あなたがねじを巻く
  ぼくが歩いてゆく



  あなたが茶を沸かす
  ぼくが独り言をもらす



  あなたが哀しんで……
  ぼくはなにも言えない


 ....
  君を見ていた
  寒い冬のこと
  白い白い雪の午後



  運動場の倉庫にもたれ
  二人は並んで立っていた
  ブラスバンドの音がした



  バーバリーの ....
  あいつはどこに行ったんだろう
  僕は虚空にむかって尋ねる
  あいつはどこに行ったんだろう
  モデルガンは相変わらずにこりともしない



  あいつはどこに行ったんだろう
 ....
  毛がはえて
  羽がはえて
  とんでいって仕舞うのは何
  根を絶たれ
  芽を摘まれ
  それでも咲きつづけるのは



  屋上にたたずんで
  日記帳を焼かれて ....
  悲しみを悲しむなよ
  こんなにしずかに



  寂しさを寂しがるなよ
  だれもいないのに



  月があって
  光がある
  たったひとつ
  君がいて ....
  毒にも薬にもならないポップソング
  手垢まみれのアイ・ラブ・ユー
  皮と芯だけになってしまった愛



  自分の足音を聞き逃すなよ
  鏡に映った姿を写真に撮れ
   ....
  人について考えるとき
  僕の足はひとりでに川を渡る
  無機質な思いに淀んだ川



  夢はあるだろうか
  吹く風は優しいだろうか
  明日は来るだろうか


 ....
  吸えもしない煙草を吸ったり
  知りもしない話題にうなづく
  そんな歪んだ習慣の集積が僕らの日常



  何かを食べるのが好きで
  歌ったり眠ったりしていればそれで幸せ ....
  頬は桃色
  夢を見させて
  涙が出なくて泣きたい気持ち
  あなたに会いたくて



  灯りは肌色
  そばに居させて
  生暖かい命を嗅いだの
  あなたに会い ....
  庇を打つ雨音
  だれもいない夕暮れの本屋
  庇を打つ雨音
  会話はまるで騙し絵のよう
  君は小さく笑っていた
  幸せは哀しみを待っていた



  いくつかの書 ....
  水の底に置いた昔の言葉
  忘れられない君の手の
  最初と最後の温もり



  息が出来ずもがいている
  世界は古いギター
  鳴らせなかったFの和音



 ....
  停止線を越えたぼくの感情のかたまりが
  きみの言葉で編まれたハンモックに絡め取られた
  ぼくが自分の臆病さを知る頃にはすでに
  第二の呟きが世界の水面に波紋を描く



 ....
  真冬に尖っている



  (栄養摂りすぎちゃった)



  真夜中に尖っている
  無数の電線を切り裂いた
  自動販売機の釣銭を漁った
  真夜中に尖っている
 ....
  それは光のなかに
  夕暮れどきの街灯にある
  一〇〇円ライターの炎のなかに
  乱反射する水面にある
  やさしい気持ちが消えないように
  祈り続ける心の奥に



 ....
  そのとき
  曇りガラスの窓を破って
  世界じゅうの扉を開いて
  誰も見たことのない花が咲く
  新しい雑踏が生まれる



  想像のほとりで
  知らないうちに  ....
  けさ乗車率120パーセントの山手線に乗ってたら
  五反田か目黒の辺りだったかな
  必死の形相でイェス=キリストが
  閉じかけの扉に体をねじ込んで
  ぼくの隣の吊革につかまっ ....
  家を出て明るい雑踏を聴きたいのに
  戸を開けて砂利道のうえを歩きたいのに
  ぼくにはテレビを見る気力しかない



  「世界で初めて気球を発明したのは誰?」
  そんな ....
  未来への現実的な不安と
  矮小でそれでいて強固な無知の塊
  それと あの娘のスカートの中の世界が
  十四の僕のすべてだった



  鼻がもげるような春の異臭は
   ....
  雨にぬれないように
  雨にぬれないように

   (ぴちゃん、ぴちゃん)

