いろはにほおずき くちづけしたね
緑のこころはあかい頬だった
いろはにほしくず ながれておちて
二人のなみだと彗星だった
いろはにほのぐれ ゆうやけこやけ
あなた ....
見通しのいい場所で
感じないのは何故だろう
グッバイガール
細い月はハイヒール
運命はやはり
あると思うんだ
遠く遥かなものに
励まされてきた
君は近くのものに
励まされ ....
かなしみの淵をなぞるゆめ
鋭利なガラスで指を切るゆめ
開いた詩集を風が繰るゆめ
その一ページに血をこぼすゆめ
うすももいろの唇に
ぼくのインクで紅を引くゆめ
まだ汚されぬやわはだに
....
夏になりきれないままの陽気
心地よさを感じさせる風が流れる度に
何故か懐かしい記憶が駆ける
まるで実りの薄い穂先を満たすよう
年月という重さはまだ
温もりを保てない水の底にあって
語りかけてはくれ ....
闇の中に
孤独の地鳴りが
今日もまた
聞こえてきた
耳をつんざく爆音は
彼の抱えるやるせなさ
時代遅れの刺繍や
漢字だらけのでたらめな愛情表現
通り抜けていく風は ....
夕立の予感をたずさえて
疾走する道
夏は
風が南から来る
雲は見る間にあなたを追い越していく
あなたは風を背にして立ち尽くす
雨が降り出す
あなたは一人だ
さすべき傘など持たず
....
もともとここに意味などないから
意味とか考えたって意味はないし
これからも意味ありげな言葉を
もともとここは汚れてたから
汚ないって言ったってナンセンスだし
これからも「世界は美しい」と ....
夕陽は車窓に 吸い込まれ
影絵となって 帰還します。
今日という日に 幾千の
足跡残して 帰還します。
今朝の思考が整う前に
夜が招くは 次の朝。
要 ....
迷って
悩んで
苦しんで
笑う
最近泣いてないな
最近喜んでいないな
最近痩せたな
最近幸せだな
命を大切にな!は
ヒイじいちゃんの
口癖だった
今生きています。
届かないと思っていた扉の取っ手は
いつの間にか腰の位置になっていた
背が伸びて視野が広がる
遮っていたものに追いつき追い越し
世界の大きさに少しずつゆびが触れる
もうすっかり ....
うつくしいものは、あなたの涙
うつくしいものは、あなたのくちびる
うつくしいものを知らずに、あなたは
地上を這い回る、あなたは
哀れでいとおしく
人はたくさくんの月や星や太陽を贈る
....
090820
再導入された
資本主義と
評価を得たが
貧乏暮らしが
良くなるわけではなくて
お金持ちが再評価されて
資本の形成が促 ....
「移」
知らぬ間に忍び込んだ次の季節を
昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす
移ろっていく速度のやるせない違いに
胸の奥をさざめかせながら運ばれていく
....
飼っていたのは、音のない荒野
はちがつの、日なたに置かれたたまごのように
だきすくめるたび
わたしのりんかくを剥がすもの
透明な模型のような日々
を、くみたてる
....
「倒れかけた鉄塔」という唄を
口ずさんで、歩いていた。
道の傍らに、全身は枯れながら
太陽の顔を燃やしている
向日葵達は
只
夏空を仰いで
密かな合唱を、奏でていた。 ....
放課後、屋上に呼び出され
どこにいるのかと見渡したら
彼女はコンクリートにうつ伏せていた
近づくと、目を閉じた横顔のまま
私の輪郭を引いてくれないか、と
きっぱりと言った
よく解ら ....
可も不可もないアンビエント
機械的な五月雨
素顔のない胸像達 アトリエ
寓話を演じるアリとキリギリス
小さな庭のペシミスト
楽観主義の{ルビ大喰らい=ガルガンチュア}
....
或る部屋の窓辺で
日が陰を大きく傾げるのを
ただ子供らの声とも
蝉の啼く声とも判別し得ぬ
まどろんだ感情のまま
ひと思いに飲み込んだ
風景の無味乾燥な後味が
一度体内で逆流を試みたも ....
木洩れ日が肌を焦がした夏の友のように、{ルビ目映=まばゆ}くからかう
種を溢して果てる向日葵
窓から人知れず洩れた、夜の海が街をひと飲みにした
黄信号の点滅
夏の恋人のように、 ....
さよなら、20世紀のかなしみ
戸惑うばかりに時を紙やすりで削り
緑が朝の雨に研がれていく
薄暗い台所では 食べる営みの準備
食い繋いでいく真摯な必要性を包(くる)む
食べもしないのに ....
地表から湧き上がる夏を
青草は隠して
かすませて美しい
ゆらめく
蜻蛉の影から
夕暮れのひかりへと
だれかの想い出が
続く
そうやって
かみさまは遊ぶ
へばりついた空音
....
人はいつか皆
炎の内に燃える
黒い影となり
溶け去る
異国の川の畔で
数時間前に
細い息を吐いていた老婆が
白い骨になった時
彼の脳裏に何故か
旅立ちの日 ....
いつしか雪が降りだして
夏なのにね おかしいね
僕は悲しい顔をして
君が帰ってくるのを待っている
僕のほうが先に死んでしまうよ
犬だものね 当然だね
玄関のタイルの冷たさに
柔らかく ....
モノ言う知事の鶴の一声で
急遽ネーミングが変わったのだが
大江戸の名は意外に馴染んでいる
最初は環状線になるはずだったのに
いつの間にオタマジャクシ型に
計画変更されたのだろうか
....
片隅に置かれた人形は汗をかいている
滴る雫は畳に吸い込まれる
部屋は水槽
水が満ちて、満ちて、満ちて
月影を残して
わたしの体を夜にする
性と性が繋がり生になる
欲望と ....
公園で
深呼吸をする
気持ちいい
日が差して
そこはパラダイス
お茶飲んで
まったり
ゆったり
くすぐったり
ケヤキって
どんな木
石がきって
どんな石
夏休みで ....
ふと、した時
この世の全部は、蜘蛛の糸に覆われているのではなかろうかと、
心配してしまう
心配性の僕は
心配してしまう
勘ぐり屋の僕は
ふと、した時
魂の全部は、蜘蛛の巣に捕らわ ....
あわ、あわ、あわ
そうやって生きる
ふら、ふら、ふら
うまくいかないな
電子の星を、飛び越えて
きら、きら、きら
夢だけきれい
じわ、じわ、じわ
蝉も死んじゃった。
終わ ....
僕が夜食のブタメンに湯を注いでいると
君は、子供の携帯からメールをよこす
「きょうのはなびはきれいだったよ。おかあさんとみました。」
ひとり暮らしのマンションから
夜空はつながっている ....
夏の空が広く見えるのは
余計なものが流されているからだろう
小学生の頃の一番の友だちは
国語の教科書と学級文庫と図書室の空気
頁をめくったときの薄っぺらい音と
綺麗に並ぶ印刷の文字が ....
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