{引用=(煙突)

   獣たちの
   輝いていた瞳は
   もう、眼窩にひそみ
   昼の祝祭は
   夜の灰となり
   細い導管を
   遡る


(車)

 ....
{引用=  21.徹頭徹尾といったら
     それは徹頭徹尾なのであって
     尾藤イサオではないのです


  22.アイム
     パウロ・シルヴァ
     ト ....
  干草色をした
  豚の死骸の、腹の上に
  尖ったつま先を押し当て
  バレエダンサーが回転している
  白く、
  白く
  バレエダンサーが回転している
  酸素を吸い込 ....
  夢を見た
  左脚を喪った
  整った肌の少女が
  ふらふら回っているような



  君は
  か細い針金を
  丁寧に折り曲げて
  全身の骨と取りかえた

 ....
  月が
  奏で、
  室外機が歌う



  実直な夜
  君が
  眠りにつく頃には



  風が
  そっと
  欄干を滑り落ちて
  夢の水へ沈む
 ....
  換気扇の下で
  きょう、最後の
  セブンスターを吸い終わる
  少しだけ散らばった灰と
  砂のような煙草の葉を
  指を唾で湿らせて
  僕は掬いとった



  ....
{引用= 「竪琴」

  細かい
  木の枝に
  包まれて眠る
  にぶい銀色をした
  竪琴の音色たち
  それは、
  突然の風におびえ
  南へと巣立っていった

 ....
  五月、
  鞄のなかで
  ぼくは死んでいた
  たくさんの緑に包まれ
  豊かに死んでいた
  柔らかな乳房の
  香りだけ憶えていた
  影と
  影とが出会い、
  つめたい脚を絡ませる



  太陽は
  西に佇み
  濁ったガソリンが
  そっと背中を流れてゆく
  月の
  優しい輝きは



  きみの流す
  涙の熱い一滴を
  掬いとってしまう
  僕がここに居ることの
  ささやかな歓びの一つを



  奪いとって ....
{引用=   1.服を着ています
     私は分けています
     したがって私は健康です


   2.一房の葡萄を
     あなたに任せています
     何処に捨てる ....
  きみの口から
  高速道路が伸びていた
  ビュンビュンと車が行き交う
  粘液のような真夏の夜に
  赤い光を撒き散らして



  そこには、一台だけ
  逆走してい ....
  女よ、
  きみが
  歪んだ嘘をついた日には
  茂る緑の淡い影を
  湿った風が揺らしていった



  それが
  すっと吹きやむのを待って
  赤い土のうえに、 ....
  暑い夜は
  沢山の手が
  跡形無く持ち去っていった
  黒檀のヴァイオリン
  透明な
  大きい壷の中を
  一匹の蟹が歩いてゆく
  のすり、
  のすりと
  青空の注ぐ光に
  気難しげに傾きながら
  そして
  太陽が地を耕し
  若葉色 ....
  きみの
  美しく長い舌の上
  一面に広がるれんげ畑



  雪どけの淡い水が
  陽を吸ってさざめいている



  僕は、そこで
  幾つかのたいせつな思い ....
  四月、僕は
  川のある町に
  あたらしく暮らし始めた
  水をふくんだ日の光を
  吸いこむと、眼には涙が滲んで



  黄色い床に積まれたままの
  段ボールをつ ....
  ねえ
  これが、
  産まれたての時間。
  そう言いながら少女が
  綿飴をひとつ、ぼくにくれた



  まぶしい屋台の{ルビ犇=ひし}めき合う
  貧しげな七月の ....
  元気がないから
  ぼくたちはただ
  夢のどこかに広がる
  だだっぴろい草むらに
  黙りこくって穴を掘ってる



