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ゆっくり育つ息子が
五歳にして
歩き始めたので
日曜日の公園へ連れてゆく

小さな影は、{ルビ日向=ひなた}にのびて
ひょこひょこ歩き
地べたに尻餅をついては
砂を、払ってやる

 ....
旅人は{ルビ叢=くさむら}に埋れて 
横たわり  
いちめんの空に 
浮雲の群を見ていた 

それぞれに{ルビ流離=さすら}う雲は 
違った形の膨らみで 
西から東へ流れゆく 

自 ....
「卵」という文字が 
何故か哀しく歪んだ 
誰かの顔に見える 

「卵」という文字が 
何故か背中合わせに俯く 
ふたりの人に見える 

「卵」という文字が 
何故かずっと倒れずに  ....
よく晴れた昼過ぎ
満開の桜の木陰にすいよせられて
黒い幹に{ルビ凭=もた}れ腰を下ろしていた

桜の花々は音もなく風にざわつき
ふと 辺りを見わたすと
桜の{ルビ蕾等=つぼみら} ....
かみさま
大人になった僕は
ずいぶんと長いことあなたのことを忘れていたようです。
時に僕はあなたの姿を見たいと
{ルビ只=ただ}、無力な両手を組み合わせては空に向け
一心にお祈りしています。 ....
今朝も電車の中で
僕はすし詰め
くたびれた背中のお米達に
すき間なく囲まれて
まぐろの気持が少しわかった

目を閉じると
あのきれいな木目の板へと
運ばれてゆくのを感じる

「 ....
窓辺のてーぶる
並んだふたつの影を朝日に落とす
じゃがいも・いちご
似ても似つかぬ後姿の影を背に
似た たましいの まなざしそろえ
窓の外に光のたまる
明るいほうへ   *

 

 ....
雨にうすく濡れた歩道の中心に
盲人用の黄色い凸凸道が
遠くへと敷かれている

いつもそ知らぬ顔で歩いていたが
凸凸道を求めているのは
よろけた歩みで目線の定まらない自分だった

黒いこ ....
「焼ぁ〜き芋ぉ〜、
 石焼ぁ〜き芋、焼芋ぉ〜」

日も暮れた
裸木の並ぶ川沿いの道を
赤ちょうちんの焼芋屋が
ゆっくり ゆっくり 歩いてく

後ろからもんぺの{ルビ懐=ふところ ....
いつかあなたが送ってくれた風の便りは
愚直に曲がった目に滲む文字で語られていた

あなたが求める
友愛と平和を・・・
その冬の暖炉を思わせる声で

もっと語ってほしかった・・・
もっと ....
ベンジャミンさんの服部 剛さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
日曜日の公園- 服部 剛自由詩12+*18-2-9
ペネタの雲_- 服部 剛自由詩909-6-5
「_卵_」- 服部 剛自由詩608-4-25
桜の蕾を手のひらにのせて- 服部 剛自由詩10*05-4-30
屋根の上に寝転んで_〜かみさまへの手紙〜- 服部 剛自由詩9*05-4-24
すし詰め- 服部 剛自由詩11*05-2-28
早朝の青空に消ゆ_みすずノ星の_澄んだ瞳に見守られ・・・- 服部 剛自由詩12*05-2-1
浮顔- 服部 剛自由詩11*04-12-26
婆ノ衣- 服部 剛自由詩13*04-12-19
今宵_夜空には釘の音が響きわたり_〜追悼・武力也〜- 服部 剛自由詩7*04-12-7

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