すべてのおすすめ
ひとひとりの心のなかは、いつだって戦争だから
これ以上戦うひつようはない
そう言って花鋏をつかみとる
淡き生活
こどもたちが
口を真っ赤にしながら
園庭であそんでいる
誰かをつかまえ
気に食わなければ噛みつくために
こどもたちは
細い睫毛にひとつずつ
金銀の王冠をつけており
その毛並みは ....
わたしは幼女になって
あなたに誘拐されたい
ひらひらと
垢ずんでいく赤いスカート
ひとこともはなさない
あなたは
それに気付くことも
ない
わたしたちは
いつか家 ....
十分ほど歩くと海がある
そこに行くまでに魚屋がある
食べられるための魚が置いてある
あなたはきっと
今でも
魚の目を見れず
逸らして自転車を軽やかに(でも重々しく) ....
あなたがあまりにも大きく樹をゆらしたので
花びらが落ちているのだった
色とりどりのかみふぶきに混じって
潔白な白がくるりまっているのだ
地上ではパレード
美しくなった出会いと別れへの ....
冷たさが
この幸いを閉じ込める
すぐに消える雪片に
まじってもつきささる声
それは
あなたのことよ
鍵を持つ
右の手の指がかじかんで
それでもこれを落とそうとしない
....
さあ
南天
この冬にまだ緑を纏わせて
あなたがいることを知ろう
私が知るあなたというのは
この時節まだ凍てついているはずだが
離れても
違う名を与えられることなどなくて
冷 ....
ささやかに
くりひろげられる祝宴
ノートブックの
きれはしの中の
外側の
銀世界
にはほど遠い
ところどころに煙った雪
落ちてく
地下茎すらとどかないどこか
....
ふと
雲に隠れたオリオンの
星
それは
燃え尽きたように思われた
濃い
紅茶に落ちた
黒砂糖
それは
溶け尽きたように思われた
あなたが
発していた言 ....
おおきなけだもの
お前に会うのは
もうずいぶん久しぶりだ
お前と会うときは
これで仕舞いだといつも思うが
どうやら出会ってしまったな
どうだ
ひとつ
おおきなけだもの
おれは ....
ここに書き込むのは初めてです、フユナですコンバンハ。
「消えてしまいたい」というこの題名に惹かれた方に読んで欲しくて、
今日の自サイトから日記を転載したものです。
不幸自慢だと思われてしまうかも ....
二匹の鮭が
内蔵を捨てられ
切れ端をからませていた
私の手はまだ薄いが
母の手は血にまみれている
頸骨ははさみでぶち切り
卵と白子は引きずり出した
その度にあがる、歓声
嬉 ....
港に来たら、花は散っていた
ノウゼンカズラが
地上に口付けている
おぉんおん、
おぉんおん
遠くではまだ咲いている
向こう岸の工場の灯だ
向こう岸の工場が
....
夏の闇は思ったより深いのか
それだけが
ほんの小さな鬼火のように
灯っている
今
その人は息を吸った
白いランニングの大きな腹がふくれ
コオッ、と
鬼火は点滅、そしてお ....
わたしたちは小学校のプール跡に住んでいた。
もちろん家に住んでいた。
プール跡に、家が建ったのだ。
ともすれば思い出したように、夏にはテーブルの上にサトウくんが立った。水泳大会 ....
ねえ 南十字星ってどれですか
と恋をしていた
空はあんまり星だらけだったので
はたして
その星をあなたが知っていたのか
わたしは知らない
し、
知らなくてよかった
白線を
....
何年も
荒れはてていた庭に
野菜の苗が植えられ
植木鉢の
マリーゴールドが置かれた
母と父が水をまいて
コンクリのように
馬車道のように押し固まった土を
いくぶんか、柔らかくさ ....
砂浜になぜか
まるのまま打ち上げられたりんご
いつからあるのか
りんごはなかば透き通っている
食べたらひどくだめそうなのに
僕はそれを舌にのせる
のを逐一 想像する
おいしい ....
あなたの自転車の
前輪ホイールの中に
くたばったハムスターみたいな
雪
鍵をかける
指のやわらかさ
にすら蓋をする
ないことになっている
あたしのこのこい
....
ようようくりかえすことばを
きみにいえるわけがなく
しらぬまにきれたひふが
ゆっくりとすなにしずんでゆくので
「ゆーとぴあ」とぼくがいったが
きみにいえるわけがなく
た ....
という先にない、
に君が口付けしている
明日ばかりをぼくはいらない
落ちてくれたら考える、
よ
花はよく咲いたが
実をなさなかった
わたしの部屋には
白磁があるが
それには違う
実を山としよう
....
砂丘であなたに会いたかった
あなたの足をつかみたかった
行き倒れる寸前の
砂に埋もれたあなたの足を
谷であなたに会いたかった
あなたの骨を接ぎたかった
花をとろ ....
わたしの靴を捨てないでください
底が削れて ヒールが丸くなっても
それはわたしの足
わたしの毛布を捨てないでください
綿がはみ出していても
それはわたしの ....
ひとつだけ
たくさん
あげるから
ひとつだけ
たくさん
たべてね
おねがいね。
a
せかいは、ぼくはここにいるの
だいがっしょうでまるでしんでいるようです
あまりにこえがおおすぎて、
もうききわけのつかないのです。
あれはだいすき ....
蜘蛛みでだべ、
あたしの白ぇむなもと、に、
まだ恋してらった。
蝶みでによ、
からまってらった。
もういねえのによ
そこに蜘蛛だば、
んだはんて、
こうやって
ひとりでねらんだ。
罪をあがなおうとは言わない
空は青い。
青くなくてもいい。
来る途中に蟻を踏みつぶした朝だ
兄は云う
この井戸を掘り返してなるものか、
と。
野井戸はけして深くなく、
雨水が満ちているのだが。
野井戸はすでに開かれて、
....
ひだはそれを吸い込んで
ぼくはたとえば茫然とし
まるで関係のなさそうななにかに
縋ろう縋ろうとするさまはこっけいなんだろうと思う。
風鈴がな ....
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