Moon
月乃助


くちにだせない
気持ちは
胸に抱いたまま
Moonlight Express

埋めてしまおう、
柔らかな後悔の穴へ
人が静寂の月に行きたがるのは、そのため
そこまでいけば、小さな粒子の
人を惑わす砂を手にできる

月へのエクスプレスに乗って
音よりもはやく、追いかけてくる悲しみよりもすばやく
無重力の中を進んでいく
落ちることのない なみだを
指ではじき

空を翔けるにまかせ
心に浮かぶのは、嘘と呼べなかった想い

星の輝きを窓に見ながら、
追想に 目をはらす
青い地球を飛び立つ、高音速の旅の果てに
45億の夢を振り払いながら、
悲しみに 浸かった
想いを消してしまうのです

話をきいてください、
少しづつ ずれていくならもう修復はできないのですね、
別離を埋めますか
チケットを買ったらもう後戻りは許されない
星間連絡ラインは、小熊座の明かり、
ありきたりな そんな光りさえも
まばゆいほどに輝いている

かなたに消えていきます
幻などでない、星雲の塵のなかにうずまく想い
コンパートメントの中でなら忘れられる
愛しさも、期待もなくしながら

だから、どうしたって月の砂に埋めてしまうのです
胸の痛みだけが残ろうとも、さあ
月面到着時間がせまってくる
エクスプレスの光跡は、
どこまでも、はてまでも
輝きながら
尾をひきながら





自由詩 Moon Copyright 月乃助 2010-02-22 07:23:23
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