一限目 美術
熟れすぎた柿の実のような夕陽が
じゅくじゅくと空を滲ませ
遠近法に習って雲は巣をはる


二限目 音楽
カラスの眼光から逃げるように
街の雑踏の中音を捕まえにゆく
アス ....
彼女は
やわらかい陽の中に溶けこみ
しだいにその存在が
透けてゆく

凪ぎの水面ような
ひっそりとした図書室からは
ときより遠慮がちに
ページをめくる音だけが聴こえた
それは秒針 ....
今日は 雨
傘さして街中を歩く


水たまりに広がる波紋は
ゆっくりめのリズムをきざむ


蛙の鳴かないこの季節には
お決まりの「曇の日ソング」を口ずさむ


空を仰ぐように足 ....
太陽はオレンジ色に重く熟れても
夜に染まるまいと
燦爛とラメを絞りだし扇子をはためかせ
アスファルトに積まれたり崩されてゆく影を
横目で睨みつけては光の地団駄を踏みつづける
ジュリアナ東京と ....
しゅわわと炭酸が放たれて
毛穴から上昇してゆく
からだの中にあったCO2は
静脈の網目をくぐりぬけ
ちいさな竜巻をおこしはじめる

炭酸の泡がプチプチとはじける音は
徐々に大きく体に ....
私よ、泣くな。
その容易い涙が、ほほをつたうたび
胸のどんづまりにあるお手玉のようなものが
ぎしぎしと潰れて、たまらない。

私よ、泣くな。
のどの奥にしまい込んだ感情を
涙とと ....
タンポポの茎をつまむような 
頼りない感触で押し出されてゆく空気
うけたまわっております おはよ いる? ブッ
ええ、 えぇ、 メール いた きた みた
おやすみ グットナイト グンナイ  ....
針を折るような音が 
遠くで響いたり
単調な反響をくりかえし くりかえして
吹雪が去っていく

そして 
おしよせる
春がじわり地をはい 
足元を湿っぽくさせ

春が舞い
町 ....
一足・・・ひとあし
踏みしめるたびに伸びてゆく首
始めは窓枠の真ん中くらいに頭があって
窓はきっちりと閉められているのに
窓の鍵は開いている 
外は雨がいまにも降りそう・・・
まぶしい ....
夕闇から吹いてくる
嘆きのざわめきが 靴の音で新鮮だ
ふざけたのりで地面を撫でまわす 

こうやってできてゆく
グランドキャニオン
幾層にもなって

髪がうんと高く飛ばされ ....
胃のまんなかで
大きな足音がする
革靴に蛍光灯の色を
うつらせながら
足踏/トプトプ

胃のまんなかは
ずっと重くて
ずっと熱い
うんと胃を震わせて
追い出そうとしても
ステッキ ....
背中にふれる髪は
ここまで伸びた
毛先をつまむと3年前の記憶が
染み込んでいそうで
笑える

きいろい花はいっぱい咲いて
まばたきをする

すぅぃと踊らされて
闇をきる
ゆっさゆ ....
海辺の坂を走る自転車のブレーキが
みぃみぃと鳴く
それが合図だったかのように
目をつぶると
浜辺の巻貝の中へ
体が入り込んでしまった
殻の奥でくつろいでいた巻貝は
ヌルリとだるそ ....
そうじきで吸いこまれるのは
手首までが限界だ
スウィッチを入れようが
入れまいが
 
ふろばにある
換気扇や排水溝が
ほすぅと吸い込まれるのは
抜け毛だけ
しなだれた前髪は
な ....
大根の筋に見とれ
頭の真ん中が
すいと 浮かんだ気がした
ぼんやりと 窓辺で眺めていると
水色の自転車が
昼光の泣き声と共にやってきたので 
天国から迎えに来たのかと思った

