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嘘か猫のようであろうとして
そのどちらにも失敗してしまった
こうなってしまってはもう
人さらいになるしかないと
人さらいの家に教えを請いに来たのだが
玄関から庭まですうすうと
透明な空気が ....
夜中に窓枠がぴしりと鳴る
夢のなかから呼び戻されて
枕元をさぐった手に触れるものがあり
それは感触で人の耳だとわかる
よく見えないがそれはたしかに二切れの耳で
ゴムのおもちゃのようにも思える ....
おれは桃太郎だ、桃太郎なんだと鬼が言うので
あんたは桃太郎だよ
どこから見てもそうだよと頷いてやる
鬼は心底ほっとした顔で
でも空っぽになったような目をして
暗い森の中に帰っていく
わたし ....
押入れに入れられて
もうずいぶん長くなる
ときどき遊びに来るねずみに
爪をかじらせてやったり
みかんを潰したりしているうちに
骨の浮いた老婆になってしまった
これではいけないと思う
これ ....
林から叫び声が聞こえる
木を割いたような声である
お客は驚いて
あれは何だ
何が叫んでいるんだ
と尋ねてくる
いいえ
鶏を潰して
いるだけです
控えめに答えると
お客は安心した様子 ....
奥に進めばいいと
席を立ったのはいいが
どこまで行けばいいのか
聞くのを忘れた
暗い明かりの下
行き交う人は
あなたの目的は全部
端から端まで知っているんだ
とでもいうように
意味あ ....
案山子になりたい
畑の真ん中に
片足で立ってみる
結構いい感じで
鳥たちと仲良くなる
農家の人は優しく
話を聞いてくれて
夜は立ったまま眠り
五年は帰らない
もっぷさんの春日線香さんおすすめリスト(7)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鏡の中には誰もいない- 春日線香自由詩416-9-3
お供え- 春日線香自由詩714-1-19
桃太郎- 春日線香自由詩313-12-20
帰れない- 春日線香自由詩911-8-29
叫び声- 春日線香自由詩411-8-29
廊下- 春日線香自由詩611-8-28
案山子- 春日線香自由詩511-8-11

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