湾鶴



ぼうず頭を撫でる
指を刺す硬い毛と
頭皮から感じる桃源の温度
父と母がここにいる

朝刊を読む父の無精髭

下顎のかげんが、ちょうどよい。
皆おなじ背丈、おなじ艶、おなじ顔。
皮膚に押し込めてもツンと立ち
逆らうと容赦無く指を刺すのだ。


母の白影が、おむすびをにぎる。


スリッパの音が不規則に並んで
おなじ床、おなじ香り、おなじ湯気。
炬燵の台はひんやりと心地よくて
耳を当てると包丁のタップが響く。



ペーストするように
親の住んでいる
ぼうず頭を撫でる



未詩・独白Copyright 湾鶴 2004-12-19 04:40:35
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