  そんなような
  お別れの時がきて、
   ....
  倉庫の隅で
  ひとつの闇と
  もうひとつの闇が
  汗をかきながら踊っている



  南京錠のこじあけられる
  冷徹な音をおそれ
  かれらは時折、同時に
   ....
  ぬるい春の夜
  アスファルトの上に
  花が降っている



  葬儀屋の看板が
  ほんの少し口角をあげる



  目に見えぬ桃色の貝が
  ひそかに息を吸い ....
  不器用な今日の夕陽が
  きみの頬を無防備に照らしてる
  絵に映える出来事もなく
  通り一遍の言葉ばかりで、また
  僕たちはサヨナラを示そうとしてる
  駅へと寄せる賑やか ....
  少年だの少女だの初恋だの
  丸みを帯びた言葉ばかり桐箱につめて
  晴れた日の草原に座りこむキミ
  ビニールシートも敷かず、地べたに
  夕方には雨が降るって聞いてなかったかい ....
  きみの瞳のなかに
  空一杯の夜が煌めき
  僕は君の胸のひとつから
  柔らかな心だけを抜き取って
  脆い息を吹きかけただけで
  そっと元に戻したんだ



  熱 ....
  ガラス製の灰皿が
  テレビの色に瞬きしたとき
  遣る瀬ない日々に君は
  重たい欠伸を隠した



  朝陽は
  その優しさを
  皺くちゃのハンカチに包んで差し出 ....
  くらい魚が一匹
  つめたい壁をおよいでゆく



  誰かが忘れていった
  後ろめたいつくりごとが
  ライターの灯りに揺らめく
  髪の長い日暮れ
  不思議
  きみがふれた
  いびつな石ころが今朝、
  柔らかいパンへと変わった
  春の陽を白く吸って



  不思議
  きみがくれた幾つかの
  言葉は辞書に ....
  朝、目を覚ますと
  部屋の天井に
  吊革がずらりと並んでいて
  風もないのに
  微かに揺れていた



  隣家からはテレビの
  ごみごみした音声が響いてくる
 ....
  夕方の台所で
  君を抱きしめた
  つらいことが沢山あったし
  他にどうしようも無くて



  火にかけたアルミ鍋から
  醤油の優しい匂いがただよい
  嗅ぎなれ ....
  籠の中で眠っていた
  バナナの果皮を捲ると
  ぎっしりと雪がつまっていた



  溶けてゆこうとするそれを
  あなたは指の腹を使って
  精一杯に踏み固めた

 ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
樹々へのコラージュ[group]自由詩512/7/21 8:21
詩の磁場(2)[group]自由詩212/7/21 8:05
回転自由詩3*12/7/17 0:02
シャドウ・ワルツ自由詩5*12/7/16 23:59
欄干自由詩712/7/12 23:36
迷路自由詩4*12/7/10 23:01
恐怖へのコラージュ[group]自由詩3*12/7/10 22:56
乳房自由詩8*12/7/5 23:37
ガソリン自由詩6*12/7/5 23:29
輝き自由詩312/7/5 23:17
詩の磁場(1)[group]自由詩712/6/27 21:08
高速道路自由詩712/6/27 21:00
自由詩812/6/23 9:32
ヴァイオリン自由詩712/6/16 3:48
自由詩412/6/13 20:27
れんげ畑自由詩10+12/6/2 9:58
沙弥子[group]自由詩1012/5/26 10:27
綿飴[group]自由詩19*12/5/20 21:23
小雨のあと自由詩9*12/5/16 23:39
倉庫自由詩10*12/5/13 10:41
自由詩7*12/5/3 8:31
ポエム[group]自由詩8*12/4/30 23:54
Black Tears自由詩10*12/4/29 9:51
シグナル自由詩9*12/4/28 12:22
ハンカチ自由詩712/4/26 22:31
くらい魚自由詩8*12/4/15 22:06
不思議自由詩10+*12/4/14 20:05
吊革自由詩6*12/3/31 20:46
若さ[group]自由詩13*12/3/24 11:39
ベランダ[group]自由詩6*12/3/18 18:00

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