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遠くで鐘が鳴っている
ひんやり切ない秋の日に
何処までも高い青空に
追いかけても追いかけても
決して追いつけないあの場所で

(金木犀の花が軌道を舞い
秋の大気が生まれるところ)

 ....
夢でしか会えないひとが
夢の中でいつもの場所にいて
そこであたりまえのように
暮らしていた

秋の夜の眠り際に
夢であることを知ってしまった
浮腫んだ面で地べた這いずり
頭から水をブッ被る
野良犬の要領で水分を振り飛ばし
苦しい顔に化粧水をまぶす

やり場の無い暴力を散ずるために
善人のふりした土方をしばく
従順なふりしたモー ....
一番愚かなことは
放課後の中で学んだ
一番美しいもののことは
禁忌の中で学んだ
一番罪深いものは
日常に転がっていた
一番悲しいものは
自室の本棚で震えていた

引戸の滑りが駄目にな ....
お釈迦様の弟子
おびんずるさんは
体の悪いところを撫でると
治してくれるという

寺の外陣へ
人々が押し寄せ触ってゆく
老いた仏像の
頭は光り
肩は丸くなり
袈裟は擦れても
坐っ ....
ぼくたちには
かたちのちがう
セイゴ
、が
ある。
ふつうに およぐには
とても ふつごうな
トゲだ。

なぜ        
こんな
ややこしいものが
うまれたときから
あ ....
悲しみも苦しみも
気がついてみれば
ほとんど無くしてしまい
乾いた砂漠に
一人つくねんと
立っている男にすぎない
腹へ出した精液が、臍の窪みへと流れてしまった。
僕を身籠る嘗ての母に、僕は二度と顔向けできない。
心に愛がなくても
美しい言葉をたらたらと吐ける

心に愛がなくても
たとえ嘘でも言葉が温かいなら
冷たくなってしまった心を溶かすだろ

心に愛がなくても
怪我した指に包帯を巻いてあげら ....
便箋一枚惚れた女の名前書き綴る
封筒に入れて封をして切って貼って
郵便ポストに投函した

惚れた女の住所と名前を表に書いて
裏側の差出人の住所も名前も書かなかった

俺はなんて意気地なし ....
本気で文学をしたくて書いてそれをネットに投稿してるんだろうか
だとしたら私は底なしの阿呆だろ

全く生産性のない行為だ

別にプロをめざしている訳じゃない

娘には訊かれた
幾らかでも ....
私に圧倒的な
能力があれば
世の悲しみに沈む
あらゆる人々を
独り残らず救うことができるのに

障害を持つ我が子の
将来を案ずるなら
我が子以外の
すべての子供たちが
安らかに暮ら ....
遠く離れて屹立
みんなから離れた場所でひとり屹立
人より低い場所に屹立
頭を垂れたまま屹立
垂れた頭を小突かれながら屹立
愛想笑いを浮かべながら屹立
電波も届かずバスも来ない場所に屹立
 ....
言葉のない世界の方が美しいけど、でも僕らはこの世界を選んだ 他人の痛みを
自分のことのように
感じられる人は
きっといつの日か
銅像が建つだろう

私は幼い頃から
自分のことを
他人の痛みが分からない
とても冷たい人間ではないかと
思ってい ....
ひとは人である
という箱の中に閉じ込めてしまっていいのか
病である
という蓋で閉じてしまっていいのか
わからないが
俺の中にいる何かに聞いてはみたが
唸り声を中に聞くだけであった

空 ....
服に{ルビX=くる}しみは入り込み
クーラーで冷やされた

皮膚は充電器に温められ
毛髪の生える余地もない

氷水をバケツに入れて
息を潜めて歩く
西の空が
赤銅色に燃え残り
薄暮が辺りを包む頃
俺は拳を握りしめ
一心不乱に進んでいく
胸の辺りに蟠る
抑えがたい不安感に
鼓動激しく息を継ぎ
夕闇の道を進んでいく

西の空が
 ....
憂鬱な日は何をしても憂鬱で
コーヒーも美味しくない
不安ばかりが胸の中にあって
鼓動が早くなる
逃げ出すことも出来なくて
自業自得とはこういうことかと自嘲する

もうすぐすべてが明らかに ....
鎌倉の甘味処・無心庵の窓辺で
手の届きそうな垣根の外に
緑の江ノ電は がたっごとっ と通り過ぎ 

殻を割ったピスタチオの豆を
口にほおばり、かみしめ 
麦酒を一口

また窓外に
江 ....
わたしだけの秘密がまた増えてしまい
これをどうすればいいかと思案する
王様の耳はロバの耳
宝石箱に小さく囁き
誕生日が同じだと顔付きが似る
クローゼットでひと歩きし
異口同音の人に好かれて ....
中学生の頃、UFO見たんです。本当に。
同い年の従兄弟も一緒にいて、2人で親戚に伝えたんです。
最近その従兄弟に会ったら、記憶消されてました。
宇宙人って怖いんですね。
砂漠の上に雪が降る

とてもときどき





どこまでも続くような草原を走る馬の筋肉と

艶のある毛並を思いながら


燭台の明かりで本を読むような事


わ ....
さようならは

何色ですか
真っ青ですか
真っ黒ですか
それともあの日の夕焼けの
だいだい色ですか

さようならは

どのへんですか
指先ですか
つま先ですか
それともア ....
 ただならぬ妻の叫び声に、ビールの缶を冷蔵庫に戻し男はリビングへ顔を出す。
リビングの一角に据えられた真新しく愛らしいベビーベッド。
ベッドの横に佇む見知らぬ赤毛の女。
赤毛の女のえんじ ....
若くて血気盛んな頃
私の作品のテーマは
反戦と平和だった

だけどね
本当はさ
すべては中身のない嘘っぱち

空回りばかりの
風車

何だか
カッコよくて
見栄えが良かったか ....
空の似顔絵を描くとね、どんなに下手でも似てしまうよね。
空には正解がないから、きっと間違えようがないんだよね。
時間が経てば
価値がでる

どんなものでも
価値がでる

経てば経つほど
価値がでる

時間が黄金に変わる時

もうそこに
所有者はいない

もうそこに
あなたもいない
 ....
金木犀が、香ってかなしい
手折って、帰ってきて、グラスに飾って、香ってかなしい
ゴミ箱の中から、香ってかなしい
ゴミ出しをしていたら、金木犀が、香ってかなしい
手折って、帰ってきて、グラスに飾 ....
キジバトがアスファルトのすき間の
塩化カルシウムを求めてやってきては
車の気配に飛び立つ
その柔軟で頑強な胸筋は
うすく乾いた空気を捉えては
スノーシェードの向こうへと飛んでいく
その屈強 ....
道草次郎さんの自由詩おすすめリスト(984)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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