すべてのおすすめ
むかしの人々は
だらしなく開かれた口から
魂が抜け出ると信じていたらしい
なにかの間違いで
底引き網で引きあげられて
はらわたがドロリと飛び出した
深海魚みたいにですか?
怪 ....
人間の顔にも必ず付いている口
口は呼吸する為に
口は飲食する為に
口は言語を話す為に
主に有る
この世界の
全ての人の口
私の口はその内の一個
一日の24時間の間に
口は ....
俺があの人に初めて遭ったのは、大阪は西成にある手本引の賭場だった。見た瞬間に、あぁ俺はこの人の子分になるんだなと直感で思った。二十三の時だ。そして盃を呑んだ。アメリカの双子ビルに旅客機が突っ込んだと ....
真面目なあの人を笑わせたい
そう思ってたくさんの嘘を用意した
花を摘むよりも簡単
お箸を並べるよりも
宇宙人の話は全然だめで
にこりともしてくれない
幽霊も金縛りもだめ
好きなものを知ら ....
のどかな秋の夕べ
遥かな思い出が
ふっと蘇っては
消えていく
橙に染まるリノリウムに
重なり踊る影と影
小刻みに震えながら
一条の線となって
消滅する
遠い 遠い
何もかも ....
其処は中庭
周囲がすっかり閉ざされて
何処から入ればいいのかわからない中庭
其処で
プロローグと
エピローグが
手をとりあってくるくると回っている
モノローグと
ダイアローグが
....
彼らはボイジャーの言葉で神と名乗った
次々と人工衛星が落ちていく
そして太陽が消えた
ホテルだったと思う
ベッドの上で
「きみの夢はなに?」
と彼女が言った
僕は
「アカネ ....
トイレに 貼られた関門海峡の写真
そのくせ 見る事のできない生まれ故郷
「もし そこにいるのなら返事して」母は言う
補聴器をしなければ何も きこえず
わずかに光だけを感知する あなたの ....
もし
もしもだけどさ
ある朝に目を覚まして起きだしたら
私の体に異変が起きていて
まるで天使みたいに背中に羽根が付いていたとしたら
そうなったら
私はこの人生を一度リセットして
....
つきたてだから今日食えと
新しいお米をもらった
せっかくだから
土鍋で炊いた
畑のオクラを刻んで
紫蘇の実と和えてお豆腐に添える
餅焼き網で焦がしたナスを
氷水にひたして ....
蝉がひっくり返り動かなくなっていた
マンションエレベータ前のコンクリート床の上で
僕は危うく踏みつけるところだった
何もこんな殺風景な所で死ななくても
僕はそう思いながら摘まみ上げようとした
....
211
おはようって
誰かが誰かを愛する事と同じように
金色の穂が夕陽に輝くように
212
裏の用水で彼岸花を見たよ
と言っても
きっとそれどころじゃない
....
一つづつひとつづつ
少しづつすこしづつ
慎重に丁寧に
焦らず急がず
積み重ねる努力が
花を咲かせて実を結ばせる
学校の教室で担任の先生が教えてくれた
でもね
だけどね
この人 ....
名前って、極めて純度の高い個人の情報だと思うよ
顔は知っていても
たとえ言葉を交わし合っていても
つい、気が引けて相手の名前は聞けないし
同様に自分の名前を言えない事って普通に有るよね
....
家は川沿いにあった
ぬかるみが渇こうとして
夕暮れは
大腸をひきずりだしたように
ながくなった
そのなかを這うように
ぼくは船出をして
帰りかたがわからなくなった
日の落ちかけ ....
子どもを産みたい本能をグラフ化するのは難しい
明日は産みたくない昨日なら産みたかった
子ができる工程もそれは楽しみたい
神聖視とは神秘とはなんだろう
人間は動物だ
神の子を産むなら
受胎告 ....
拍手も喝采もない
イイネさえも貰えない
わたしと言うステージの上にも
その場その場のシーンに応じて
証明が明るくなったり暗くなったり
するんだよね
音楽に
盛り上げられたり
盛 ....
明け方の珈琲にそよ風が舞う。
テラスに小鳥は雄弁で
朝日をがやがや待っている。
やがて昇った太陽に口づけすると光の帯が降り注ぐ。
大きな巡りの中で朝はやって来る。
騒がし ....
母は、
なまえはつけないほうがいいよ
と冷蔵庫にむかって
言いつづけた
寝ているときは
ずっと怒っている
車をひっくり返し
おとこを犯し
ベランダに放火し
エレベータ ....
工事の音が大きく
大きく響いていて
窓を開けていたい私と意見がぶつかっている
工事している人も
うるさいと思っているに違いなく
仕事だからだといちいち思っているかもしれず
或いはもう慣れて ....
誰も殺したりはしない
誰からも殺されたくはない
なのに
過去
一度や二度は自分を殺したくなった事実
それは
周囲や社会から 危うく押し潰されそうになった
現実からの逃避思考だった ....
そこにある概念は
紙に書かれた記号
脳に刷り込まれた手続きの
言葉 という不自由なやり方で
びょうびょうと吹く存在の風に
顔を向けて立ち尽くす時
始まりから また始まりに帰り
終わるはず ....
月が消え また違う月が現われ
星が消え また違う星が現われ
誰も元の世界を憶えていない
世界は終わって
知らないうちに変わっている
私もあなたも終わって
知らないうちに他人になっている
....
孤立
は
死病
だ
人は人と
繋がらなければ
生きていけない
のに
金を持って
いないと
キリストだけ
を信じて
いないと
健康で
いないと
胃ナイト
クエネェシ ....
大人がやけに黙っているから
後ろに乗るよう言われても
僕は少し躊躇っていた
それでも素直に従ったのは
静かに母が僕の背中を押したから
ドアがバタンと閉まる
車体が震えてタイヤは前進を始 ....
お嫁に来てもらったはちみつれもん
大切にして仕舞い込んでいる
おんぶして重みを知ったら
帰せないよね
飲み干して痛みに耐えたら
帰れないよね
松葉杖などまどろっこしい
ジグザグ
....
ハグはきっといちばん賢い愛情
あなたに顔を見られないで済む
所々継ぎ接ぎの空の勢いで
天空に住む心持ち
全てから守ってあげる
全てを守らせてあげる
小鳥の声 枝葉踏む音
足に ....
あー
ギター弾いて歌ってると
空っぽになるなあ
あたしの身体にサウンドホールが空くんです
寂しかったら
ここに飛び込んでおいでよ
鮮烈な響きに身を震わして
泣けばいいよ
君のこ ....
遠くまで行く事にどんな意味があるのかは知らない
知る必要もないことがたぶん僕の人生を埋めていたって
愛の不毛に踏みだす為の飛翔でさえ
保障の無い冒険のはじまりだったり
誰もぼくのじゆう ....
灰色の街道沿いの
深く暗い井戸の底、
白く円かな女の顔が
微細に揺れ動きながら
切れ長の目を閉じ浮かんでいる
死んでしまった死んでしまった!
わたしは戦慄のうちそう悟り
隣で無表情に ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33