京都はきまぐれ
木葉 揺

「京都へお嫁に行ったら苦労するよ」
関西にいたら一度は聞く
でも君を見ているときは
そんな言葉はどこかへ飛んでた

カマカマカマカマ カマ カメレオン…

私はアホみたい方向オンチやから
河原町ってゆったら
四条のまっすぐな通りで
いつか八坂神杜にたどり着く
そう思ってる

お参りの後、円山公園の裏の方散歩して
さみしそうなベンチで
狂おしく触れ合った平日の夕暮れ
私はアホみたい怖がりやから
「おなかすいた!」って
急に髪の毛直した

ユ、カーマンゴー ユ、カーマンゴー オオ〜

君は少し不機嫌で、も一度通りに連れて出て
無言歩いた後、
ガラガラガラと戸を開けて
暖簾をくぐるように私にゆった
「千円?たっかー!」
心の中で思ったけど大人しく座ってた

ああ、あわしるこ…

プチプチがモチモチで
ツブツブあんがとろり甘くて
おなかあったまって笑顔が出たね

カマカマカマカマ カマ カメレオン・・・

洋楽しか聴かないのにお寺や神杜が好きで
「つきあたり」を「どんつき」と言う
自分以外の人の動きを「〜しはる」と言う

鴨川を見せられて
「メリケンパークと一緒やね」
って言うと怒られたり
嵐山の渡月橋、迷信の話しながら渡ったり
北山の見えるバス停でボーっとしたり
平安神宮の鳥居の朱さが
体に焼き付いて燃えてしまったり

ユ、カーマンゴー ユ、カーマンゴー・・・

欲望は加速して感情は滑り落ちる
自分達が無機質に思えてくる

慣れない運転で市内を離れて
パターゴルフをさせられた
どんなコースを周っても無意味な作業で
とりあえず唇を合わてみた
「もう、いらんわ。こんな冷たいの!」

黒い雲が忍び寄つて
仕方なく車に飛び乗った
ゴロゴロゴロゴロ・・・カマカマカマカマ・・・
空の音響とカーステレオ
急がせたいの?引き止めたいの?
天気はホンマに気まぐれで
走り出した車に容赦なく
空が割れて視界全部が滝になった

「前が見えへん!」

車を脇に寄せて停めた君は
「ゆりが泣くからやろ!」
と叫んでハンドルに顔をうずめて声をあげた

ユ、カーマン ゴー ユ、カーマン ゴー・・・

ちっさい子みたいにビービーと二人で
京都のどっかの山道の車ン中
「ボーイ・ジヨージの声ずるいわ…」
私らアホみたいこんなに共感できるのに

夕立はやがて止む
車は動き出す
阪急桂駅で車を降りて
その日私たちは別れた

カマカマカマカマ カマ カメレオン・・・

「祇園さんは行くなら、浴衣でポニーテールしてきいや」
宵山はいつも死にそうなくらいの暑さと群衆
それでも京都の子は気合入る
夜遊びの言い訳できる

しぶって行かずに過ぎた夏たち
そんな景色を今年もニュースの画面で見る
カルチャークラブを聴きながら
涼しい部屋で
祭囃子も
ちゃんと聴く





「カーマはきまぐれ(Karma Chameleon)」CULTURE CLUB


自由詩 京都はきまぐれ Copyright 木葉 揺 2005-05-25 00:27:57
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