不在
カンチェルスキス






 こんなにもまっすぐ前が見えて
 とにかく死にそうだ
 街路樹の下に落ちた影が
 決められてもいないのに
 光を失う
 道の先で
 郵便配達夫が方向転換する
 それを見てるのは誰だ
 一人しかいないし
 認めた次の瞬間には
 誰もいない
 不在が通りゆく
 鉄工所の駐車場
 遺留品のようなトラックの後輪タイヤ
 水分のない砂利










自由詩 不在 Copyright カンチェルスキス 2004-06-14 14:27:11
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