蓋をしめる
窓枠
わたしは蓋をしめていた
あきっぱなしのものを見てしまうと
得体の知れない
なにかが
侵略をしに来るのではないか
感情は青ざめ
そして おののくのです
気付けば穴をみつめていた
ペットボトルの飲み口だったり
桃源郷への覗き穴だったり
と わたしの瞳が迷い込んでいく
奥に
奥に 何があるのだろうか
誰がいるのだろうか
知り得たい答えへの道とは
なぜこんなにも細苦しいのだろう
恐怖と謎に満ちていた
マンホールの下の都市伝説
井戸の奥底から這いずる女
どこか蓋を開けた先には地下世界があり
UMAや怪しい教団
はたまた財宝が潜んでいるのでは?
すべてが憶測だからこそ
まことしやかに噂され
とんでもない雑誌が棚に陳列されるのだ
わたしは蓋をしめている
一日を終わらせる為
空が暗幕をおろすよう
睨みあっていた夫婦が寝静まり
互いを抱きしめあうように
ささやかな日常で完結が迎えられていく
はじまりの予感を散りばめて
開くその時を待っているのかもしれない
見知らぬ誰かが
蓋を開けしめするのと同時刻
わたしはこの書記に 蓋をした