同化
湾鶴



泥のようなものが
頬にぷつり一粒とんでくる 
湿っているようで
頬からじわじわと痒みを吐きだしてくる
ニールは白く光っているというのに

一秒と一秒の間を通って
私の頬に張付いた
ゴーレムの手垢のようなそれを
確かめる? 
触れる?
舐める?
映す?
ふふ。震えるわ。指。

黒髪
うなじからするりと背へ流れゆく
ニコタマが遠くなる
けけ。

泥のようなものは乾いてパサカサとして
雨乞いて鳴く
抱きしめる?
ほっとく?
慰める?
泣く?
しし。涙は隣に。終。

泥のようなものは
あっても。なくても。
頬は痒くないし。 痒い。
ほほ。トリック。泥。



自由詩 同化 Copyright 湾鶴 2004-11-09 00:11:10
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