城之崎二手次郎

 暗い廊下の角を曲がると女がいた。その距離三メートル。同時に銃口を向け合った。俺と同じく黒のライダースーツを身につけている。彼女もスパイか。すこしでも動けば引き金を引くだろう。こちらも同じだ。互いに動けなくなった。彼女の顔を見る。細面に大きな瞳。筋の通った鼻。ふっくらとした唇。タイプだ。お近づきになりたい。まずは敵意がないことを証明しなければ。銃口を彼女からそらしたとたん、心臓に穴が開いた。

あとがき。
二〇〇字物語第六弾。


散文(批評随筆小説等)Copyright 城之崎二手次郎 2004-06-08 20:43:56
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