのは家の ....
腹いせ紛れに
近所の女に
愛を語った夜
夢の中で
大きな力が
渡ってはならない川を進行した
大群で
歌を歌いながら
さながら王朝末期の
十字軍だった

愛の名のもとに
人が人を ....
大きな夕日の線状に放射される
赤い光線の先に
黒いシルエットに変わるまばらな家並みが
山並みにより既に陰っている
表面のうねっている畑の中にあった。

その中を疾走する人影一つ
帰るので ....
交通事故で皮膚をなくし
隠れていたヘドロが
全身にあらわれた患者が
急いで運ばれてきた
口の中にも及んでいて
のどまで通った管で
かろうじて息をしていた

時間は一刻も無駄にできず
 ....
夜はもう星を睨まない

素晴らしい調和が
海のようにやってきて
空と地上とが
反転する

ここで重力が
反対になり
私たちは
みんな振り落とされるだろう

黒い宇宙が
波打つ ....
冬の風ふく日だまりは
とおい微熱の少年時代
汚れの意を知りもせず
光は淋しい洞窟だった

ああ、12年年3万人の自殺者が
記憶のように消えていったのです
それを恥じずにいられましょうか
 ....
始めは静々と歩み始めた恥掻きっ子は、
獣道を中腰で歩き続けて、
水のある川岸まで
キョロキョロしながらたどり着いた。

川岸の潅木は少し腐りかけていたが、
得意の木登りで川岸に張り ....
それは何かの予言のようで
空の七割は雲に覆われていて
甘く温かいホットミルクに
頑なな心まで溶けて

買い置きしておいたバナナは
黒い斑点だらけになり
みずみずしさを失い
しおれていた ....
中原 那由多さんのおすすめリスト(877)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
宇宙- 九重ゆす ...自由詩3*10-1-18
風になびく糸- within自由詩7*10-1-18
詩人の涙_- 服部 剛自由詩210-1-16
ホテル・リグレット- 小川 葉自由詩3*10-1-15
首輪の外れるとき- りょう自由詩20*10-1-12
哀歌- 吉岡ペペ ...自由詩310-1-10
それは、適切に壊れ続けるための- ねことら自由詩610-1-9
コワレモノの涙- within自由詩20*10-1-8
海と天命- 吉岡ペペ ...自由詩410-1-4
「恋情」- 月乃助自由詩12*10-1-4
天使の演習- 小川 葉自由詩510-1-4
四葉のクローバー- こめ自由詩1010-1-2
銀の砂場- within自由詩12*10-1-1
新年の扉_- 服部 剛自由詩8*09-12-31
新しい季節へ_- 服部 剛自由詩309-12-31
星に名前がついているわけ- 小池房枝自由詩509-12-31
愛が足りない- CAMILLE自由詩309-12-31
金魚鉢- 三奈自由詩809-12-30
The_END- 瀬崎 虎 ...自由詩2*09-12-29
記憶の感覚- 空都自由詩6*09-12-29
六十八億秒の祈り- 吉岡ペペ ...自由詩1109-12-29
終わらない愚行のために- 自由詩209-12-28
はじまり- ……とあ ...自由詩16*09-12-28
パブロ- 真島正人自由詩2*09-12-28
彷徨ー黄褐色の月−- ……とあ ...自由詩9*09-12-26
パフェ・クリニック- りょう自由詩6*09-12-26
ソウルシンガーに託す- 真島正人自由詩8*09-12-26
みんなごめんよ- 吉岡ペペ ...自由詩609-12-26
ピテカントロプス- ……とあ ...自由詩7*09-12-25
傷だらけ- within自由詩14*09-12-24

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