朝早くに
  古臭い詩をわたしは書いた
  潮水に濡れた岩間を縫って這うように歩く
  数匹の蟹の節足のことなどを



  カーテンのあちら側で降っている雨が
  薄笑い ....
  You were sitting on the floor
  (its clean and white color)
   holding the anonymous book to ....
  左手の中で牛が眠っている
  さっきまで右膝のあたりにいたのに
  もう一頭の牛は鎖骨のあたりで草を食み
  けれどもまもなく体を地に横たえるころだろう
  テレビで昔の映画をやっ ....
  冷蔵庫の中で
  鶏卵の形状はときに難解だ
  それは石油や民主主義やマックブックが難解であるのと
  何ら遜色ない次元での難解さ



  女は夜、井戸で桶に水を汲み
  ....
  十月六日
  梢という言葉をまだ
  使ったことがないと気づく
  酢酸オルセインに染められた玉葱の薄皮
  カヴァガラスとスライドガラスに押さえ込まれた
  あの惨めさ
   ....
  森のなかで眠る
  ひどくねじくれた女
  爪に溜った懐かしい土
  {ルビ蚯蚓=みみず}があなたの太腿を這う
  けがれているから葉は美しい
  「たべてよ、
   ねえ、た ....
  きみがすき
  まっすぐな線をひいてみても
  やっぱりどこか曲がってんのさ
  だらしなく
  少し可愛らしく



  想い寄せるときは
  心をしんとしずかに……
 ....
  銀色の時計を巻く
  なにかの口実みたいに
  夏が秋に変わったことに
  驚いたようなふりをし
  やがて 歌、うたい
  ドレミもわからないくせに
  唐変木
  素っ頓 ....
  雲が赤く染まる
  町はうずくまっている
  少し怪我をしているみたいに
  どこかで華やかなパーティーが開かれている
  緩められるネクタイ
  グラスの触合う他人行儀な音
 ....
  ハンカチに指で書いた
  とうめいなそのポエムは
  日なたと影のにおいがする
  歯をみせてわらってよ
  はにかんだきみの口元が
  不思議にうごくのも好きだけど
  高い ....
  老人が籾殻を焼いている
  見えそうで見えない光のような匂いだ
  空は青く、少しあどけない
  わたしという言葉はもう
  ここには似合わない



  赤茶けた四角い煉 ....
  向かいの家の窓から
  女が身を乗り出して下を見ている
  左手になにか小さいものを持っている
  それがなにかまでは見えない ここからは



  コンセントに埃が溜ってい ....
  朝がいそいでいる
  子の笑う声のような
  光たちを小脇に抱えて
  ガラスの球は真ん中から
  はっきりとふたつに割れた
  きみが急に
  うたうからだよ
  ゆうべ見 ....
  銀紙のいたみが残っている
  なにをつつんでいたのだろう
  じょじょに
  曲がりくねり ながら
  朝になって夜になって
  夜になって
  夜になって
  言葉はみじか ....
  午後六時十五分頃の
  日に焼けた街のことをきみは歌いたかった
  八月……
  その燻すんだ終わりにむけて
  けれどもきみの細い首で
  ネックレスが曲がっている
  飴色 ....
  飽き飽きしちゃった
  きみは空にならないペットボトル
  きみは思いだせない夜の夢
  鍵をあけて待っているから、  
  口車にのせてよ



  だれも聞いたことのな ....
  家に帰って
  ギターの弦を布でふく
  なにか歌いたいような気はするけれど
  なにも心にうかんでこない



  なぁ、訳知り顔で、
  知ったようなことをほざくような ....
  三点リーダで終わりにしよう
  夕暮れ時、空は実に赤い
  今日は長いようで短かった
  


  誰が誰を裏切ったとか
  誰が誰を茶化したとか
  そんな与太話もやがて ....
  恋人とよんでもいいだろうか
  きみのことを
  この夏がおわるころには



  はげしい雨がふる夜は
  ビニール傘を用意するから
  おなかが空いたらカップヌードル、 ....
   かなしさは夜のなかにある。



   体育の時間、ぼくはだれともペアをつくれ
  ずに、みんなが踊るフォークダンスを眺めて
  いた。それは濁った河を渡る水牛を眺めるの
 ....
  祭囃子が遠ざかる
  ひとの気も知らないで



