蓋をしめる
窓枠

 わたしは蓋をしめていた

あきっぱなしのものを見てしまうと
得体の知れない
なにかが
侵略をしに来るのではないか
感情は青ざめ
そして おののくのです


 気付けば穴をみつめていた

ペットボトルの飲み口だったり
桃源郷への覗き穴だったり
と わたしの瞳が迷い込んでいく

奥に
奥に 何があるのだろうか
誰がいるのだろうか
知り得たい答えへの道とは
なぜこんなにも細苦しいのだろう


 恐怖と謎に満ちていた

マンホールの下の都市伝説
井戸の奥底から這いずる女

どこか蓋を開けた先には地下世界があり
UMAや怪しい教団
はたまた財宝が潜んでいるのでは?

すべてが憶測だからこそ
まことしやかに噂され
とんでもない雑誌が棚に陳列されるのだ


 わたしは蓋をしめている

一日を終わらせる為
空が暗幕をおろすよう

睨みあっていた夫婦が寝静まり
互いを抱きしめあうように
ささやかな日常で完結が迎えられていく

はじまりの予感を散りばめて
開くその時を待っているのかもしれない


見知らぬ誰かが
蓋を開けしめするのと同時刻

 わたしはこの書記に 蓋をした


自由詩 蓋をしめる Copyright 窓枠 2010-02-21 19:58:47
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