時間割
湾鶴

一限目 美術
熟れすぎた柿の実のような夕陽が
じゅくじゅくと空を滲ませ
遠近法に習って雲は巣をはる


二限目 音楽
カラスの眼光から逃げるように
街の雑踏の中音を捕まえにゆく
アスファルトの白線がさらに伸びてゆき
どこかの国では新しい道路と
新しい星を発見した
地球が呼吸する
クラクション
信号が点滅する音
中古車の壊れたマフラー
タバコの煙が気管を通り
ゆれる髪の摩擦する音
拾って集め抱きしめては
そこから生まれる演奏


三限目 国語
生きた環境を閉じ込めて生息させ
輝いているこの海や宇宙(プラネタリウム)のように
言葉を眺める時間





自由詩 時間割 Copyright 湾鶴 2008-12-30 17:12:06
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