   ....
時折流れつく蜜柑の
丸みに潜む甘い臭いに誘われて
流れつくイヴの波は彼方より
来る日も妄想しつづけた姿は
脚色をおびて尚一層輝く
焦がれて乾いた唇へ
一房与える
鼻の奥まで注がれる豊香
 ....
瞬く間に
ホームは行く
狼は走る
涎と舌を垂らし
加速する列車を追いかける
黄金色の眼光
離れ小島の青船
点々と帆を広げる
君が去ってゆくのか
僕が去ってゆくのか
フラット ....
濡れた紙が降ってくる
手で破いたように 
様々な容姿で舞い
白く空を遮る
ペタリと壁や信号機に張り付き
人々の頭は皆ライス大盛り
足早に歩く人の足には
待ってくださいとばかりに
大きな ....
アイスチャイが作る船の
端に立ってごらんよ
スミレの花の
花弁の奥に顔を背けてしまう
因果とシナモン
刺激が感化する乗ってゆくJR
遠くへ行こうと人波が蠢く改札へと
吸い込まれてゆくキッ ....
サンボール
煌く窓辺
髪が頬にかかり
数本は口元まで寄りかかる
白壁のビルが空と一枚になって
雲は遠慮がちに薄い
揺らぐ陰まで淡く香る
ペチコートカーテン
ひらり
青いスニーカーが似 ....
遠くに咲く
    桜の写真
浮かべて 流れて
 さらに さらに 霞みゆく
Gが高めの空気
    追いかけていきそうになる沈黙へ

花びらが散る

クリスマス、雪に見立てた紙吹雪。 ....
ぼうず頭を撫でる
指を刺す硬い毛と
頭皮から感じる桃源の温度
父と母がここにいる

朝刊を読む父の無精髭

下顎のかげんが、ちょうどよい。
皆おなじ背丈、おなじ艶、おなじ顔。
 ....
なんと呼ばれる鳥なのだろう
石段の不揃いな傾きに
しっとりと煙る霧の中
コードの巻かれた掃除機は
底辺の視界を黙々と追っている

ガラガタリと小さな車輪を回し
苔を舐めるように登って ....
いくつもの雫が
髪の毛にぶらさがる
忘れてるのか 思い出せないのか
じれったい重み

麻薬のように
ピッシリと整えられたシーツは
刺激し続ける

ストッキングを脱いで

 ....
泥のようなものが
頬にぷつり一粒とんでくる 
湿っているようで
頬からじわじわと痒みを吐きだしてくる
ニールは白く光っているというのに

一秒と一秒の間を通って
私の頬に張付いた ....
頭は、たくさんあってよ。
ちいせぇ笠も、でけぇ笠も。
水すくい上げてよ。
飛び込むのさ、回転さ。
なんべんでん、やるき。
ゴールはあるき。
じゃけんど、 ....
(ア、ア、マイクテス、テス、本日は晴天なり。)
がぁーん チャペルの発声
ほとばしる 薔薇 バラの花びら
ひゅうひゅうと襲われる

トレーシングペーパーで透かしても
バラの雌蕊は包まれて  ....
 糸のほつれは オークルの頃
 所在なく 布地を這う

 砂漠の穴を探って
 袖をとおしてゆくドレッサー

 底から透けて
 ダークブルーのストッキング
 トレモロの流線
 
 す ....
  誘惑してまた漂う欲
  消えよう、と。
  
  レコードが内包する闇
  うっすらと透けて見えるカーテン
  
  雫から滴るスペル
  と、点。
  滲まずに 立って
  ....
 太いものはいろいろあるが、
 みんなどっしりとしているわけではない。
 たとえば、ジャンケンの強い
 太一君。
 こいつはふぁ〜として、とてもじゃないが
 横綱のオーラはなんかはちっともで ....
湾鶴(144)
タイトル カテゴリ Point 日付
時間割自由詩408/12/30 17:12
昼色自由詩5*08/12/5 13:49
秋雨自由詩107/11/13 12:37
太陽自由詩407/6/21 0:35
循環自由詩607/6/20 1:51
号泣の滝自由詩407/6/19 1:20
ため息自由詩6*07/2/27 1:03
啓蟄自由詩406/3/26 23:38
夢メール自由詩2*06/2/19 23:15
終演自由詩2*05/8/26 2:44
胃のまんなか自由詩405/5/13 1:37
髪の花自由詩305/4/29 20:08
貝の浜自由詩205/4/6 4:09
散策note自由詩305/3/27 23:18
大根と男と男自由詩505/3/21 2:00
蜜柑自由詩405/3/15 1:48
プラットホーム自由詩605/3/10 1:22
紙の日自由詩305/3/6 4:23
チャイ自由詩405/3/1 10:54
日和未詩・独白505/2/25 2:58
[group]自由詩705/1/20 2:24
未詩・独白204/12/19 4:40
掃除機自由詩404/12/7 3:35
未詩・独白604/11/9 23:15
同化自由詩204/11/9 0:11
スウィム自由詩6*04/11/4 23:59
ウエディング自由詩904/10/26 1:12
自由詩2*04/10/20 1:25
誘惑自由詩304/10/17 2:24
未詩・独白2*04/10/11 8:26

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