帰る人帰らぬ人と秋の夕
ほっと懐かしく嘆息してしまう、
それまでの全てが報われる、
そんな濃密な青の色彩だけが独立して
開けた額縁のような窓の向こうに 在った
その青の色彩はよく見れば、
濃密なのは視界の中央部 ....
にゃんこホアキン
きみの硬直した屍体はぼくを悲しませた
にゃんこホアキン
ふさふさした薄茶のふさ毛とふとい尻尾
ふた色に変わる不可思議な鳴き声
覚えているよ にゃんこホアキ ....
随分昔のことだが山里の学校で疎開児童をやっていたとき
先生は教えてくれた
「いいか、熊に出合ったら息を止めて死んだ振りするんだぞ」
レントゲン撮影技師はオシャベリ好きで
....
「蜘蛛の糸」(芥川龍之介)より
池の下に血の池地獄があるなど透視出来ないが
お釈迦様には見えるのだろう
大勢の亡者の中からカンダタを見つけ出した
(相当な視力の持ち主なんだ ....
満月 あなたはひどく怒って
穴だらけの夜を叩いた
道路や橋は
眠ったふりをした
夜は
しゃがらんしゃがらん
叩かれるたびに
穴を埋めていく
みんな起きていた
あなたがかなしそうに怒っ ....
私はこころの中で寝ています
いびきが何度も聴こえてくるのです
私はこころに布団を掛けています
寝返りするたびもう乱れて自分でも恥ずかしい
それでもやはり寝ていたいのです
夢枕がもう手 ....
言葉が砂みたいにつまって
詩はもうなくなった
わたしは砂袋
されたキスは
ぜんぶ覚えてる
黒ずんで腐ったところ
いまは眠たい
砂袋になってしまったのに
眠たくて眠たくて
....
詩作品の評価なんて
気にいることが書かれていれば当然のこと
作者が好きとか嫌いで評価しても良い
昔小学校でテストに出す問題を
好みの子には事前にやらせていた先生がいた
そんな ....
ねえ、いいから
と手を引っ張られ
誰もいない女子トイレに連れて
から
か
ら
少しだけ開けた窓こぼれる斜陽突き刺す
笑顔 舞い込む蝶々を、ちょうどよかった
と少しだけ骨張っ ....
石壁の家の裏手に枯れた葱ほんの四方に人は生き抜く
生まれる前はゼロだった
生まれたときもゼロだった
生きている今もたぶんゼロ
いつか無限になって永遠になる
ハチの字螺旋のその上で
ゼロのまんまで生きていく
....
嘘か猫のようであろうとして
そのどちらにも失敗してしまった
こうなってしまってはもう
人さらいになるしかないと
人さらいの家に教えを請いに来たのだが
玄関から庭まですうすうと
透明な空気が ....
正しいことを君にあげたい
君が
社会に出て気づくこと
世界は
二者択一の連続で
君はほどなく気づくだろう
公平もない
絶対もない
すべてが
相対性の世の中
だが
ほんの短 ....
糸杉の並んだ道
夏のただ中だった
一歩歩くごとに
汗は蒸発していき
肌に残されたものは
べとつくだけの塩辛さだった
暑さのあまり
蝉の声さえ途絶えた
世界には
わたしとあなたしか ....
もし猫と鳥が
人生からいなくなったら
どうやって詩を書こう
月がくだけて
湖に溶けてしまったら
どうやって恋をつづけよう
この夜が明けずに
空があかく焼けないなら
どうやっ ....
夏はなんだかすごくさびしかった。これまではそんなことはないのに。さびしくなるのは冬か秋か春と相場が決まっている。
いろんなものが取れかけているわたしは、また色々のことを思い出す。思い出したり、考 ....
160824
昨夜安部首相がマリオの姿で土管から顔を出し
鞍馬から牛若丸が出でましてと落語の台詞を言ったとか
それを聞いたマリオは怒ること怒ること
新しい知事さんも ....
別に
何て言わせない
そんな気迫を顔から感じるんだけど
足はガクガク
その10分後、
彼がそんな歴史的なことを
成し遂げるなんて
この時はとてもじゃないけど
わからなかった
「あ ....
迷惑というものが
足元に転がってきたので
これ
あなたのですよ
と元来た方向に蹴り返したら
露骨に嫌な顔をされる
それ
お前のもんだろうが
と
正しい日本語に言い換えて
返してあげ ....
ナイアガラの滝を見ても
グランドキャニオンを見ても
移動するカリブーの群れを見ても
そりゃあ、こんな景色、地球のどこかにあるやろ、
そんなこころしか湧いてこなかった
....
どこから、どこまでが
いのちなのか
そんなの、訊ねられても
わかんないよね
ましてや、人生なんて
いつから、どこまでだなんて
微妙だからさ
わかんないよね
考えるのもアホらしくって ....
ダイ
アポストロフィー
感情で生きている男が
振り上げたギターを
バスドラムに投げつけて
そういうものを見るたびに
嗚咽や時には吐瀉物を
漏らしたりしたものだけど
裏切り者のような
....
もう七二年も昔になりましたか
第二次世界大戦が
マスコミの話題になるとき
浮かんでくる光景は
地方都市の国民学校3年生の教室
腕白な少年どもに囲まれて
おまえはスパイだと
小突 ....
きみへの愛は痙攣的な近親相姦、あるいはバスの中で音読する官能小説/ジンジャーエール片手に危なげに海の背中を泳ぎきり、思いっきりジャンプする、遠くの方へ、できるかぎりの軽快さで/各駅停車の青空/二度と聴 ....
引き出しの奥のカメラに氷河期の白い記憶を閉じ込めたまま
唯一の命を抱えプラズマのウサギと共に言葉を泳ぐ
空っぽな夜にはひとに知られずに空へ静かな青を吐露する
(永劫)が送 ....
きのうわたしたちは夏を齧っていた
いじらしく硬く、青臭い
ビルの高さを馬鹿にしながら
幸福はただの文字になり、遠くへ
かわいいものたちの国を走り抜け
もちろんはだしで 手を上にあげて ....
顔の無い自分の顔の部分について考えている
なぜか?
非常識だからだ
洋服を着たからだだけが
ぺたんこになって地上に映し出されていた
これからもわたしたちは
なんとかマップにマッピングされて ....
ぼくのきらいなキミの中に映像や声がたくさんはいってくる瞬間にたちあいたい
そんなキミをとりまいている勝手なワイファイに一緒にざけんじゃねーぞと叫び
そのときおとずれる眠気や無気力や無遠慮な刺激とか ....
160704
並四ラジオにはVRつまみは無いのだ
音量調整は
アンテナタップ切り替え
再生検波管の再生具合(ポジティブ・フィードバック量を再生バリコン ....
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