あなたの
  マグカップの
  つるりとした空洞の
  最深部で
  パロールも
  道徳も
  大恋愛も
  なにもかも終わっていた
  冬になると
  唇が乾くだろう ....
  在るものを
  ぼくたちは見つめるだけ



  手に抱くこと
  そばにいる人を
  まもりたいと願うこと
  忘れてゆくこと



  いつも
  名づけるこ ....
  しんしんと
  雪のように眠っている
  君の
  シャツの
  胸のあたりに光がにじみ



  そこだけが
  かわいた月面になる
  白、
  黄、
  水色 ....
  ゆうがたという言葉が
  雨をよけて
  まもなく
  やってくるので
  部屋の掃除をしています
  あははとわらって
  はらっぱはしった
  あはは、
  あはは、
  ばかみたい。


  いひひとわらって
  きみにちゅうした
  いひひ、
  いひひ、
   ....
  なにかを
  つぐなうようにして
  秋が
  入って
  くる
  ピアノを弾いて
  いる
  君の指の
  一本だけが折れて
  しまって
  いた
  あの歌 ....
{引用= 「書く女」

  書く女は
  窓辺の
  机のあたりに漂っている
  霧深い部屋に
  そなえつけられた
  軟体
  書く女
  かつては川
  あるいは不吉 ....
  ぽっかりと口をあけて
  君はねむっている
  愛さずにいられない
  その唇が
  ときに嘲ることもあるというのに



  睫毛をしんとさせて
  ねむっている
  ....
  川沿いを
  髪のながい
  女が一人
  頭骨によく似た
  薄赤い花を
  五つ
  のせて
  乳母車を押してゆく
  女がひとり


  *


  ( ....
  鮮やかな桃の色をした
  あなたの大切な鞄が
  線路の上にある
  今は秋の朝
  未だ人のまばらな
  プラットホームから眺めるとそれは
  轢かれるのを待っているように見 ....
  あなたを
  埋めてしまわなくては
  なりません、突然の雨に
  暴風に、雷に
  あなたが苛まれないために
  土深く埋めてしまわなくてはなりません
  スコップに土をすくい、 ....
  髪のみじかい{ルビ女=ひと}よ
  するどい傷のような
  月の居る夜に
  はじめての女よ
  きみが歌うのなら
  ぼくは歌わない
  使い終えたはずの
  あの夏の歌は ....
  一秒もたてば
  抱きあったことなんか



  うそと同じ
  流行りの歌や
  この部屋を通り抜ける
  なまぬるい風と同じ
  出会ったことなんか



  ....
  封筒を買いに行く
  各駅で二駅
  なにもない街に
  とうめいな街に



  封筒を買いに
  最近の僕らは
  いたずらに言葉をついやし
  いたずらに歩きまわ ....
  十月の豊かな光が
  いつもの駅前
  喫煙所のボックス灰皿のあたりに
  私が待たせている
  ひとりの女の額のあたりに
  しっとりと落ち、
  浸食するように広がる
  ....
  サイダー、
  君が
  つぶやいたらこぼれた
  向こうの街が
  透けてみえそうな
  蒼だ
  ここは
  いつまでも夏だ
  サイダー、
  河が
  うねりな ....
{引用=   悲しみを一匹の鼠と錯覚していた正午に、
  石から石へと移ってゆく影こそが私なので
  あった。落葉が、古くなってしまった楽譜
  のようにぺらぺらと捲れてゆくときに、ゾ
 ....
  集めるものは
  二つあればいいと思い
  待っていたのだが
  一つとしてこなかった



  神無月の午後
  去ってゆくものと
  去っていったものと
  去りつ ....
  俎板に
  茄子があるのを
  きみはじっと見ている
  ぼくの
  右の掌のうえで



  きみの
  ながい髪が
  穏やかにきらめく
  素晴らしい午後

 ....
  血まみれたチェーンソーを手に
  キラリと笑うきみ
  カワイイね
  絵になるね



  総理大臣の指を断ち
  大統領の首をとばした
  血まみれたチェーンソー
 ....
  田園は
  青空の下で完結している



  黄金の海の中
  細い糸のように老いた
  一人の農夫が稲を刈っているのを
  私が妨げようとするとき



  もう ....
  ほんの少しよごされた
  ガラスでできたコップに
  最初の朝陽がまっすぐに注ぐのを
  僕はじっと見つめている
          
          
          ....
  けさ、風は
  すこしだけ冷たい
  すこしだけ
  生きているのが痛い



  けさ、僕は
  すこしだけ嬉しい
  すこしだけ
  きみのことを思い出せたから
 ....
  まむれくし。



  と、
  きみが発話し、
  鋏をいれたばかりの
  あたらしい、
  きみの
  栗色をした髪と
  まむれくし。
  と、
  震えた空 ....
  宇宙が
  じっとこちらを見つめる夜
  惹かれあいたがっている
  わたしよりもきっと
  歯磨き粉のほうがさびしい
  わたしはあなたを愛しています
  日は沈み夜が街をつつみます
  空を飛んでいた鳥たちは
  どこへ消えていったのでしょうか
  わたしはあなたを愛しています
  なぜならあなた ....
{引用=  木星から君が
  地球にむかって
  バッタの死骸を投げた頃
  僕の目のまえで
  自販機がコカ・コーラを吐きだした
  ヨーヨーの眼
  カエルの眼
  その長く ....
  一台のテレビがゴミ棄て場で
  ずっと雨に濡れている
  その画面の
  モノクロームの砂嵐の奥に
  きみの分厚い唇がうかびあがり

   散文で語ってください、
   散 ....
  私はあなたのママじゃないの
  と、
  言っていた君の
  うるんだ、真冬の
  瞳に映ることはもう
  かなうことはないと、何度
  知らされていても、もう



 ....
  彼は生粋の道化師なので
  昼間の公園などで
  芝生の通訳をしている

  「小石」
  「カミキリムシ」
  「遠くの国の」
  「樽入りの葡萄酒」
  「もう私に尋ね ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
マグカップ自由詩7*11/10/30 18:02
そら自由詩2*11/10/29 18:20
胸に月[group]自由詩6*11/10/27 18:11
ゆうがた自由詩7*11/10/24 16:15
わらいうた自由詩3*11/10/22 18:11
Fall Song自由詩411/10/19 17:43
月へのコラージュ[group]自由詩211/10/19 17:35
寝顔自由詩6*11/10/18 18:47
花を連れて自由詩611/10/17 19:30
桃色の鞄自由詩7*11/10/16 19:11
埋める自由詩9*11/10/15 18:36
夏の歌自由詩311/10/14 17:49
一秒間自由詩6*11/10/13 18:44
封筒を買いに自由詩3*11/10/12 19:24
蘇生自由詩8*11/10/10 18:00
サイダー自由詩7*11/10/9 17:45
私へのコラージュ[group]自由詩4*11/10/8 22:35
冷蔵自由詩311/10/7 19:06
茄子[group]自由詩2*11/10/6 18:55
チェーンソーガール自由詩3*11/10/6 18:50
田園[group]自由詩611/10/5 18:18
ひかりのかげ自由詩4*11/10/5 18:14
強く思うだけで自由詩4*11/10/4 20:51
まむれくし自由詩511/10/3 19:56
歯磨き自由詩511/10/3 19:50
Baby I Love You[group]自由詩5*11/10/2 18:25
運動へのコラージュ[group]自由詩311/10/1 19:11
濡れたテレビ自由詩7*11/10/1 7:36
ママ自由詩211/9/30 18:55
道化師自由詩211/9/30 18:36

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