すべてのおすすめ
旅立ちの鳥は
透き通る光は
風浴びる葉は
ものいわぬ詩人
羽ばたきが
きらめきが
さざめきが
彼らの言葉
不器用な友は
無口な父は
すれ違う人 ....
『長いキス』
君がコーヒーを運んでくる
その姿が近づいてくる時から
すでにキスが始まっている
『キス』
キスするのには理由がある
簡単な理由だ
ふたりがキスしよう ....
お池のコイ
腹を浮かせて
ぱくぱく
お母さん私は今日も
息を吸っています
音がないコーラス
コーラス隊は女ばかりじゃないのですね
コイなんですって
コイですってば
コイです夕方の ....
嵐の日には
換気扇からも
外が侵入してくるので
それがひとりきりの夜であれば
尚更雨が風にかきまわされて
音になってすぐ
そばまでせまってきて
寝そべった体は
あっと言う間に船にの ....
コーヒーを入れるのがうまそうな男が
愛犬サーモンを転がしていると
カーペットの隙間から
シルバーリングがでてきました
さんざん指に嵌めてみたあげく
ポケットにしまって ....
何度ささやいたかわからない
あいしている
のうち
一度だけは
「哀している」
と言ったのだ
きみは気づかないが
かなしもまた愛し
あいしもまた哀し
きみが肩に頭をのせているあ ....
明日の背徳に向かって 車(箱ブランコ)を靴から投げ捨てた
テーマ:空腹
そして私は肉が食べたいと思う
母の作ったボルシチがもう一度食べたいです、が
を 文字にしてみると 何の感動も ....
よくあるタイプの夜だった
目は!ラン!として
窓の外がテレビの中にあった海を
ぐっと伸ばし
カジるとカルシウムの味が漂って
観測衛星になった
鏡へ吸い付いたりもしたけど
(朝日や夕日 ....
未だかつて
私は新鮮な驚きを知らない
昔 {注大きな船=黒船}を見た人のような
新鮮な驚きを私は知らない
私達はどうでもいいことを
知りすぎた
高度な文明の中で
そうして忘れたもの ....
ママ、雪が降ってきたよ
その晩、子供は
雪だるまをつくる夢を見ました
くそっ、雪が降ってきやがった
その晩、八百屋のおじさんは
明日の売上が気になりました
ああ、雪が降ってきた ....
君が投げた
寂しさに透き通ったボールが
あちこち跳ね返って
やっと
僕に届いた
受け取った僕の
縮こまる胸の奥が
痛い痛いと
一人泣く
あの日
遠くを見て笑う僕を見ていた
....
あなたからの連絡が着たことを告げる機械音だけで
あなたの声を思い浮べただけで
あなたの言った言葉を反復するだけで
あなたの顔を思い浮かべただけで
こんなにもあふれ出る涙の味は
悲しさではなく ....
ページ1)
両腕 輪をつくり
幹を抱き
右手と左手 届かないけれど
つながった 気がしたり
うん 抱かれるよりも 抱きたいみたいな
この太さ 男の子
....
1人で歩く冬の小道で
手を真っ赤にしながら 慣れない手つきで吸う煙草
白い視線をあたしに送る 知り合いのおばさん
目が合ったとき おばさんはよそを向いた
おばさんは白い視線を送るのに
あたし ....
座卓にころがる
おちょうしが三本
テレビは巨人-阪神戦
おつまみは枝豆と鮭とば
外では蛙が鳴いている
夏の 夜
(ストラーイック!バッターアウト!
....
灰が積もってゆく
鬼百合の傘をさしていると
晴れた日のようだ
初雪ですね
はい、きれいですね
火山灰は肩に降り積もる
*
葉がチル
玄米茶のスカートをはいていると
町 ....
三丁目の角を曲がったところでふと
君の匂いを感じたとき
なんてことないと思っていたのに
電子レンジに卵を入れて
しばらく眺めてから取り出し
破裂するかどうかを少しだけ考える
あれと似て ....
たとえば
男の手を盗み見て
どの指を入れているんだろうかと
思案するとき
大抵中指なのだろうが
どうでもいいが本当は薬指を入れるべきだ
と思う
覗き込むように真剣に
見つめて
「 ....
今夜もまた
毛布を
かける側と
かけられる側に
わかたれる
夜ごと
息絶えてしまう人々のせいで
仕事のない両手と
凍える胸たちが
あぶれてゆく
失った者たちは
寝どこ ....
君がいつまでも気にして
うつむいているので
木の精だよ
気にするな
なんて言うわけないのだが
君にはそう聴こえたようで
わしは百歳じゃ
と低い声で
木の精の物真似をする ....
おっきい おばあ
おきなわでもきしゃがはしってたって
ほんとぅ
ええ やーぬ わらばーや ねえ お前の子は
ぬーんでぃ あびとうが 何と言っているの ....
お久しぶりと
声をかけると
愛人は
この愛人はとてもよくできた愛人なので
泣いたり駄々をこねたりせずに
お久しぶりと
笑ってくれる
「連絡取れなくてごめんね。元気だった? ....
お風呂で髪を洗っていたら
風呂桶の底でぴちゃりと音がして
鯉の白い腹が光った
押入れを開けたら
冬眠し遅れた熊が
せっせと寝床を作っていた
風を入れようと窓を開けたら
二列縦隊のてん ....
この指に「とまれ」と名前をつけたら
隣り合っているほかの指には、やはり
「とまら」「とまり」「とまる」「とまろ」
と、五段活用させて名づけるべきなのか
あるいは
「すすめ」「まがれ」「う ....
ある朝 鏡を見ると
もうひとつ 口ができていた
口の横が 赤く腫れて
みるみる膨れあがり
ぱっくりと割れた
もうひとつの口は
本物の口より大きくなった
もうひとつの口は
思いも ....
白い砂浜に続く足あとが
あなたの逡巡の時間だった
五月
私とあなたが確かめ合った
ただ
それだけ
テトラポットの陰で
立小便をしていた男の子が
唯一の愛の証人であったことなど
知 ....
回転寿司屋に入ると
寿司といっしょにジュースの缶が回っていた
しかもプルタブはあいていて
中身が入っていない
すいません、これ何ですか
ええっと、空き缶ですが
何の意味があ ....
あなたに会う前に
体中の毛を剃りました
もっと
私をひりひりさせてください
白い息
私の中でお湯が沸いたみたい
手袋にマフラーに
ほわーんって
冷めないうちに
あなたの心に紅茶をいれさせて?
今
君が飛び立つ理由を僕は知らない
君が微笑んでいる理由も僕は知らない
なあ エンキドゥ
この世でやるべき事は僕よりも多いはずだし
この世で愛されているのも君の方だ
....
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