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宙に舞う女
くすんだ夜空に溶け合う駅前の噴水をぼんやりと眺める
俺の目がくすんでいるのか、それとも
その答えを出す余裕すらなく
俺は俺の目を噴水の前にたつ女へと視線を移らせ ....
賭けた
恋のゆくえ
書けた
ため息インクの
メッセージ
欠けた
鉢に水をやり
掛けた
シャツに袖をとおす
翔けた
はだしのまま
駈けた
鼓動が歌う
駆けた ....
三保神社前の土産店で
ママカリを干したのを
またもらった
いわしと一緒に取れるのを
ついでに干しただけだから
いつも無料だ
なにか他の魚を買ってくれ
と言う
竹で編んだ手籠と
....
?.
逃げる父
母は捨てた
兄は堕ちた
姉は隠した
子どもは愛されている?
?.
高い水草の生える湿地帯で生まれた男や女は
高い水草の生える湿地帯で外を向いて車座になった
....
わたし すがた けした わたし すがた けした わたし
そして すがた けした わたし きえた せかい けした
代入因子。(過去の)どうでもいいこと。
素晴らしく単調な日々を送る事に疲れた背 ....
海を埋め尽くす無数の海獣
それらの移動に
海は慄き
激しく毛羽立つ
逆巻く海鳥の交尾
海獣の胴震いに振り落とされもせず
雌鳥は厚い皮膚の皺の狭間に産卵する
そして独身ものは空中を埋め ....
ベランダに産まれた雛を祝福します
遠吠えでもいいでしょうか
忙しさに そぞろにかまけます
できないものはできないので
ベランダで空地の雑草が生い茂ります
今なお 石に躓く幼さですから
....
いつのまにか冬になったと思っていたけど
あと数ヶ月もたてば
あっというまに春まっさかりだ
ぼくんちの庭には
小さな梅の木と
わりと大きな椿の木があって
そんな花たちが春をおしえてくれる
....
あなたと二人で
あなたと二人で
あなたと二人で
また歩きたいこの道を
あなたと二人で
一緒に見た夕日
湖面に映って二つ
照らし出すよこの道を
あの時と違うのは
背の伸びた並木 ....
無数の硬い実だ
日陰の広いテラスの横で
落葉したポプラの木に実るのは
黒く枯れた夢だ
初春の陽射しに映る
しろく輝くビル街は
湖水の向こうの蜃気楼
見たことの無い未来だ
二人で ....
草深い宇宙の
風景の灰色の中で
疼く不満や寂しさは
如何なる文化の残骸だろう
石垣に染み付いた地衣類や
鉱物を喰う黴は
硬い石の上に一時記憶され
やがては落魄する
地球儀と砂時 ....
まんじゅうの中には多分
夜
があるのだろう
だから
こんなにも甘くて
どこかに行きたくなるのだ
静かな絶望の風を纏うているか
大地に黒々と歪に伸びた生命線
白々と清清しいベンチでぼくは
茫々洋々停滞するハザマを思念
己より重い荷物を抱えフラフラ
果てなきみちに思いをはせる点
....
2人の営業が
毎月風の強い日になると
適当な場所を見つけ出して
俺たちを誘いに来る
各々フロイトやら バロウズやら
解剖学者ドン・ベサリウスやらの
ボール紙で作った仮面をつけて
酒瓶 ....
1.
そして、僕はそのカードを引き当てる
"Falling in Love"
もう一度16歳の少年に戻ったように
瞬く間に"恋に堕ちる"
そし ....
耳たぶがジンジンする
数時間前に私を昂ぶらせた痛み
甘い痛みで身体が疼きだす
あなたの猟奇的な振る舞い
肌に立てられた牙
その全てが私を昂ぶらせる
首筋の痣よりも
乳房の歯形が愛 ....
ほろびゆく誘蛾灯の王国
歯の隙間から意味だけがこぼれる
時代に捨てられた魂の
残り火を素足で踏み消しながら
蟹のように横向きに歩く
唯一の炎を旗として残すために
わが身を投げ入れる ....
#1
古い額縁の中の絵のように
魔法瓶から注ぐ月の香りの記憶
彼女は退屈な卵
ブルーの仔犬のマーキング
散文的散歩のブルース
悲しみのダンス
ステップなキャラメルくちに
....
横切る
救急車反対側全体的灰色気配空間内殉職時足長刑事風味
遠隔操作後蛇行走行轟音連発憤慨二輪車急加速志向拡散
放心歩行者順々卒倒気味某所某真夜中珍事半永久的続行
ぎゅっと握りしめた
こぶしの隙間から零れ
夜の奥底に染みてゆくもの
去り行く後姿に
聴こえぬ声で
いつまでも叫び続けるもの
(時間の純粋結晶が
悲しみなのだということ)
....
洋なし色に 辺りが包まれ
萩焼のカップには
チャイの印香が漂う中
窓辺からは
いつもと同じ風景
いや 今日は
こんもりと茂る葉の代わりに
樹木には 綿雲の実がなり
成熟したそれは
....
倫理だとか
秩序だとか
やけに耳障りのいい言葉で
人間達は
美しい世界を創る
地上には
美しく幸福になれる食べ物が豊富にある
美味しいだけでなく人の健康を助けるからと
ありったけの ....
やさしい言葉をきくと
私はゆらゆらします
やさしい言葉はきれいです
きれいなものというのは
どうやら壊れやすいですし
汚れがつくと目立ちますし
また汚れが落ちにくいようですし
や ....
そのバンドの名前は「全米各地で」といって
下北だか高円寺だかの汚いライブハウスで
お騒がせだ
ボヘミアンだとか
アシッドテストだとか
ケルーアックだとかギンズバーグだとか
単語をつぎは ....
小学生の時の話で
学校に行くと先生が休んでいて
自習の名目で
突然試験をやらされた
わからない問題は後回し
けど 記憶にないから
答えず終い(俺はね)
そ ....
ちをおさえないと
むねからこぼれる
あかい実はざくろ
いやちがうのだよ
ほんもののちだわ
にくきゅうの手で
おさえても毛には
べたりとあふれる
このこのちりゅう
どうかとまります
....
ここで
てをふることにする
かぜふくにせよ
ゆきつもるにせよ
きみはもう
とまってはいけない
いちにちやふつかは かまわない
けれど
ここで
てをふることにする
蔦は一列二列と ....
縁側
手相を診てあげる
と広げさせた手のひらの大きな皺は
私とそっくりで
ああ、こんなところにも
血が隠れとった
と同じ眉をして笑った
今年も本家から柿が届いたから
....
空がゆっくりわらうから
わたしはよるを待ちました
つきはわたしを見下ろして
二月はさむいといいました
雪もふらないのに何を
ふくらみはじめたつぼみを前に
ぱちんとひとつ音たてて
わた ....
彼女のステージを見た、僕がいる
彼女のステージに居た、僕がいる
僕はギターを抱いていた。
濁った目の天使
君は熱に浮かされて、ステージの袖に立ち
蒼い肩から白い腕を覗かせ ....
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