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眼下の川では子供たちが裸ではしゃぎ
遠く茶褐色の岩峰が冷たい灰色の空を背景に連なっている
僕はゆらゆら揺れる色褪せた肌色の廃棄バスの屋根の上
何とかバランスを取りながら何度も落ちかけ
終に ....
晩秋の古道を上り
辿り着いたのは
兵火で埋もれた廃寺近く
青い池がひっそりと
木立に囲まれて
残された伝説は
池の竜神さまから
祝いの膳椀を借りた者が
ある時 規範を怠り
きちん ....
柿の木には柿の実がなる
栗の木には栗の実が
畑には麦や蕎麦が
田んぼには稲が米を実らした
貧困を絵にしたような暮らしの家は
藁葺きの古くて粗末な佇まい
それでも庭はそれなりにあった
....
もう、いいからさ、帰ろうよ
あんまり遅くなるとお腹すくからさ
いつもみたいに笑おう
ただ走ってさ、もうそれでいいよ
夕陽が落ちると寒くなるよ
遠くもよく見えないしさ
手をつなごう
歌を歌 ....
夜がすぐそこにきたから
寝床に入り眠ってしまう迄の間
肉の欲望と葛藤するのさ
まだ若かったから
すぐに負けたよ
酒は飲まない
煙草なんてもってのほかだ
賭け事なんか手を出したら
身 ....
病んだような落日の頃
サルバドール・ダリみたいな豊かな泡立ちの中でクロイツェルとガスパールを聴く
人生と同じように儚く舞い散る秋の葉
悲しみもこれくらい美しかったらいいのに
生きて ....
旅の人は足を止める
道は遥か地平迄伸びていく
旅の人は休息を必要とする
身も心もつかれ果てて埃にまみれていた
旅の人は道端の叢に倒れ込む
仰向けにねて見上げた空を鳥の群れが飛んでいく ....
眠る種の声を聴いて、いたかった。
時を重ねるごとに汚さばかりに目がいってしまっては、生きていけない。
美しさは奥底から、逆算もされない世界で始まる。
鼓動の音、芽吹く瞬間に、溶けてい ....
ある日、誰かのこんな会話がありました。
「こんなものを作ったら楽しいよ!」
「僕はこういうことなら出来るよ?」
「なら、私はこうするね!」
いつしか、その楽しそうな出来事の周りに
「何か ....
駅
早朝
辺りはまだ暗い
耳たぶが凍りついてしまうくらい寒い
ホームで電車を待っていた
十九歳
半年振りに帰郷する
一人だった
彼は落ち着かない
気分が高揚している
昨 ....
いつも僕らは分かり合えなかったね
まるで、水と油のようで
どちらかが泣いて
どちらかが怒って
涙と怒りは混ざることはなく
ただ何度も繰り返して
周りの人を困らせていたね
「似たも ....
お経が唱え続けられている
畳の広間に敷き詰められた純白の布団に寝ている人達
は皆、死んでいる
お経が唱え続けられている
畳の広間に敷き詰められた純白の布団に起きているのは
私独りだ
....
真っ直ぐなんて歩けやしない
平らなところで つまずいて
ぬかるみで ぐっちゃりなんて いつものことだし
おいしくない水だって 飲んでしまうし
....
日向の中を歩いていても人は多かれ少なかれ誰でも闇をかかえている
んだと思います
表面と内面の食い違いから起こり得る軋轢に人は苦しみ悩むに違いないでしょう
普段から親切でやさしい人
でも ....
何千回、何万回
「死にたい、死にたい」
と私はずっと想い続けた
初めて母に「死にたい」と言った小二の春
「じゃあ、一緒に死のうか」
あまりに簡単な返答だった
人の命は鳥の羽よりも軽いの ....
春みたいな秋に
太陽を見つけた
きらきらと
照らす光の膜が
樹々を包み
あかあかと
紅葉は空を彩っている
ゆらゆらと
風に揺れる花々は
てんてんと ....
兄は水墨のような影を落とし、今にも消えそうに、間もなく消えた。
兄の痕跡は参道に滲み、それすらも次の霧雨に消されるのだけれど。
普通に生きているつもりでも
普通の領域が曖昧だから
普通じゃないのかも知れない
あんた普通じゃないよオッサン。知ってるか、この世の中普通じゃないんだから、オッサンだって普通で
ある訳な ....
複雑な小路が入り組んだ先に
ほんの小さな広場があって
そこに君の住むアパートメントがある
夢しか見えない君を訪ねる
思い切り太っていて
あらゆることに考えが歪曲し
君はすっかり君でなく ....
巨人の吐息
甍の黄金
聖玻璃の風吹き
僕は行く
巨人が眼差す
夢の突端
輝き始める黄金の矢を
掴み取ろうと
僕は行く
いい焼肉屋の木戸を ガラガラと 入った時に鼻をつく 肉と醤油の爽やかな匂い 切れのある それでいて適度に重い バンタム級のパンチのような 赤身と脂身の入り混じった匂いが好き
かわいらし ....
綺麗な花を見たその眼で
私のことを見ないでください
そう言いながら
ふるえる骨で菫を拾う
きみは愛された死者だから
眼を閉じても会いに行けるし
白いハンカチが良く似合う
たっ ....
荒れ狂っている
闇が光のなか
光が闇のなか
灼熱の上昇
灼熱の下降
闇が光のなか
光が闇のなか
荒れ狂っている
燃え盛る壊ノ力、、受け容れ飛び込む己、、
せめぎ合い切り刻まれては ....
街ですれ違いざまに
肩が触れたとか何とか
後藤に絡まれた場合
ソニー損保よりも早く
現場に到着して
問題解決に当たります
後藤トラブルキャンペーン期間中ですので
料金は半額となります
....
どんなに辛い目にあっても
どんなに悲しい思いをさせられても
そこは大人だから
人前に弱音をはいたり
涙滲ませたり
できない
そんな事したら
見せかけの同情と裏に隠された
嘲笑を ....
さよならのかたちして
かもしかは
ゆうまぐれ
町を歩く
ときどき
立ち止まり
思案して
また
歩きだす
かもしかの
梢とも
灰ともつかぬ毛
硬い毛
そのきわ ....
国際交流のアトラクションで
着物と狐面、腹掛け、手甲のステージ衣装で
唄っていた時に興味を持って
放歌後にカタコトの日本語で
声をくれた三十路前くらいの
白人男性が居た
お面に関しては ....
旅のしおりを作るなら、最後の頁に、こう印字しておこうか。
〜旅のしおりを手放す時、僕らは本当の旅人になるのだろう〜
左右の手足の指は五本ずつ
合わせたら十本
それはいつ何度数えてもかわらない
勿論例外は存在するでしょう
だけど申し訳ありません
例外は外します
人は利き手の指を使い
数を ....
青空が何処までも続く
過ごしやすい秋
飼い犬と散歩
毎日楽しんでいる
身体が元気になっていく
決まった道ではなく
その時の気分で決めている
散歩している他の飼い犬と
直ぐに ....
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