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ほれ、みえこみてみ、ちっこくてめんこいおててだ
祖母は私を母の名で呼んだ
どんなに人を忘れても
季節の意味は憶えている
拾いあげようとするその手も
祖母も
小さくて可愛い
紅葉で ....
矢野顕子を口ずさみながら
ヒールのコツコツの月を
連れて帰る
つらい分だけ吐き出した
あなたは楽になっただろうか
つらい分だけ黙り込んだ
私はどこへゆくのだろうか
もう二度と ....
28から7を引いたら残りはいくつになりますか
答えは0です
私は除かれた7だったから
+
ことがそろそろ長くなってきたので
座ぶとんを引いてパチンと切った
ことは勢 ....
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい
君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
自動ドア
が開いた途端もうなにも聞こえなくなるくらい饒舌の坩堝なのだった
新参者が特等席でハバをきかせている
いたるところで人が出逢い
魅了され きつく絡み合い 約束を交わし 駆け引きをし 嫉 ....
乱視の交差点が光にまみれている
穴に落ちてしまわぬよう
慎重に渡る
いつか
二人で広げた新しい傘の下
けれど赤と青は紫にはならず
個体であることのかなしみを知った
ほ ....
石を轢く
花を轢く
進んだ跡ができあがる
生きていることを
考える
視界に広がるこれまでが
あまりに深いので
私たちはすくみながら頂に立ち
いつの間にか手を繋いでいた
あの層を一枚一枚剥がしてゆけば
私たちがいつか手放した大切なものに
また会え ....
公園のベンチ下で寝ころがって
グレープとの蜜月を思い出す
黒蟻に残り香を葬られ
雨風に何度洗われてもまた
消えないタトゥーを指でなぞって
グレープのことを考えている
....
並木道に
誰かの日傘が忘れられているのを見つけ
持ち主の名前がなかったので
失敬することにした
けれど自転車のかごに引っ掛けて
ペダルをこぎだしたそばから
日傘は陽を浴びて匂いたち
....
せとぎわ
おとこのわらいごえは
打破破破破、で
でも
おんなのわらいごえは
不不不不不、だった
それは
おとことおんなのかげで
苦苦苦苦苦、と
おとこのつまがわらいをこらえているのを ....