すべてのおすすめ
1.
内ポケットに入り込み
しっかりとボタンを留める
頭を膝にうずめて
もれてくる光が無いことに
安堵
2.
予感と習慣から
ふいに
ひたいに張り付いた前髪をかきわけ ....
おつきさんのえだが
するするおりて
わたしのかみを
もてあそぶ
おつきさんのこえは
ほつほつしてて
わすれたころに
きこえてくる
おつきさんのはっぱ
やわっこくって
....
いくつかの茶葉は先生の教えを忘れ
上のほうで ぷかり と 浮いたまま
また いくつかの茶葉は
下のほうで ほっくり と 沈んだまま
僕は固くなった体をほぐそうと
もがいていた
....
凍えるようなフランスパンに
アプリコットジャムの毛布
パチパチと弾ける
ガーリックバターのシャッポ
クリームスープに浸しては 寒さを癒した
季節
家庭教師の家には いつも
ライ麦パン ....
冷凍庫で
ひっそりと眠っている 肉まん
活き活きと冷気を吹く アイスクリーム
カチコチの 鯖・鶏肉・エダマメ・・・
満席ですね
冬の列車
僕はそろそろ起きなくては
流氷も離岸した ....
賭けた
恋のゆくえ
書けた
ため息インクの
メッセージ
欠けた
鉢に水をやり
掛けた
シャツに袖をとおす
翔けた
はだしのまま
駈けた
鼓動が歌う
駆けた ....
洋なし色に 辺りが包まれ
萩焼のカップには
チャイの印香が漂う中
窓辺からは
いつもと同じ風景
いや 今日は
こんもりと茂る葉の代わりに
樹木には 綿雲の実がなり
成熟したそれは
....
ちをおさえないと
むねからこぼれる
あかい実はざくろ
いやちがうのだよ
ほんもののちだわ
にくきゅうの手で
おさえても毛には
べたりとあふれる
このこのちりゅう
どうかとまります
....
そこに入るべくして、入ったかの如く
キチリと仕舞われていた
トランクの中身。
交互に並べられた歯ブラシ、206本。
一本一本、薄い渋紙で丁寧に包んで、
その、・・・。
歯ブラシは何故か、白 ....
すりへった石鹸が
ひら ひら と
拍手の渦に埋もれてゆく
ビニールホースに合わせ
こぼれるシャンソンの音色は
か ぼ そく とぎれとぎれに
五線から はみでる
酔いしれるうちに ....
うたにならないかもしれない
ことばたちの集い
演歌がいいぜぇ
漁師ものとかよー
ウチのひらがなヤツはよー
出番が少なくていけねぇや
なら、動揺かい?
この年になってまでかい? ....
ときおり うなずいて
はにかむ頬に マァーマレードジャム
トーストのオコゲを
スプーンで 懸命に削いで
遅刻してもいいから
縞模様の食パンをもう少し
ネクタイの粉を叩くより
....
ヤギの角から
風が飛び立ってゆきます
壊れた蓄音機からは
もう染みださない炭酸
かわりもしたし かわりもしない
時計の螺子を抜くと
走りだす犬のシッポ
揺れては困るウッドチェアに
蜘蛛 ....
コーヒーを入れるのがうまそうな男が
愛犬サーモンを転がしていると
カーペットの隙間から
シルバーリングがでてきました
さんざん指に嵌めてみたあげく
ポケットにしまって ....
灰が積もってゆく
鬼百合の傘をさしていると
晴れた日のようだ
初雪ですね
はい、きれいですね
火山灰は肩に降り積もる
*
葉がチル
玄米茶のスカートをはいていると
町 ....
どうしろというのだ
どうしたというのだ
ささくれているぢゃないか
目頭を溶かしている君
君のことだよ
さらわれたのかい?
おこられたのかい?
なくしてしまったのかい?(はて)
軟土 ....
青い目のカモメが鳴く
口をこぅと飽けて
喉を震わせず
声もたてず
静かに
海の音を拾い
岸壁にならぶポプラを
透きとおった舌液に映し
カモメは鳴く
初めて砂をにぎった足の感 ....