まむれくし
草野春心



  まむれくし。



  と、
  きみが発話し、
  鋏をいれたばかりの
  あたらしい、
  きみの
  栗色をした髪と
  まむれくし。
  と、
  震えた空気と、



  秋の木々に
  古びないうちに
  と、
  接近をこころみる
  ぼくの、
  手の皮が剥げてゆくよ、



  意味不明の
  まむれくし、に
  抱擁をこころみる
  恋におちたばかりの
  あたらしい、
  ぼくの、
  爪がのびてしまうよ、





自由詩 まむれくし Copyright 草野春心 2011-10-03 19:56:18
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