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仄かに明るいこの冬日
雪は遠くで降っていて
陶然と一陽に木霊する
数千数億の銀河の渦が
降ってくるよなこの今に
艶めく若芽の燃え出づる、
感覚知覚を越えてゆく
未知なる時を紡ぎ出 ....
私は誰も幸せには出来ないと知った
空は暗くて私はひもじい
昼間は薬を飲まなくなった
薬に慰められるのが嫌になったから
今私は万年筆でかさかさ書いていて
万年筆の先だけが私の友達だ
....
この薄い感覚を泳いでいくのには
もう飽きた。
条件反射的に僕を、
ありきたりな人間にあてはめていく虚しさ。
未来が見えちゃうって悲しい。
劇的な変化なんて計算に入れずに
ずっともやもやして ....
別の星には
別の花が咲く
そこには別のじょうろがあって
何色の水をやるか
異なっている
だから
どんなふうに話し
どんなふうに笑い
どんなものを食べ
どんな寝相で寝ているか
知るよ ....
此処は静かだ
これまでに感じた静けさを
寄せ集めたような静けさだ
此処には
君とだから来られた
そして他には誰も居ない
さえざえと澄みわたる処
静かな処
けれど知っている
こ ....
ジャガイモの転がる農作業小屋にて
ハクビシンが
冷たく首を伸ばす
おのれの糞尿を
嗅ぎ直す
ハクビシン
ハクビシン一匹
板目に鼻を押し付けて
水をかぶるような恐怖であるか
....
孤独に発光する、
散乱するイメージのなか
源頭へ遡る、
前進する時間のなか
旺盛に分け入って行く、
イメージがイメージを呼び
深海の頂きで
未知なる木霊を聴く
大雪原がうねるように ....
凍てつく明けの宵
痛い位強い風の中
揺らぎ燃える炎を見ていた
暗い空気の間で
所在なくぼんやり手をかざしていると
子供の頃に商店街で毎日見かけた
もうこの世にはいない煙草屋のじいちゃんが
....
木洩れ日の揺れる小道に神様が、やはり現れてはくれず、けれど。
けれどとは言ってみたものの、やはり現れてはくれず、けれども。
老化現象の自然な結果なのに
高血圧によって引き起こされるかも知れない致命な疾病を怖れて
俺は降圧剤を服用している
医者と製薬会社の企みにまんまと乗せられながら
俺は死にたくないから
降圧 ....
あの巨大地震に襲われたのは昼の二時頃だったかな
この国の民は地震慣れしてるから
最初は またかって軽くみてたけど
揺れが凄くておさまらない
俺は
その時働いていた製紙会社系列の工場の中で ....
鼻歌は
ド♯がどうにも上手く出せなくて
メロディーは誤植した看板みたいになった
でもギャラリーなんかいなかったし
空は穏やかに晴れていたから
俺としてはそれでも悪くはなかった
良く出来た結 ....
経済の不公平な分配によってうまれてしまう
裕福な家と貧困にあえぐ家
私はこの世界に産まれる事には当たったけれど
ついでに引かされた抽選には大きく外れたに違いない
上流ではなく
中流で ....
現実から逃避したくて
今はやりの動画サイトにはまってる
現実から逃避したくて
今はやりの音楽のお気に入りを繰り返しくり返し聴いてしまう
コロナの風邪も
低収入の生活レベルも圏外にして ....
人ってことが僕というものの一要素に過ぎないように、
雨粒たちも、雨ってだけではないんだろうと思う。
木々を擬人化して考えるとき、
人も同時に木へ近づいて、人から少し離れていく。
人でい ....
気づ間についた親指に
小さくこんにちはと可愛らしくご挨拶
お前はいつ出来たんだと聞いても
知らんぷりで大きくなるばかりで
親指でえへんと喜ぶ瘡蓋に呆れるばかりで
笑って泣いて過ごしていつしか ....
世迷言のたもうと言われても
心のまま、心のままよと
思うて来たのみにて
何か間違うたのか
そりゃ何かは間違うたろう
日ノ本の国の
日が昇ろうと沈もうと
何をも感じられぬま ....
誕生日以前のわたし
誕生した瞬間のわたし
誕生した直後のわたし
それから先もわたし
それから先のわたし
死の直前のわたし
死の瞬間のわたし
死の直後のわたし
それから先のわたし ....
赤塚不二夫のコンプレックスとか
高井研一郎の画風とか
ファルス
コント
喜劇
がきデカ
山上たつひこ
鴨川つばめ
マカロニほうれん荘
....
海の見える窓辺に
ちいさな灯火で本を読む
誰もいない部屋は暖かくすこしだけ湿っている
昼間にはここから木枯らしを耐えるしなやかな小枝がみえて
優しくて透明なものだけを感じようとしてみる ....
遥か遥か
天の高みあたりには死者達の永眠る国があるらしい
子供の頃に大人達がよく言っていた
神だって
仏だって
本気で信じた事は一度もないけれど
代々大人達が伝えてきた言葉には真実 ....
故郷
100円の筆ペンが
たった二文字の前で
立ち往生してしまう
故人の記憶も記録になり
それ故のふるさと
気づけばただの穴ぼこだから
書いたところで故郷だけれど
気づかないふりを ....
夜 寝床に入ると
眼がさえて眠れなくなる
夜 寝床に入ると
死者が会いにきたりする
夜 寝床に入ると
わたしの魂が体から抜け出して
天井をすり抜けて
死者のいるところへ昇ってしま ....
女子高生から
下着を買い取るとき
その女子高生の容姿と
下着の付着物の量と匂いから
その下着の適正価格を割り出す計算式で
黒いパンティのときに
より誤差なく結果が得られることから
この名 ....
わかいおまえさんはきいたことがないかもしれんが
このよには
だんぼーるや
ぷらすちっくや
きでできた
だいしょうさまざまの
はこだらけの
ひのあたるへやがあっ ....
かつて僕らが古代人だったころ
山々は鳴動し天は雷をなげおとし
血は逆流して生命というものを
からだで感覚していたものだ
かつて僕らは父母を畏れ慕い
よるべない人生の光と思った
....
自分がすごくつまらない人間であると感じるきみ
きみは間違っていない
きみはつまらない人間だ
じゃ、つまらなくないのは誰だろう
金持ちか?
アスリートか?
芸能人か?
偉い人か?
....
{引用=冬の朝顔}
白い背表紙の本を開くと朝顔の種が落ちて来た
種は発芽して瞬く間にわたしの妄想に絡みつき
ひとりの女の形を編み上げると濃淡を宿す紫や白
水色やピンクの花を幾つも付けたのだ
....
無人の駅で
日曜の校舎で
ページを閉じると
すべりこむ花びら
五年後に会うだろう
そのとき同じ細胞は
ひとつも残っていないのに
なぜだか同じ人のまま
性格 ....
美しくて感度的な景色を見て脳に伝達し認識させるのは眼
どす黒くて汚いものを見てしまうのも眼だ
呼吸を繰り返しながら喉は言葉を声に変換し
個が他へと意志や感情を伝える
口は休みなく活動し ....
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