循環
湾鶴


しゅわわと炭酸が放たれて
毛穴から上昇してゆく
からだの中にあったCO2は
静脈の網目をくぐりぬけ
ちいさな竜巻をおこしはじめる

炭酸の泡がプチプチとはじける音は
徐々に大きく体に響き
燃え盛る炎に巻かれているかのよう
足の先がしびれてきたのは
炭酸の刺激か
渦にまかれるたび
体はひとまわり小さくなった

少しは無の傍に寄れたのか
ぬけ殻の炭酸の粒たちは
体のまわりに夜光虫のように群れ
淡い風のなかにとけていった
小さくなった肺で
酸素を思いっきり吸うと
心臓は鼓動をはじめた


自由詩 循環 Copyright 湾鶴 2007-06-20 01:51:42
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