甘いお菓子をあげよう と
つれてこられた壁のうち側には
びっしりと塩の結晶が生えている
塩をなめながら
つま先だちでのぞいたそと側では
こちらと同じように
塩辛い結晶がきらきらとか ....
あなたは、わたしのかたちのかたまりを見おろして
「これがわたしか」と言った
明滅する、季節の、余波が、ひといきに押寄せた午後、
わたしたちは、手をとって、あたらしい試みをはじめた
....
彩る夏の夜に僕は
大切なことを忘れそうになる
なんつーか……
やっちゃったあとの
やっちまった
感じ?
どこからかほのかに香る
線香花火の匂いは
壊れそう
だからってねえ ....
不思議だ!
なぜか洗濯物をベランダで干していると
詩作のアイデアが浮かぶ
わたしの詩の神様は
物干し竿にぶら下がっているのだろうか?
わたしの長所は頭の悪いところだ
そのお ....
ニシヒガシの親子は木の根っこにつかまってぶるぶると震えていました。
寒い、寒いよるです。
ニシヒガシの親子の薄灰色の毛は、どおん、という大砲の音が、木の根をつたってくるたびにかすかに立ち上がります ....
都会の人々が
いっせいに蝋燭に
明かりを灯したその夜
ひとつの灯が
消えた
わたし…
それっきり
くちびるは動こうとは
しなかった
友人の一人は
彼女の瞳は笑っていたと ....
「きみ」 乱太郎
どこかで会っているよね
そんな問いかけをしたくなった
きみの黒い瞳
いつだったか呼んでくれたよね
そんな昔話しを思い出したくなった
きみの褐色の肌 ....
首を切断された猫の骸が
もう何匹も発見されている
ニンゲンの仕業
ニンゲンから産まれて
ニンゲンとして生きている
ニンゲンの仕業
猫よ
ネコゴロシに捕まるな
ニンゲンのネコ ....
私は言葉を知らない
豊富な知識も 深い洞察力もない
柔らかな感性も持ってはいない
比喩や隠喩も使いこなせないし
哲学的なことはチンプンカン
コメント書いてもトンチンカン
こんな私に ....
{ルビ転寝=うたたね}をしながら
ピーナツの殻を割る
眠りと目覚めの隙間には
すこしずつ雪がつもってゆく
ひどく無口で、
愛らしい雪が切れ間なく
ピーナ ....
寒くなり冷たい頬に手を当てる温かい手は愛で出来てる
湯気が立つ朝食並び「いただきます」感謝の気持ち自然に生まれる
純粋に単純に出来ている世界自分自身も純粋になれ
寒さ抜け家に帰れば顔 ....
マカロンの賞味期限のような恋 短距離走は息ができない
「ゾウなのに鼻短くてゴメンネ」に首の短いキリンが涙
伸ばしてた髪を突然切ったのはショートカットが好みと知って
「花の命短 ....
岩海苔で巻いたおにぎり無人駅
備え付けの
グレイのロッカーの扉を開けると
中に針金のハンガーが二本
ぶらさがっていた
わたしの前に
入院していた人が
使って残しておいたものだろうか
ただ一本の針金からできてい ....
もう少ししたら
野焼きの季節になりますね
ふるさとの枯れ野に
火がつけられ
冬がおしまいになるでしょう
あなたには見えないけれど
焼け焦げた残骸の下には
根が生きているのです
春に ....
天下諭吉を壱枚弐枚
どーでもいい女だけ抱き
月に向かって好きだと吼える
元カノを亀の主食に股間見る
君はサイコロジカル・チェリー
耐えかねて握りしめた手のひらは
いつも汚れていつもからっぽ ....
きみはぼくに
ただ一言の問いかけをした
夏、
夕暮れのきつい光が
少しだけ漏れる部屋で
きみはぼくに問いかけをした
どんな手がかりも
....
あまいパンはやわらかい
やわらかい朝は白く
白い夜は夜
いつものように
ばかな嘘を見破って
空へ穴をあけてください
空へ穴をあけて
飛べなかった鳥が
最後の一羽まで
逃げ ....
二月の鼻先で
くしゃみ
クスンと泣いたのはだあれ
三の日に人がいて
春になるって
知っていたかな
鬼は外
ウグイス豆頬張って
あはは
泣き虫も福笑い
春来る
あなたの手に触れたとたん
恥ずかしくなって文字が滲んでしまったかも
読んでいただけましたか
言葉と言葉の間のためらいと
僕とあなたと間との小さな活断層
信じ合うためには強力な接着剤が必要 ....
て何だ
ガソリンスタンドはこればっか
客に手を汚せというのかしら
石油の匂いは嫌いじゃないけど
まどっちかゆーと愛してるけど
可燃性危険物がボタボタ垂れるレバーハンドルを
何で金払ってまで ....
気付く日が来るでしょう
いつか、
公園のコンディションは最悪だった
土はぬかるんで靴にまとわりついてきたし
重なり合った落ち葉は隙間に水をためていた
昨日の雨のせいだった
....
{引用=進歩は昔話を撲滅する}
あんたの事は食わしちゃる
あたしが部屋で何しとるかは
詮索せんといて
覗きでもしたら出て行くきね
女房のオツーはそう言って襖を閉め
日がな何事か ....
ながい歌のあとに
みじかい言葉があった
冬の夜の
ひろい海のまえで
そこらに捨ててきた
古い自転車のことも忘れて
ぼくたちは手をつなぎあった
なが ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
隣から届いた賀状が速達
【 Window 】
ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる
青い空 鳥の囀り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽 ....
目がさめて
なすこともなく
壁にうつる影をみている
となりであなたが
光だね
と
言った
そのとき
どうしようもなく
たとえようもなく
わたしは
あなたでした
....
年新たパジャマのままでローソンへ
今日が終わる
あなたの背中のうえで
今日が終わる
犬の鳴き声
今日が終わる
ひらたく冷える空
今日が終わる
祈りと祈りでないものを混ぜて
今日が終わる
煮炊きの幸福
今日が終わ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59