散歩道
加藤泰清

煙突から煙 が似合う夜更けに
マフラーが棚引くと息が詰まる
三水に魚 の意味を模索する内
私の顔が魚に近づいてきている
ような感覚を 例えば鰓がある
息詰まるマフラーに愛着が涌く
   そう感じるようになった
  例えば鱗がある 鰭がある
煙突から の煙が泳ぐ魚に見え
魚は泳ぐ為に生まれてきた と
言わんばかりの煙 彼は戦いだ
魚に三水 が見当たらなかった
        からだろうか
     例えば悲鳴が 泪が
 鱗の一粒一粒が剥がれ落ちて
彼は戦いだ 泳ぎ去っていった
その方角が明るくなるに連れて
煙突も 煙も 一昔前の流行り
だったような胸騒ぎに襲われる
朝のマフラーは私の鰓に 絡み
鰓は息苦しそうに痙攣している
マフラーの奥で蹲る 水を欲し
    三水でなければいいと
  鰓がある鱗がある鰭がある
    魚眼の映す風景がある
思った 私は棚引くマフラーを
引き連れる 煙突の煙と一定の
           歩幅で


自由詩 散歩道 Copyright 加藤泰清 2005-09-29 20:35:23
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