雲が白く山肌を覆う
そんな雨が途切れた夕方に
幻を見たような気がした
むせかえる夕立の後で
耳元で囁いた
その柔らかい息づかいが
脳裏に焼き付いて
繰り返すフラッシュバック
目眩の底に ....
乗馬パンツを試着する
膝に白い羽毛を見つけ
これにファルコンの綴り
を刺繍してもらう

*

まわるまわるルレットの
太陽
を日付変更線で切り取り
新しい布地と縫い合わ ....
今年の梅雨は
ながく暗く
何もかも腐らせてしまうまで
終わらないようだった

水道の蛇口をひねると
締める直前に
白いクラゲのようなものが
ぬるりと出てきて
コップの中に浮かんだ
 ....


車は停まり
人は進む

車は停まって
足は歩いて
手はそよいで
目は泳いで
思考は羽根をつける

時計を読み流して
ショーウィンドーを見過ごして
雑踏の中で溺れかけ ....
四つ角に生まれた風が
光になって踊っていました
六月の紺碧 空の下
オークの木のどの枝たちも みな夏に呼応して
新緑に色づく

私は、これが最後だと思うのに
あなたは、いつも明日を口にす ....
 
電話が鳴った
君は「暇だから・・・」
と言った
白い雲が
空の端から
反対側の端に流れていったのだけ
覚えている

電話が鳴った
君はいつになく無口で
雨音が聞こえていた
 ....
おだやかな喧噪の中
肢体を浮かべ そして、ゆっくりと沈めていく。

市営プールの水は 軽やかに
そしてその身深く すべてを溶かしこんでいく。
汗や洟や涎や涙や膿も
吐き出された空気や抜け落 ....
まだ固いスーツを初めて着た日は
苦笑いをしながら君に見せに行った
確かアザレアが咲く季節だった

明日から社会人だよ、と
半分不安めいた口調でそう言った
確か猫の恋が始まる季節だった

 ....
雨が似合う日に
とっておきの
憂鬱を着て

雨が似合う道を
お気に入りの
傘をさして

雨が似合う花に
こっそり
逢いにいく

雨が似合う人には
なかなか
なれそうにないけれど

もう雨は
嫌いじゃ ....
いちまいの毛布から抜け出した朝は
月が赤い雲に照らされていた

宛はないのだけれど
ただただ澱む空気から
わたしをひとりにする風を感じたくて歩いた
夜明けの部屋ではひとり
きみが ....
眩むように
ひそやかで


賑わうように
うら寂しく



微かに浮き立つ
輪郭を描写するような



凝縮された時間の果ての
雪洞にも似た夜の入口に導かれ


僕は



記憶の中、
遠くか ....
空は青すぎた
夢みたように青くて
黄色い帽子をかぶった子供たちは
疑うことの無い目で
ばらばらと 塊になっていた

交差点で その塊は
黄色の子供は乗り出す
車は知らん顔で過ぎた

 ....
忘れられた小さな空がある。

初夏の風を受けて
駅に続くなだらかな坂道を
歩く途中にある
金網のフェンス越しに

名も知らない花の群生
赤紫の小さな花を
背の高い茎にたくさんつけなが ....
僕の目を睨みつけてる
君の瞳を見詰めてると
愛がとても重くて
床に落ちたような気がした

君の瞳からあふれ出る
たくさんの涙を見てると
愛がとても脆くて
崩れ落ちたような気がした

 ....
土に帰らぬ朽ち葉を一枚、
あてどなく水面に浮かべた細流の
畔に立った子らに見送られては
水の音も爽やかにせせらぎ

淡くまぼろしのように霞み
遥か幽景の連なる墨絵のごとき山々
それで ....
 
 
くつがえりたる
そのエッジは斬って、裂きます。
 
手の内で
私を温めた
手の内の ハデスを
ブランケットにくるまれた
彼の丸みごと
つんざいて、
 
また飄々とした  ....
うたを歌わなくなって陰影がわからなくなる
道端にすべて宇宙の残骸がおちているような
夕暮れまで秒読みを開始してアルミの屋根を
じっと眺めていた小国民少年少女一様に空へ

沈黙はもうだれもみな ....
駅前に丈高く伸びた
雑草の海
風にそよぐ波の向こうに
マンションが一棟
真新しいコンクリートの
白っぽい剥き出しのグレー
に風がそよぐ

ポークパイハットを被ったような雲の
ぽっかり ....
 

