七月のノート
ダーザイン

ノート2002.7.29

工事車両の下によもぎ色の猫が一匹入りこんだ
知っているかい?
猫はエンジンオイルのこげた匂いなんかが好きなんだ
ときどき思うんだ
トラックの下にもぐりこんだまま
どこか遠いところに行っちゃう猫もいるんじゃないかと
見知らぬ街での新しい生活は
親元をはなれて都会で暮らし始めた少女のように
りんとした心持で迎えられるのかもしれない

空を見上げると太陽にうっすらと羊雲がかかる
すると周囲の青空に
いくすじも いくすじもの光の帯ができる
この光の道標は
私をどこへ呼び招いているのだろうか

ノート2002.7.15

驟雨が通り過ぎると
公園の樹木の枝葉の陰から
2羽のすずめが降りてきた
チチとさえずり
道路端に頭をたれた草の穂をついばむ

アスファルトのゆがみには
水たまり
空をよぎる電線が映っている
私の足もとの
鉄柵ごしの排水口をのぞきこむと
流れ込む雨水
降りそそぐ空の色
いくつもの
いくつもの
光の輪がひろがり
果てしなく膨張しつづける宇宙のように
遠く輝いていた


自由詩 七月のノート Copyright ダーザイン 2004-04-03 13:05:39縦
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