すがる手を拒むように
  早朝の冷気はすべすべしている
  僕……僕は空き缶を捨てるため出かける
  眠っているはずの街は
  どこかうるさく感じられる
  ちぐはぐな大きさ ....
{引用=  哀なる愛と君は逢い、
  やがて霧中の夢と解る。
  負の歩を背に瀬を進めば、
  蒔いた舞から今日が始まる。

   焦がれた点は天へ。
   求める血は地を濡らし、 ....
  夜、汽笛の音が
  遠くから伸びてきて
  それが合図だった



  (ぼう ぼう
  (ぼう ぼう……



  鳴り終えた音楽の残滓が
  静止した街に滴る
  も ....
  秋の夜の
  電柱……
  たとえばそこに
  世界が着床する



  ありふれて
  ひとつに結ぶ
  街の残像
  心の残響



  季節はやがて
  ....
  ぼくは髭を剃ることが好きだ
  冬の朝の洗面所で
  鏡に向って
  そのとき空が晴れていて
  死にたいぐらいに青ければもっといい
  もしもそれが
  洗面所から見えない空でも
 ....
  ヒロシマという街に
  原爆ドームという建物がある
  アメリカという国には
  銃口のねじまがったピストルの像がある



  僕の住む部屋に
  ガンダムのプラモデルが二十二体 ....
  引用符を背負った
  かたちのない人たち



  昨日の影に向って
  蝉の声が落ちてくる



  薄暗い景色は
  横断歩道の向こうで止まった
  僕をさ ....
  白い魚を
  この両目に見た
  淡い午後のこと



  そこらじゅうに
  焼きついていたのは
  光だけだった



  水槽のような
  街にきみは泳 ....
{引用=    君が想うなら、
    無限さえ自由さ。
    君が想うなら、
    永遠さえ在する。
    君が想うなら、
    其処が宇宙さ!!}



  意識。
 ....
  日曜日の
  台所
  きみは皿を洗う
  その手はぼくから見えない
  春の水はきっと
  未だつめたいだろう



  形のないものは
  流れる
  痛いほどの ....
  もう静かに語る
  ひとつながりの都会



  夜の新宿を見つめながらきみは笑っていた



  その手のひらで
  やわらかい声がふくらむ



  どこへゆく ....
  まず思考が積もり、
  湿った言語が積もり、
  牢獄のような会話が積もる。

   (一人の自分として生まれたからには)
   (一人の自分として死なねばならない)

   ....
{引用= 昨夜、
 光が花に成り
 音が花に成り
 匂いが花に成り、
 闇の膨らみの上、
 しとしと積もっていった。}



  (そして、僕は僕だ。)



  円 ....
  静か。



  過去、いくつもの過去が来て
  未来、いくつもの未来が来て
  いまきみに重なる。



  ぼくは息をのむ。



  西日に映えて、
  ....
  片すみで祷るのをやめて。



  居ることに嘘をつかないで。



  愛することに向き合うために、
  愛するひとに背を向ける。



  ひなたでまざりあう ....
  手放して待つ、
  落日。



  空間を虚にする、
  闇が染む。



  青い、
  蒼い、
  碧い。



{引用=(心のことは考えない。
 この布を ....
  まぶしい日が終わると
  遠くの唄はきこえない



  窓を閉じて
  あの悲しみから距離をおく
  ゆるされた時はどれほどの厚みだろう



  どうか今日は
 ....
  やさしいだけの今日が
  昨日と同じテーブルに載った



  たがいちがいに席につく
  憂鬱はしずかに揺れる



  満たすだけが心ではないのに
  くりかえす ....
  壁に向かって僕は歌をうたっていた
  隣の住人は何も言ってこなかった

    そして誰かが線路に飛び込んで
    そして誰かが樹海で首を吊って
    そして誰かが誰かを撃ち ....
  君は黙って頷く、
  雨に濡れた夜でもないのに。



  僕は語り続ける、
  消えそうな焚き火のまえで。



  身勝手なやさしさで、
  どうせ僕は君を傷つけてい ....
駅のホームからは街が見えていた。
帰り路を急ぐ人々の顔は互いにひどく似ていた。
廃ビルには、昔の記憶が地層のようにこびりついていた。
一日ぶんの影が、街じゅうの屋根という屋根に覆いかぶさ ....
  錐のように
  喚く、
  夜の生きもの。



  空気の上に
  声の先を、
  突き立てる。



  黒いアパートが
  整列して、
  街。


 ....
  ちいさな池のふかみで
  ぼくたちはいだきあう



{引用= きこえない。なにも、
 きこえない。}



  こころは目をひらいて
  水底に唄をみつける


 ....
  冬の肌
  そのうえに
  人生という
  響きを
  かるがるしく
  載せる



  石油の
  まるい匂いが
  通学路を
  行進している


 ....
  舞い落ち
  葉は積もり
  こころを埋めた



  暮れゆく
  一日の影に
  君が身を沈めた



  滲んでゆく
  闇の水底へと
  引きず ....
  映し合う
  水の背にふれる
  ひとは
  いつくしむ



  貶める
  それだけで足りず
  殴り
  銃で撃つ



  いきものはしぬもの
  ....
  陽のなかに
  溶け合う
  息遣い
  空の
  奥



  拾い集めた
  情や景を
  手折る
  瞳の
  底



  電線に
  ぶらさ ....
  消えて
  し、舞う
  塵芥
  ひとつ、
  旋律
  ひとすじ、
  吸いこまれ、
  消えて
  し、舞う……



    無は……
    最後では
 ....
  声、声、声の中に死んでゆくものがある。声
  声、声の中に生れくるものがある。ひとは命
  と呼ばれ、命と呼ぶ。そんな声の中に、死ん
  でゆくもの、生まれくるもの、在るものが、
   ....
  陽、
  昇り沈む。昇り沈む。昇り沈む。沈み、また
  昇りゆく。で、それが歴史/世界の一大事。
  時も空も貫いて、視ている。聴いている。何
  処に居る人、何処に居ない人、 ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
光景自由詩109/10/18 19:03
自由詩309/10/17 12:08
夜汽車自由詩309/10/16 9:32
夜と電柱自由詩109/10/14 23:46
洗面所から見えない空自由詩209/10/12 2:08
レプリカ自由詩209/9/10 13:46
かたちない日々自由詩409/8/5 11:32
白い魚[group]自由詩409/8/1 0:37
焦点自由詩109/7/30 20:29
日曜日の台所[group]自由詩509/4/19 21:31
自由詩109/4/15 23:25
ハイライトのある風景自由詩209/4/13 12:37
花、荒野をこえて。自由詩209/3/8 17:11
夕凪自由詩409/3/5 12:17
おまもり自由詩109/3/4 16:22
落日自由詩009/3/3 0:01
明かり自由詩209/3/2 10:32
食卓[group]自由詩509/3/1 11:44
壁に向かって僕は歌をうたっていた[group]自由詩409/2/27 12:04
ラブソング自由詩209/2/25 19:05
東京の地平線自由詩309/2/23 9:26
夜の生きもの自由詩308/12/22 0:59
ふかみ[group]自由詩008/12/21 0:09
冬の香自由詩2*08/12/18 23:36
呼吸自由詩108/12/14 9:47
水面自由詩108/12/9 3:13
透明自由詩108/12/7 20:22
真空自由詩008/12/6 12:23
voice, voice, voice自由詩108/12/4 11:42
ゼウス自由詩008/12/1 21:47

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