  あの子にばれないように
  あの子にばれないように

   (どきん、ぴちゃん、どきん)
 ....
  丘を越えてやってきた
  アダムとイヴの子どもたち



  信じ、疑い
  決断し、迷い
  手を繋ぐことを選んだ
  それが本当の愛の始まりだった



  や ....
  木もれ陽を少し切り取って
  フローリングの上にそっと並べた
  緑色のきらめきが心に滲んで
  手のひらに新しい血が通う



  表面的な話をしよう
  未だ触れてさえ ....
  あの晩秋の午後
  我々を包んだ光の粒子
  その中に既に死はひそみ
  きみをとらえていた



  生と死のキメラ体
  それが
  命

   *

  き ....
  ぼくは真綿だった
  たった一つの雫がぼくの総てを染めた



  夕焼けはぼくを畏れさせ
  きみのもつ昏さがぼくをひきつけた



  棘はまるで無かったけれど
 ....
  春……
  人びとのかたわらを
  時が通り過ぎてゆく



  いつでも 命は
  去って行った者の代わり
  そして突然の臨時列車が
  滑らかにフェード・インしてく ....
  雨に滲んだ九月の京都が
  空から町へ静かにふりそそぎ
  初めての懐かしさが
  消えそうな時を満たしてゆく
  この匂いは何処でも同じ
  この思いは今ここにだけ
  雨に ....
 新宿駅/十月某日/中央線/轟音/オレンジの車両/轟音/エスカレーター/南口改札/ざわめき/人/人/人/ヒト/ひと/ざわめき/僕の感情/(ガガーーー・・・)灰色の(ピーーー・・・)砂嵐(グシャ ....  僕の書く詩に出てくる
 君という二人称は
 とくに中身をもたない
 かといって読む者ひとりひとりに
 語りかけるような無防備さも
 僕はけして持ち合わせていない
 いわばそれは揺 ....
  中学生の想像力は
  万物を強姦している
  おさまるべき枠組みを求め
  有機的な快楽を知りたがり
  夕暮れの廊下を絶え間なく這い回る



  古惚けた水族館に
  佇む  ....
  気安い同情とクレジット・カード
  じつに雑多なものたちを乗せ電車が行く

  (混沌、混沌。コントン、コントン……)



  プラットホームにいびつに立つ 性欲と性欲
   ....
  鈴虫が鳴いている
  求め合う淋しさの塊
  夜闇が僕をそっと押し包む



  黄金の月が揺れている
  煙のような薄い明日
  きりなく君を探し続ける



  ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
ねじ自由詩2*08/2/3 0:53
高校生自由詩208/2/1 1:23
知らんぷり自由詩108/1/25 0:45
ダンデライオン自由詩208/1/22 21:57
ナイフ自由詩8*08/1/21 19:53
消え行くI Love You自由詩008/1/20 21:07
川を渡る自由詩208/1/19 21:29
日常自由詩008/1/18 1:21
石鹸自由詩108/1/16 22:20
六月のギター自由詩108/1/15 22:48
F自由詩108/1/6 22:25
つまずき[group]自由詩807/12/22 9:55
真冬に尖る自由詩207/12/21 0:56
かなしみについて自由詩807/12/19 22:39
間接キス自由詩107/12/7 9:59
イェス=キリスト、山手線に乗る自由詩007/12/6 0:53
テレビ自由詩207/12/5 0:40
スカートの中自由詩307/12/3 19:47
雨にぬれないように自由詩007/11/24 7:53
愛の抜け殻自由詩007/11/22 9:46
自由詩407/11/20 7:29
晩秋 光と影自由詩107/11/19 20:59
黒い花自由詩107/11/13 13:46
自由詩007/11/10 1:07
雨・九月の京都・鏡の駅自由詩107/10/27 1:01
新宿ホワイトノイズ自由詩207/10/24 19:42
きみ自由詩1*07/10/22 20:07
鯨のペニス自由詩307/10/14 22:45
群像自由詩307/10/3 9:27
自由詩307/9/21 0:25

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