すべてのおすすめ
それは嘘である
しがらみのジャングル・ジムを
通過できる肉体はない
青空へ!
跳躍のつかのま
ぼくは地球へ落下する
格言つきの日めくりの上に
欲望と追憶のカリキュラムに
それからしぶし ....
夕陽に向かって
加賀一の宮駅裏の公園から
手取川にかかる橋を歩き
まん中のちょっと手前で
深く一息
トン トン トン トン と
公園の方から三つ過ぎの僕がや ....
夕焼けは赤いばかりではない
夕焼けは時々青く見える
悲しい夕焼け 青い夕焼け
はっきりとでなく ぼんやりと
はるか遠い夢は輝く
悲しい夕焼け 冷たく輝く
流れた涙は過去へと消えていく
....
暗がりのなか
細い光に照らされて
一匹の蛇が泣いていた
目を閉じたまま
わずかに汚れた白色に
かがやきながら泣いていた
蛇から少し離れた場所に
ひとりの少女 ....
古い写真
同じ年の子供たちが
いっせいにポーズをとって
こちらを見ている
覗き返す
私と
唯一
目が合わなかった
十歳の私
偏屈な子供
いつもみんなが
ガラスの向こうにいるよ ....
ワイパーを身体につけたんだよ
ネジでさ、おへその穴に固定してね
勤続十五周年だもの
いろいろな人が去っていったもの
自分へのせめてものご褒美だもの
憧れていたんだ、ワイパーのある ....
また降ってきた
ぼくは樹木に身をよせ 心を
誰からもみえない角度にかたむけて
ときおり
満ちてくる静けさを
溢れるまえにこぼす
こんな美しい雨のなかでは
ひとも盆栽のように育つだろう
みえこ
きみはぼくの肉体の
ひいていく最後の熱量をはかる者 ....
たとえばそれは
黄色と黒の表紙がついた
どこにでもあるスケッチブックで
軟らかい鉛筆を握って
記憶の底の君の笑顔を
なぞってみる
のだけれど
たとえばそれは
終電を逃しちゃった
....
{引用=
直進
上昇
宙返り
}
新聞の
翼は今日の 歌を
描かず
二つ目
たたんで
弁当の 紙を
えらんで
二つ折
ひらいて あわせて
角を
たたんで
....
風にのって
ぼくのつぶやきが ....
雲の日
風が強い日
ひろく浅い水たまりに
壊れた傘が幾つも沈み
鳥の化石のようにはばたく
こころもち静かに
午後をあおいで
ざわめく胸をひらく
遠い雲の ....
すこしさむいようで
身をよじって蛾
とんでいきます くらがり闇夜
まんまるをでんせんがつらぬいて
そして貼りついていた 空に
いたそうだ
兎はちんもくしていても
にじむ朧の鮮血
....
欲張りな黄金色の虫が
電気のカサの中に
潜り込んだ
クーラーのない
都会のボロアパートは
まるで何かの熱を
一心に吸収してるかのように
息苦しかった
さよならは
重た ....
足先のようにつめたい
するどさの くるおしさの 家路につきます
耳たぶは 暖かそうにも 通りぬけて赤いし
温度の分からない小石に躓いて
ストーブで焼けた服が
怠けた洒落心に 鞭打つので
....
生臭い肉体を焼きすて
骨と ....
海へつづく水と葉の道
混じりものの多い風が吹いている
同じ速さで歩む人々
木々に隠れては現れる
曇と海の間に震える
雨の光が作る階段
朽ちた窓から見える原
住 ....
皆さんは当然ご存知でしょう、こぶとり爺さん
誰もが一度は耳にしたことのある、とても有名な昔話
登場するのは2人の爺さん、共に頬っぺたに、こぶがついていました。
善良爺さんが、雨宿り中に眠りこけて ....
いま言おうとした言葉を
忘れてしまった
なにかが胸骨のす ....
ひとは背中の遠い国の
風のおだまき ほどいてくらす
だから誰も変わる自分を
知ることがないのは
腐りやすい肉体をもったぼくらの幸福
うるさくてたまらない
いつもいつもいつも
私の事を束縛して離さない
なのに
どうしても取らずにはいられない
嫌なのに
どうしようもなく嫌なのに
自由が欲しいです
飛んでみたいです
....
我が国の経済発展および
国民の豊かなる生活のために戦い
既に残業月百数十時間
この酷い戦いに散った魂は
靖國の英霊となれるでありましょうか?
嗚呼諸外国の安き人件費で生産された
数多の ....
壁中に
血痕
が散っている夢を見たとして
それが
結婚
のメタファーだと
言われたら
私の結婚は
壁に描かれた模様のようなものなのですね
と
言ってみたくなる
言ってみたあとで
....
握手を求められ
力強く握り返す
相手が少し驚く
手にどっしりと
のしかかる圧力
いつからだろう
筆圧高く文章を
書き上げる度に
小指の第二間接
....
階段駆ける。地下鉄の、プラットフォームの混雑が、平日を、ぬり絵する、朝のエスカレータで。今日は、ここから始まる。始まりは、いつもこうしたつまらない、ところからしか、ありえない。健康に、とかそういうイミ ....
記憶の中の森で
一羽の鳥が巣立ちする
遙かな大陸に向かって
記憶の中の街で
柔らかい雨が舗道を濡らす
恋人たちを祝福して
あの火曜日の朝
私たちの街は一瞬で崩れ去った
あの日か ....
{引用=十五歳抱かれて花粉吹き散らす 寺山修司}
十五歳の海から とんでくる一羽のかもめ
十五歳の海から きこえてくる潮騒
十五歳の海から およいでくるひとりの少女
わたしの十五歳はあま ....
竜道から少し外れた、石の多い場所で
あなたは待っていると言った
すうん。
空には旋回する群れ
あそこにも石が散らばっている、よう
十、は
たくさん。
九九もたくさん。
千、は
手 ....
窓枠の向こう側に海溝が寝転がっている
紺碧が逆立ちした午後
ぼくは物語と煙草を携えて
ゆらり生える象鼻の先に
時をぶらさげた
路地裏の化石にチャイを注ぎ
....
明日の今頃
雨
赤い傘に
雨
黄色い合羽に
雨
踏みしめた道に
雨
バスのワイパー越しの
雨
瞳の奥に
雨
閉 ....
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