胃のまんなか
湾鶴

胃のまんなかで
大きな足音がする
革靴に蛍光灯の色を
うつらせながら
足踏/トプトプ

胃のまんなかは
ずっと重くて
ずっと熱い
うんと胃を震わせて
追い出そうとしても
ステッキをつくことを
やめてくれない

コインチョコを口の中で
ゆっくり溶かして
胃にいれてやると
しばらくは眺めて遊んでいるのか
歩くのをやめた
ぐるると
胃が吠えると
耳をふさいでいるのか
ステッキの音もやんだ

いろんな違うことを考えているようで
すべて同じことを考えているような
時を過ごした後
布団をかぶり横になると
トット ト / ステッキをついて
皆を起こさないように
胃のまんなかで
誰かがまた歩きはじめた




自由詩 胃のまんなか Copyright 湾鶴 2005-05-13 01:37:52
notebook Home 戻る  過去 未来