大根と男と男
湾鶴


大根の筋に見とれ
頭の真ん中が
すいと 浮かんだ気がした
ぼんやりと 窓辺で眺めていると
水色の自転車が
昼光の泣き声と共にやってきたので 
天国から迎えに来たのかと思った

     *

体中がふすふすと 水煮の大根の中で
眠っているような 気分だった
行く先も考えずに自転車をこいでいると
二階の窓辺でぼんやりしている 
馴染みの奴を見つけた
まるで天界から下界を眺めている
神様か仙人のような風情だ
いつからあんな顔をするように
なったのだろう

     *


(なんだお前だったのか)
 
「まるで仙人のような顔をしているぞ。」
 
(君こそ天使かと思ったぞ)
 
「では上がらせてもらうよ。」
 金鱗湖の女神の話から始めようではないか。」

(いよいよ君は、浮世離れしたようだ)

などと言いつつも ずらずらと
この辺りの地神話をお互い始めたので
いよいよこいつこそ 神の傍にいた奴なのでは
ないか と思った
男と男と大根


自由詩 大根と男と男 Copyright 湾鶴 2005-03-21 02:00:56
notebook Home 戻る  過去 未来