老人は、もはや泣くこともなく
日がな寺の石段に腰かけ、笑うこともなく
そうして人は
化石になってゆくだろうか――
*
昨晩、偶然、点けたTV画面から
私 ....
口角からはみ出た口紅を
小指の先でそっと拭う
赤い口紅は
いつも私を強気な女に変える
呪文のように
優しい嘘を口から吐く
独りぼっち
砂の上を歩いていた
彼方にオアシスが見えるけど ....
{引用=
「 そんな 時代でした
また この月をむかえるのですね
*
青年は 凛とし
少女は ひたむきなうつむき顔
( 二度と会えないと けして ....
■■■
■■■ 電車の連結部で
■ ■ シュノーケルの音
■ ■ 渚が車窓から消え
つり革の人々は
相変わらず揺れ
■ ■ 大波小波が
■■■ 電車内の人々の足を濡らして ....
131015
弾み車の振動を枕に
愉快な楽団員は眠る
ガラパゴス号に乗り込んだまま
帰ってこなかった男もいたが
射殺されなかったのだから
昔 ....
十月
くもり空台風近づく坂本の今朝のしじまの一切合財
拭き掃除いちおう終わりあとはなくギリシャ語とへブル語を
テレビには女性ゴルファー球を打つ木の幹のよう姿をすれば
楠
■くすのき
■■くすだま
■■■くすりのたま
■樟■かわかして箪笥へ
■脳■箪笥からお天道さんへ
■■■悪い虫が来ないように
■■■お日様のほうを見ていると
■■■それは
■楠■ ....
ついこの前
サロンで御一緒したのに
無表情で「こんにちは」をした
人見知りのあっちゅは
比留間さんに
「可愛いこが来てくれた」と
人差し指でおでこをツンと
されて
....
青虫や女子高生に貢ぐ癖
その生き物に色とりどりのガラス玉をもらった
それはよく見ると一個ずつが脈動してそれぞれの色で輝いている
ときおり澄んだ音色で囀る心臓のようだった
ふしぎな生き物は美しかった
息が止まるぐら ....
きいろい秋の街道で
あなたも僕をおもうだろう
灰色がかった青空を
見上げて僕をおもうだろう
あらゆる準備ができているよ
なんだかせえせえしているよ
もう傷つくこ ....
駅へ降り立った時
まだ空は青みを帯びていた
ちょっと買い物をした隙に
すでにとっぷりと暮れている
荷物を提げて
街灯が薄く照らし出す歩道を急ぐ
呼ばれた気がして
見上げると
鎌のように ....
だれかが楽しそうなら
きみはそれがいちばん嬉しい
きみは秋の午後のひかりのなかで
だれかが楽しそうなのを見つめている
ぼくもこころでそれを見つめている
黄金いろの土を ....
なんにも傷つけもしない風が吹いています
秋は秋であることに自由なのです
暑いぐらいのことで
ことしの秋は短いだとかないだとか
決めつけるやつらがいるけれど
虫がみんな ....
わたしが
命をもらった日から
吸って吐いて
繰り返されてきた
呼吸の仕組み
その息は
かじかんだあなたの指を少し温め
その息は
幼子の風車を廻し
その息は
ケーキに灯されたろう ....
みずいろの雨をききながら床に入ると、雨がふる
ぽっかり空いた穴を補完するように、雨がふる
決して満ちることはないんだけど、それでも雨がふる
*YouTube み ....
大津の町に
煎茶会妻のとなりに座りたり
二人して妻の口紅選びけり
湖べきて妻の指さす三上山
今日の日は大津曳山妻とみし
書展にて阿修羅とう字を妻とほむ
八年前春は過 ....
春のあいだ
君は私から離れて過ごした
色鮮やかな四月が晴着を着飾り
あらゆるものに春の息吹を吹き込んだので
君の姉妹たちは皆
笑い声を挙げて一緒に踊っていた
だが、鳥の歌を聞いても ....
今日は横浜詩人会賞の授賞式。
司会を務めるわたくしは
天の恩師の形見を
スーツの内ポケットに忍ばせ
会場ホテルのトイレに入り
シャツの襟にゆるり、巻く。
ネ ....
月が半分です
じっと見ていたら
うす半分が見えてきます
神様からのテストはいつも突然です
おぼえてないことばかり出てきます
月が半分です
じっと見ていたら
....
色変えぬ松や官僚的答え
たくまずして誰かの憎しみをかってしまう
ほどこうにほどけない結び目
ただそれが君だっただけだ
おそらく罪状はかぎりなく
妥当な理由もあればやや不適切なものまでさまざま
あえてぬれぎぬとは ....
131012
メタボ検査をします
看護師が
恭しい手つきで巻き尺を取りだし
臍の周囲を丁寧に計測した
見るからにやせっぽちなのに
なぜ計るのだの野暮なセリフ ....
サラサラと嘲りながら
指の隙間から
零れ落ちていったのは
砂で出来ているのを
忘れかけていた
いくつもの季節と朝焼け
パタパタと蔑みながら
手のひらから
飛び立っていったのは
....
夏をたたむ
両手でしわをのばし
ていねいに
色濃い影をおとした夏も
洗濯され、たたまれると
頼りないほど薄っぺらだ
....
秋祭卒論の手を止めにけり
ぎり...
....
透明なビルの屋上で俺は点を数えてい
た。雨で視界がぼやけても間違いなく
点を数えていた。三角の屋根の上で私
は線を引いていた。毎日たくさんの線
を引いていた。紙の城の上で僕は面を
つくってい ....
今 感じていることの ほとんどが 予感 だ
予感に生きていて
自分から 予感を 取り除いたら いったい
何が 残ると いうのだろう
....
かーさん ももいろひよこ かってや
めっちゃ かわいーやんか
そらいろも いるんやで
にじいろも いるんやで
ハートマークも いるんやで
息も絶え絶えのひよこたち
鳴いてるんじゃない
....
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