プラットホーム
湾鶴



瞬く間に
ホームは行く
狼は走る
涎と舌を垂らし
加速する列車を追いかける
黄金色の眼光
離れ小島の青船
点々と帆を広げる
君が去ってゆくのか
僕が去ってゆくのか
フラットな風

引き裂かれる獲物を探して
蜘蛛は空虚に呼びかける
糸でよろしければ乗せますよ
大声を張り上げるサラリーマン
靴下を上げる高校生
ため息をつく小学生
つり革に掴まって
目的地も見ない
乗客は皆
天井高くブラ下がり
列車が揺れるたび
干されたスルメのように
足が揺れる
アナウンスがわりか
人工衛星のテープが流れると
時を滑ってレールは永劫回帰
若返った


乗り遅れた狼は
次に来る風のことを
予感する
前髪が微かに揺れだす
狼とベンチ
蛍光灯がちらつく
8番ホーム


自由詩 プラットホーム Copyright 湾鶴 2005-03-10 01:22:45
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