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LEDひとつに
頼るだけの夜の一人は
優しい時間を知っている
あのひとがくれて
のこして経った
時間もまた
優しくて
十二月だ
死をふたつ知っている
十二月だ
あした雪は降らな ....
爺ちゃん
本当の爺ちゃんじゃないけど
本当の爺ちゃんみたいな
爺ちゃん
筋の通った生き方を
と
辛抱強く
教えてくれた
わかるまでに何年かかったのか
、だけどさわかったけどもその前に
まずはお ....
きみの産声は
午前6時のものだったらしい
かつて手帖があったころ
盗み視た
かすかな記憶
その時きみを照らしていたのは
夜明けという天然のシャンデリア
きらきらとさやかに
祝福はあった ....
いま
言われたいことが
転がっていない夜
灯りは決まって
白色の町
自転車で抜けて
風も無い
向かいっ風も
追い風も
泣いていい理由ばっかが
ダイヤモンドの原石かのように
きっとこれが最後
いつもそう思っていた
なにかさやかなことがあると
神さまから戴いているこの世での運を
いまこそ使い果たしているんだ
と
見あげるとどうやら降りそう
雪? だといいけ ....
浜の足跡
とうに消え
浜のお城も
とうに無い
あの子も
あの子も
帰っていった
帰るべき胸へ帰っていった
母さんのシチューが
湯気立てる
初冬の台所
覗き込む
その ....
はざかいの風が
わたしの季節を
灯し忘れて経ってしまった
とりのこされて
きょうも
おとなりの芝は
あおく
まばゆく
中途半端な雨降りばかり
こんな夜にも
手ばかり冷える
....
空をあおいでも
それでも足りない日には
年輪を刻んだ自販機に
たずねればいい
コインの用意はいいかい?
きっと応えてくれるから
躊躇わずに
それ、
買いなよ
いのちが潤うよ
どんな ....
きみが写真のなかで笑う
だけの日日になって
きょうも散歩道には
影法師が一つ
靴音も一人分
でも炊飯器は相変わらず一回に
四合を炊いているよ
楽をしたくって
バックグラウンドノ ....
首都高に陽は沈み
滞りのなく済んだきょう
帰り道にも屈託のなく
靴を脱ぎ捨てようなんて思わずに
橋を渡ることができた
今は部屋にくつろいでいる
五畳のわたしの聖域は
しっかりと夜の帳 ....
風が色を脱いで
凪と転生したのでようやく
息をつける嵐のあとの
藍色の雨のなか
隣に誰の無く
歩く傘を持つ手がそ
っとふるえるのは
これは
弱さじゃないよ
、と聞くものも無く ....
知ってた
みたことある
ここは春
夕日の庭に
すみれが俯いている
きょうの
最後の陽光は
わかっているよ
とうなずいて
わたしの誕生花を
すべらかな
風のてのひらで
撫ぜて
....
吐く息が部屋のなかでも白を語る
かじかんだ爪先に靴下を与えるでもなく
窓の外
早すぎた目覚めがかなしく
ひとりを悟る
{ルビ時間=とき}に負けて
遠のいてゆくあなたの微笑みは
ま ....
寄り添いたい
あなたと
冬はもうそこ
木枯らしは近い
並木は化粧を剥がしだし
惜しげもなく
紅いを降らす
さよならの
似合うばかりの
薫り立つ
かなしい晩秋
思いだけ ....
いま時分には珍しい朝凪に
吸い寄せられるように
車を止めて
浜へ降りて行った
もう、母国に
呼ばれることのないカモメたちが
白を惜しまずに羽ばたいている
水面はきらきらとさやかに
....
陽は沈み
わたしも 想いに沈んでゆく
白かった あの少女のワンピースに
色を重ねるみたいに
おとなの
ぬりえ
おひとつ
いかが
決して 一概に、一途だったとは云 ....
尽きない想いに眩暈して
それでもいつかは尽きるいのち
燃やし尽くし
願い尽くす
夜も更け
この秋も発ってしまう
待たれていたころを偲ぶ
影ひとつ
過ぎて愛想尽かされ
厄介者
....
行方不明者たちの吹き溜まりに身を寄せて
風の声を聴いていた
あの日
この日
ふるえる 空に
差し伸べられる 幾千の手のひらを
知っている
覚えている
立ち寄っただけの ほんの
....
置き忘れてきたわたしの笑顔
いまどこらへんで泣いてるかな
いつも思っているのに
足りなくて、足りない気がする
思わなくっちゃ思わなくっちゃ
泣き虫の笑顔のはにかみやこぼす愚痴のこと
聴 ....
かなしいけどあのひとはもういない
って 悟ったほうがいい
追いかけない、わたしだった
はず
思いを今日もひとつ
捨てて
時をたずね明日を
知る
みたい夢ばかりじゃない と
決 ....
流れ着いたころにはなかった公園
なかったベンチもすっかり馴染み
時を重ねている
けれど経つことない
思いは今日もため息に
変わり移ろいを 笑い飛ばしたいのに
過ぎた写真機を懐いて 佇むばか ....
どんなに身を焦がしても
無駄だよ
何度も言われた
諦めきれない
(でもね…
(少し、知ったかもね…
(沁みてるかも…
風がずいぶんと冷たくなってきて
お願いを
ひ ....
思いが波紋と広がり
弾けてきらめく
夜空に星座を探す夜は
そうして更けてゆく
ゆきずりに声かけて
無理にでも言わせたい
おやすみなさい
よい夢を
あてないから
お ....
語りたい思いを
風が連れ去ってゆく
初冬を迎えたちいさな
部屋から
窓は閉じられているけれど
夕べ 樹から葉が
離れてゆくのを見た
未練は何もないように感じた
履いてほしい ....
淋しい夜明けに
小鳥も来ない
一人の夜明けは
風すら逃げる
しーんと鳴ってる
首都高だけが
静かに冷たく
朝、告げる
荒川横の
ちいさな町の
ちいさなビルに
一人は生きて ....
木香薔薇
奔放な薔薇
手折っても手折っても
永遠にありつづけるかのような
、アーチにと出来心
いつもそんな歩き方してきた
消せない軌跡を店開き
投げやりごった煮のなか御粉がみえない
....
冬の終わるところへ一緒に行きませんか
さやかな声に振り返れば茶色い子
翼がふるえている
寒さにふるえている
融けないままの樹氷の絵がみえる
、いつの間にかここは冬の国
もとっか ....
東の方角からその 訪れが告げられると
愛らしい小鳥たちの一日が始まる
まばゆい永遠の訪れが告げられると
嫌われものの黒い翼の一日が始まる
東の方角からその 訪れが告げられると
エスプレッ ....
ここは東京 刹那街
沈む夕陽は 茜音色
お他所とおんなじ懐かしさ
さよなら さよなら
今日の 東京刹那街
ここは東京 刹那街
朝陽の空は 菫礼色
お他所とおんなじ爽やかさ
おはよう ....
黒のお茶に半月浮かべて
トースターでパンを焼く
焼く順番で喧嘩になって
お茶の色で喧嘩になって
バターが切れたと泣いて
わめいて 子どもの朝が
船出する 半月が笑った
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