雨が花の形を整えていく
わたしたちは共通の言葉で話し
共通の言葉で
触れるべき場所に触れる

民家の前にぽつりと置かれたバス停で
傘を差してバスを待つあの二人は
親と子なのだろ ....
重い雨が降っている
重い水が降っている

土くれになるはずの肉塊を
池に沈めれば
浮かんでくるのは
感覚のない 時の澱

「君ばかりが悩む必要はないんだよ」

背負い込んでいるのは ....
厳格な直線と
流麗な曲線で構成された
コンクリートは
お好きですか?

清潔な時間と
快適な空間が約束された
コンクリートは
お好きですか?

過剰な郷愁と
曖昧な体温を排除する
コンクリートは
お ....
雨の生糸で編んだ夜
街の灯りのビーズ揺れ
傘の上では獣の足音
軽やかに
六月の匂い 
たてがみやしっぽに乗って
運ばれる

鈴蘭を揺らす雨粒は
小粒のおいしいドロップス
だどもあの ....
放った視線はもう戻らない
青いラインとなり視野の先へと伸びていく
たったいま不可視の場所は
あなたの瞼の裏です

略するでもなく連続で地面が傾いていく
朝へ朝へ
あちこちに梯子が突き立っ ....
ただの鉄塔を見つけた

ただの言葉を思った

傷つけたり不信がらせた

さっきのただの言葉

あとなんにち人間やれば

まともなただの男になれるんだよ

おーい、東京タワー、

おまえは、来年あたり、 ....
形ばかりの水面に
罪を埋めて海を目指す
背の低い潅木に砂が吹きつけられ
背景はいつまでもグレーそしてグレー

声を閉じ込めて液体は走る
髪をつかみそして柔らかに放して
希望と金星は同じく ....
北山通の並木かなしむ夕暮れの色はほんのり青さをもって


少年が息をひそめていたわけは蛍でしょうか哲学のみち


宇治川を背に立つ君の少しだけ歴史を知っていることが ....


 清流の待ち合いに幾重もの波状揺れて
 なだらかな境界は 水映えの記憶
 黙念とした水の浄土、晴れ渡る透明の乱反射
 H2Oの棲み家 笑って消え去る
 変容が ....
ぼんやりと浮腫んだ月が
夜空の底から覗いていた
見透かしたような月光が
書きかけの溜息を嘲っていた

出かけたっきり帰ってこない
セツナサを待ちあぐねていたら
黙りこくったキーボードを
飼い猫が悠々 ....
葉緑体がうごめきはじめ
水の粒子が
細かくも玉になり
肌に薄く膜を張っても
心踊らない石礫が
川原に帰りたいと呟いて
乾いた舌が口の中で途惑う

手を伸ばして
掴みたいものなんてなか ....
わたしは
あなたの音楽でいたい
あなたのくちびるがそっと開いて
嬉しそうに口ずさむ
空に向かって呼ぶように

わたしは
あなたの水でいたい
奇跡の泉にはなれないが
乾いた心を潤し ....
中原 那由多さんのおすすめリスト(878)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
梅雨明け- ミツバチ自由詩7*10-7-17
立体裁断(連詩)*夏野雨、渡ひろこ、他- たちばな ...自由詩13+*10-7-17
梅雨- ryou自由詩410-7-2
信号機(歩行者専用)- nonya自由詩21*10-6-26
夏の風- 月乃助自由詩17+*10-6-20
電話の向こうで- 乱太郎自由詩14*10-6-18
市営プールの水の中- R.F.自由詩1*10-6-16
いつかいつの日か、透明になる君に- 梨玖自由詩2*10-6-13
紫陽花- nonya携帯写真+ ...12*10-6-13
有明- あぐり自由詩3*10-6-12
足跡の張- オリーヴ携帯写真+ ...1410-6-12
下校風景- 朧月自由詩310-6-11
小さな空- ……とあ ...自由詩20+*10-6-11
拾い上げよう- A-29自由詩4*10-6-10
豊かなる曖昧- atsuchan69自由詩9*10-6-9
tiny_jigsaw- 吹雪自由詩210-6-9
どうかね_君は- 瀬崎 虎 ...自由詩410-6-8
駅前再開発- ……とあ ...自由詩6*10-6-7
抜け殻- たもつ自由詩2210-6-6
世界は勝手にできあがっている- within自由詩5*10-6-6
コンクリート- nonya携帯写真+ ...9*10-6-5
水の獣- ふるる自由詩7*10-6-4
絡む根を梳く- テシノ自由詩210-6-4
ただの鉄塔- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...8*10-5-31
アスピラ- 瀬崎 虎 ...自由詩210-5-30
京都慕歌- Rin.短歌28*10-5-28
宇宙空間、眠る庭園_(部分)- ヨルノテ ...自由詩110-5-27
スランプ- nonya携帯写真+ ...7*10-5-26
雨粒の木霊- within自由詩2*10-5-26
- 乱太郎自由詩15*10-5-24

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