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どうして風はやむのだろう 静かに
(怒りに満ちた夜)
並木がささやく
──どうして風はやむのだろう
……あの星に
あの昼に
落ちてゆく
人も車も
岩もビルも雲も
平衡 ....
夏、わたしのさみしさへ
はぐれた雲がひとつその影をおとしてゆきました。
青い空はわたしのものではなく
雲はしずかにながれてゆきます。
そのあわいかげにいつか はなの
しろいひとひらがあらわれ ....
深い追憶のように
眠りがあなたの肩にやさしく降りてくる
わたしはちいさな歌をつくって
あなたのそばでうたいつづける
──約束だよ
かならずもどって来てね
(あの日 静かな ....
ノームの目には ほかに何も映ってはいなかった
青い空
白い雲
風にざわめく木々の枝
その目に写し取られた風景は まだ世界としての意味を与えられ
てはいなかった いまだどこにもい ....
さきほどから
ちりん ちりんと
私の耳に響いていたものは──(どしゃどしゃと)
あれは空一面を覆った、暗く──(それはもう)
重く、どこまでも垂れ込める──(地面はぬかるみ)
──低い雲の ....
朝 起きてくると
窓越しに
遅く咲いた百合の花があって、
君はガラス越しにそれを見ていた
こちらを振り向くこともなく
台所では
しじみが口をあけてことりと音をたてる
僕は煙草 ....
わたくしたちのことばで
それはうた
わたくしたちのことばで
それはかぜ
こぼれるしずく
はなれ
かたられる
とき
それは
わたくしたちのことばで
真昼のみずうみ そ ....