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今夜は神日和{ルビ=カンピューリゥ}
神日和{ルビ=カンピューリゥ}は物忌み
神日和{ルビ=カンピューリゥ}の夜は家の外へ出てはいけない
村の年寄りは若者に諭した
けれど若者は
十三日の ....
弥勒の雨の降り初め
緑青の音階が透きとおった
川はもう
市街地に集合して海に戻りたがっている。
手のひらに(砂の塩)
29℃の残り香が開け放たれた窓を過ぎ、
鉄の雨が降った
クリーム色を ....
(月を黒い種に、太陽を色彩の影のない輝きの雨にして)
ほんのりと甘い、果物の匂いがした
乾いた風が吹く緑の丘の上から
眼下に広がる果樹園を見下ろす
頭上の雲から誰かに見張られていて
けれ ....
人魚が落とした真珠のピアス
水の都の旅人を
沈む陽が遠く海を染めるまで
静かな寂しさに導いてくれる
遠い日の面影だけ映して
消えた貴女を追いかける
黒く塗られた渡し船は
揺れる水面の ....
心はいつも溢れる洪水の岸にあるけれど
この身は独りモロッコの砂丘にある。
鳥が落とした棒切れを拾い上げ
星形の砂漠に
蜘蛛と猿の地上絵を描く。
砂紋を横切るように
てんてんと残 ....
ラッパ鳥のダンス
応える相手のない
悲しい求愛のダンス
ふさがれたふたつの耳孔の奥では
季節のほとんどが熱帯の雨に閉ざされている
光る螺旋を降る
大気は息苦しく湿ったままで
密林 ....
口笛を吹いて、絨毯を呼ぶ
輝く絹と金糸で幾何学模様に織られた、翡翠色の絨毯
絨毯は主人である僕のもとにすぐさまやってくる
魔法の絨毯に乗り込むと僕は
月夜の花に埋もれて眠る
君の夢の ....
私のふたつの乳房は
アムリタの豊饒に満たされている
明けたばかりのこの夜
現世が終焉するその前に
私のアムリタをあなたに飲ませたい
真っ赤な舌をチロチロと動かす毒蛇のように
長い
この腕 ....
傾いた春の海、季節の春分点から誕生したばかりの
太陽を浴びる雨
真珠色に輝く鱗の人魚より、二足の人間に目覚めるための進化の探求
我が子の足跡を追いかけて
夢の境界から、氷の白地に這い出 ....
僕の銀色の船は、雨の海を北上し、
目的地の虹の入り江にたどり着いたところだ
虹の入り江は、とても綺麗に湾曲している入り江だ。
ここは本当に美しい月の名所で
地球にいた頃から ....
白く獰猛な太陽は
月面の果てしない砂(レゴリス)に生命を吸いとられるように沈み
僕の銀色の船は水のない海(マーレ)を
宇宙の闇夜に揺られながらゆっくりと航行する。
僕は今、雨の ....
てのひらに乗るくらい
小さな桃色の巻貝だけ
あなたに送ったのは
あなたがくれたお手紙が
あまりに優しすぎて
どうご返事してよいのか、思いつかなかったから
その貝は、私が小学生の ....
静かの海に来る前に、晴れの海に寄ったんだ
月の海、そうこの大きな穴ぼこ、クレーターは月の内部から湧き出してきた溶岩で覆われている
僕の銀色の船についている小さな窓からのぞいていると
ちょうど灰色 ....
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小さな南の島の
星砂の浜に
小さな青海亀が生まれました
波の泡のように柔らかな水色の甲羅を背負った
たくさんの子海亀たち
まあるいお月さ ....