コップ一杯
  ぼくは詩を差し出す
  もの珍しげに覗きこむと
  あなたは口をつけ
  なにも言わずにぼくに返した



  コップ一杯
  あなたは想いを差し出す
 ....
  やわらかい
  風の日、
  きみの揚げた凧が
  太陽と重なった



  きみの
  生まれた日、
  ぼくのもつあらゆる影は
  一瞬で消えたのだ



 ....
  あなたが大きくなったなら
  楽器のできない私のかわりに
  ギターをきかせてちょうだいな
  聴きたい歌なら沢山あるけど
  あなたの好きな歌でいいよ



  あなたと ....
  悲しいニュースも
  嬉しいニュースも
  いまは
  チャイムを押さないでくれ
  スパゲティを茹でているんだ
  人の怒り
  兎の悲しみ
  牛の痛み
  マンモスの憂い
  ゾウリムシの儚み
  蠍の板ばさみ
  イソギンチャクの絶望
  カワウソの焦燥
  蝮の煩悩
  ウォンバッ ....
  わたしのかぎかっこであなたをとじてあげる。
  ってきみ



  そこっていったい、なんへいべいくらいあるんだい。
  ってぼく



  かたりあうのか
  はなしあ ....
  おばあちゃんになっても
  心のなかの君は
  いつまでも少女のまま
  意地きたない馬鹿になっても
  心のなかの君は
  いつまでも
  ままごとが好きな女の子


 ....
  だだっぴろい教室で
  子どもたちは
  おもむろに武器をとった
  守るためではない
  苛むためであった



  かれらは笑うだけだったけれど
  かれは泣くだけであっ ....
  元気にしているの
  へこたれているのなら
  甘ったれているのなら
  否定で遊んでいるのなら
  ぼくとウマはあわない
  これから
  きみを殴りにいく



  ....
  まともな頭でも
  まともじゃないことはできる
  えらい人でも
  えらくないことをしている
  みかけにだまされないように。



  きたないものを
  むしゃむし ....
  ここに
  にんげんは
  そんなにたくさん
  いらないよ、
  ふたりでいい



  つなぐ
  てのひらも
  そんなにたくさん
  いらないよ、
  ふたつで ....
  退屈で
  笑えてしまう



  退屈で
  呑んだくれてしまう



  退屈で
  恋に落ちてしまう



  退屈で
  傷ついてしまう



 ....
  殺人鬼が天国の歌をうたっている
  監獄の窓にむかって

{引用= 「僕は人を殺した。
  六人殺した。血の塊が僕の
  歯茎の間にはさまっている。
  僕は人を殺した。
  恋人を ....
  窓の外で
  あおい闇が
  光によごされてゆく



  ふたりとも眠れずに
  毛布のなかで
  あまりに孤独だった



  ただ眩しいだけのものを
  ぼ ....
  二人で
  ふとんをしこう
  最後のニュースが
  かなしい話を終えたなら



  丁寧に
  ふとんをしこう
  僕らを責めたてる
  光たちにつかれたなら

 ....
  婆さんが呆けた顔で笑っている
  海のものとも山のものとも知れぬ婆さん



  老いた記憶をさぐっていけば
  そこしれぬものが埋まっているはずなのに
  婆さんは呆けた顔で笑って ....
  愛はいらない
  ぐにゃぐにゃした
  なまあたたかいものはいらない
  僕は君に会いたいだけ
  記念日もいらない
  プレゼントなんてとんでもない
  化粧も全然しなくてい ....
  さくら、
  きみは花ひらき
  したたかに水面を染めてゆく



  さくら、
  もうきみの匂いがする
  春が運んでくる
  忘れかけていたものたちを
  そっとひとかか ....
  朝
  青空のなかに



  すべて
  揃っているのに
  一つだけ欠けている



  つぎの朝のために
  ぼくは
  生きてゆける
  この星は太陽にとっての駅なのだろうか



  疑わず
  次の便を待っている
  何かの手違いで
  一日ほど遅延しても文句は言えまい



  夜風と目が合った

 ....
  やがて腑分けされてゆく
  光と
  それ以外と



  座っているのか
  立っているのか不確かになり
  俯くが
  皆目わからない



  また一つ
   ....
  日が沈むと駅は
  生きるものの
  蒸れた匂いで一杯になる



  人々はそぞろ歩き
  鴉が飛んでゆく
  何もかもが
  草臥れてしまったようで
  それでいて
 ....
  富士見台駅
  ホームのベンチに
  ぽつねんと腰おろし



  夕ぐれどき
  カレーパンを食べる
  べつに食べたくもない



  電車ではない
  待っ ....
  蛇口の匂いは
  夏の風にながれて


  僕は水をあつめて
  魚になった


  想像してみるんだ
  闇の中の闇を抜けて行く
  君の中の君に会いに行く


 ....
  あんなに怖かったのに
  考えてもかんがえても
  答えはなかったのに



  きみと話した時間に
  茜いろの帰り道に
  電車の窓からのぞく空に
  やさしさの意味 ....
  あるいて
  くたびれて
  たちどまって



  ふかれて
  めをとじて
  ゆるして



  なんて
  やわらかいんだろう



  ぼくがし ....
  いっせいに
  電気がきえたので
  きょうは
  星がみえた



  痛みは
  たくさんあるけれど
  間違いは
  ひとつもない
  かなしむひとには
   ....
  おっぱいは最後がいい
  まずはくちびるからがいい
  それからうなじの匂いを嗅いで
  おなかの温度に埋もれるのがいい
  おっぱいは最後がいい
  まるでそこに興味がないよう ....
  朝が降り
  からからと
  ブリキのバケツを揺らすと



  ふいに
  言葉がかなしくなって
  ぼくはきみの舌に
  しずかに鋏をいれた



  泣かな ....
  波は運んでくる。
  木片を
  手紙の入っていない壜や、
  死んだ魚を。



  波は連れてゆく。
  砂粒を
  まだ生きているものや、
  傷跡さえも。

 ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
コップいっぱい自由詩3*11/4/12 20:09
自由詩2*11/4/11 21:05
笑顔自由詩5*11/4/10 18:40
生活[group]自由詩2*11/4/9 15:24
考える自由詩5*11/4/9 0:24
ぐるぐる自由詩1*11/4/8 1:15
出会えるよ自由詩1*11/4/7 20:28
沈黙自由詩4*11/4/6 22:58
殴りにいく自由詩1*11/4/6 21:39
だまされないように自由詩1*11/4/5 21:59
ふたり[group]自由詩5*11/4/4 19:36
ぼくたちの退屈自由詩2*11/4/4 0:15
天国の歌自由詩1*11/4/2 13:29
正しい朝自由詩3*11/4/2 1:06
ふとん[group]自由詩9+*11/3/31 21:06
忘れる自由詩2*11/3/31 10:41
愛はいらない自由詩1*11/3/30 11:57
さくら自由詩3*11/3/28 23:30
[group]自由詩3*11/3/28 9:37
駅 4自由詩311/3/27 16:39
駅 3自由詩211/3/26 23:09
駅 2自由詩411/3/26 1:24
自由詩211/3/25 22:44
WATER自由詩4*11/3/24 20:59
恋のうた[group]自由詩5*11/3/23 23:10
自由詩3*11/3/23 22:34
停電自由詩7*11/3/23 1:19
おっぱい[group]自由詩12*11/3/21 23:17
[group]自由詩4*11/3/21 0:35
自由詩1*11/3/19 16:57

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