  暗い夢をひとつひとつ、
  棚の奥へ押しこめていくように
  きみの顔が笑っていた
  みじかい髪の毛がひとつひとつ、 ....
  秋のはじまりの朝は
  意地悪なひとのようにつめたい
  鈴むしがどこかで鳴いてます



  ぼくはきょうも
  きみのことがすきで
  気持ちはかたちをくるくる変えます ....
  まずしい日々をおくっている
  ばらの花がいったい、
  どんなところに咲くのかしらない



  雨上がりの
  気温がひくい朝
  きみの手をつよくにぎる
  教えて ....
  あなたは
  夏のひざしのように
  あらがえないひとだった



  よごれた窓をやぶり
  ヤニくさいカーテンをそっとくぐって
  卓上のパンを照らした
  空になっ ....
  机のうえには
  飲みかけの何かの瓶が五つ
  それからひとつの電卓



  ほんとうは臆病なくせに
  神経質に腹を立てるのが得意な
  きみでも笑顔を見せることがあっ ....
  昭和と平成の間にはさまって
  押しつぶされてしまったような工場を
  眺めながら煙草を一本喫う
  犬の散歩をする{ルビ母子=おやこ}は
  怪訝な顔ひとつ見せず通り過ぎる

 ....
  鳶という鳥の
  名前を覚えたのもこの街だった
  アキタケンホンジョーシゴモンチョウ
  蜜柑色の陽射しにひたされた夢の形



  パーマ液の匂いがするこの街
  ここ ....
  するどい刃は
  闇のなかでじくじくふくらむ
  夕暮れ時、しろい壁には
  おおきすぎる影がひろがる



  電話越しに言葉をぶつけながら
  床にはみにくい落書きをし ....
  夏の花びらはたやすく落ちて
  コンクリートで分厚い影と
  ひとつにかさなった



  きみは塀にからだをもたせた
  なんだかひどく疲れたみたい
  ぼくは膝から胸に ....
  犬
  モップの形をした……
  砂塵はさらさらと舞い、
  生活のひびに埋まっていった



  きみの手は老人のように冷たい
  きみの眼は翡翠のように冷たい
  そ ....
草野春心(1124)
タイトル カテゴリ Point 日付
古臭い詩自由詩10*13/10/12 10:42
September blooms自由詩1*13/10/12 10:10
自由詩313/10/11 23:54
難解さ自由詩613/10/10 0:22
語彙[group]自由詩413/10/6 18:47
ねじくれた女自由詩313/10/5 17:23
きみがすき自由詩513/10/5 10:43
口実ドレミ自由詩213/10/2 22:59
パーティー[group]自由詩313/10/2 0:36
はにかみ[group]自由詩713/10/2 0:06
籾殻自由詩813/9/30 0:12
鈍行列車自由詩913/9/28 13:26
せわしない朝自由詩513/9/28 9:02
銀紙自由詩713/9/24 0:16
ネックレス自由詩913/9/23 8:29
口車にのせてよ自由詩313/9/20 22:32
帰宅自由詩413/9/17 20:48
三点リーダで終わりにしよう自由詩313/9/16 23:02
恋人自由詩613/9/13 17:45
かなしさは夜のなかに自由詩20*13/9/13 12:29
祭囃子自由詩413/9/12 22:58
まる・さんかく・しかく自由詩413/9/7 9:16
野ばら自由詩413/9/5 23:57
ひざし[group]自由詩3*13/9/1 20:55
電卓自由詩213/9/1 18:22
工場自由詩10*13/9/1 18:09
S62自由詩513/8/31 18:56
嫉妬自由詩413/8/31 9:56
花のかげ自由詩213/8/31 8:57
似ていて、けれども違うこと自由詩313/8/14 19:50

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 
0.08sec.